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山わさびラーメンという鈍器

今更だが、YouTuberやVTuberで激辛ペヤングを食べるというのが一時期流行っていた。
(それで叩かれてる人もいたけど…)

私は食べたことないが、かなり辛いらしい。らしい。とはいえ、昨今は辛いラーメンに溢れている。
激辛!と、うたっているが食べてみると「まぁ、確かに」ぐらいのカップ麺が多い。
全てを食べたことはないが、大抵は「熱いから余計ヒリヒリする」というところが大きい。

いや、甘く見ているだけでとても辛くて当分の間、腹痛を伴うことになるのかもしれない。

私は韓国の「プルダッコックンミョン」というポップな鶏が描いてある即席麺が好きだった。
韓国旅行のお土産に両親に「マイルド」と書いてあったものを買っていったら大不評だった。

そんなこともあったが私はそんな辛いの好きな方にお送りしたい商品がある。

セイコーマートの「山わさびラーメン」である。イオン系列のスーパーで一時期販売していた凶器。

ネットを見ると「食べる拷問」というワードが一番最初に入ってくるが、私はその通りだと思っている。
そんじょそこらのカップラーメンと圧倒的に違う。辛さのベクトルが違う。

商品にも書いてあるように「わさび」の辛さを売りにしている。
なので唐辛子のような持続時間の長いヒリヒリ感はない。
が、爽やかなパッケージに騙されてはいけない。これは先にも書いたように
「食べる拷問」「凶器」なのである。


その所以たる特徴、それは「口に運べないほどの刺激香」。
実態に私が食べた経験とともにこれを読んでいるあなたが経験するであろう
様子をここに書こう。


お湯を注ぎ、3分待ち、蓋を開ける。
その瞬間、あなたは涙が止まらず、むせる。

良いのか悪いのかワサビを忠実に再現し、その香り、刺激を湯気にのせ、
あなたの顔面に殴りつけてくる。先手の目潰し。

あの香りを優雅に楽しめる人類はいるのだろうか。


「口に運べない」というのはそれだけではなく、
3段階の困難を伴っている。

最初に、目が痛い。それはあなたのドライアイの瞳を一発で潤し、かつ涙が溢れるほどの治癒力(治ったとは言っていない)。

それを乗り越え、勇気を持って箸を手に取り、麺をすくい上げ、口に入れようとしたあなた。
瞬間に第二波が襲ってくる。
強烈な刺激霧により咽せる。

喉と鼻を同時に刺すような刺激が襲い、風邪をひいた時に出る咳よりも激しく、
よだれと涙と鼻水が

スプラッシュッ!する。
容赦なく、隙を与えず、喉を狙ってくるのだ。


ティッシュを手に取り、息を整え、あなたはもう一度口に運ぶ。先ほどの渾身の咳により若干温度が下がり、
口元に近づけやすくなったであろう。

「今度は大丈夫そう」
そう思ったあなたは後悔する。第三波が待っていたことに。


日本では麺を「すする」という西洋圏ではない食べ方をする(正確には知らん)
この文化を狙った攻撃。
麺をすすると同時に消えたと思った刺激香をあなたは深く吸い込み、
先ほどよりも強く咽せるだろう。

その結果、良くて麺をカップにリバース。
悪くて撒き散らすであろう。

だから私は声を大にして言いたい。

一人の時に食べろ。と。

老若男女問わず、この凶器を前に憐れでみっともない姿を晒すことになるからだ。

このラーメンは涙、鼻水、よだれを垂らしながら必死に食べるラーメンである。

色々な汁を垂らしながら食べる。
辛い食事。
食事が娯楽ではなくなった瞬間。
三大欲求が二つになった瞬間。

と散々言ってきたが勧めたい理由はちゃんとある。
それは美味しい。当たり前のことだが、大切な要素である。
刺激を除けばわさびの香りもしっかりとしている。また食べてみたいかもと思えるくらいに。

そして他のラーメンでは味わえないほど、食後に清々しい気持ちになる。

人間は笑ったり、泣いたりするとストレスが軽減されるという。
その泣くという行為を強制的にさせられる結果なのかもしれない(あくまで自己責任なんだけど)

まさかセイコーマートは現代人のストレスを軽減するためにこのラーメンを作ったのだろうか・・・
(代償として清掃と羞恥心を残す)

これを見て試してみたくなったのではないだろうか。

私個人の感想は、また食べたい。それくらいの魅力はあると思う。
自宅で周囲に誰もいなく、体調が万全の時に。


私なんかにサポートする意味があるのかは不明ですが、 してくれたらあなたの脳内で土下座します。 焼きじゃない方の。