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胡蝶之夢

「ねぇ。そういえば最近あの子見かけないけど。」
「え?知らないの?死んじゃったんだよ、」
「えっ……マジ?」

大学の食堂。広い室内にはチラホラとしか人はいない。図書室のように静かなそこで、
僕はテーブルを挟んでそんな会話をしていた。

「事故らしいよ。」
「そうなんだ。」

特にそれ以上の言葉は出てこなかった。
びっくりしたから。いや、それ以上の感情がなかった。


あの子。
よく集まるうちの一人。
みんなで話すときに軽く相槌を打つ程度にしかやり取りはなかった。



『それで、君はどう思う?』



突然話を振られて戸惑った。
それが少し前の会話。
まだ覚えているその子との会話。

いつも通り集まって雑談をしていた。放課後に何をするかという話だった。

たしか………
僕は適当に答えて場を流した。

その子は明るい人だった。
多分人見知りとかしないんだろう。僕とは別の人種。

笑顔が印象的だった。


気がした・・・。



「そういえば、みんなで買い物行ったじゃんかー」
「あ、あぁ」

ふと話しを振られて記憶の中から戻ってくる。
先月、数人で行った買い物の話。
なにを買いにいったんだっけ・・・


「みんな」なんて言っても所属も、サークルも、ゼミもバラバラで色んなグループから適当に集まって行動してるだけだから、「はじめまして」の人もよくいた。

有象無象の中にその子がいたのは覚えてる。だけ。


また、「みんな」で集まった。

知ってる人と知らない人の集まりで飲みに行く。って。

店について、乾杯して、雑談が始まった。
右を見れば何か熱い話をしている。
左を見れば馬鹿騒ぎ。


僕は少し居づらいと感じていた。
なんでだろう。
いつもより心なしか空気が重い。疎外感。多分僕だけ。
見た感じ、みんなそれなりに楽しんでいる。
会話に割って入ればいい。
「それで?なんの話してるの?」って。



『何か飲む?』



あの子にそう聞かれたのを思い出した。
残り一口のビールが残っていて、それを見て聞いてくれた。

「(よく見てるなぁ)ありがとう」
そう言っておかわりを頼んだ。

学生同士気を遣わなくてもいいのに。
みんなに次のお酒を聞いたりしてた。
(そっか。死んだのか)


「おい、聞いてるのか?」
そう言われて誰かに肩を叩かれた。振り返ると、


僕の部屋の天井があった。
寝返りを打ち、スマホを見るとam5:00。


ただ、悲しさが胸にあって。
本当に夢だったのか、それとも過去の思い出だったのか。


さっきまで見ていた顔が思い出せない。

私なんかにサポートする意味があるのかは不明ですが、 してくれたらあなたの脳内で土下座します。 焼きじゃない方の。