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知らずに後悔…「出れば母乳で」が危険なワケ

助産師WEBライターおかゆです。(こちらの記事は元Yahooクリエイターエキスパートで執筆していた記事の改変になります)


今回は、母乳育児のお話。

これから出産を控えたママさん、赤ちゃんに母乳をあげるか、ミルクをあげるか、具体的にイメージはできていますか?

おそらく初めて出産されるママであれば、産後どうやって赤ちゃんにおっぱいをあげるのか、想像がついていない方が多いと思います。

今回の記事では、初めて赤ちゃんを迎えるのに「母乳育児っていったい何をすればいいんだろう?」とお悩みのママに向けたお話です。

実際、初めての赤ちゃんが生まれた直後に、「母乳はどうしていきたいですか?」という質問をすると、9割くらいのママが「出れば母乳で」とおっしゃいます。(わたし調べ)

(残り1割のママは、「私は仕事復帰が早いので絶対ミルクにします!」という感じです)

ただ、この「出れば」というワードが特に危険。

なぜなら

  • 母乳が出るようになるにはコツがある

  • 出なくなってしまうと後戻りできない


からです!!

つまり、コツを知らずに自然に任せてしまうと、出ないまま気づけばもう後戻りできない状態になってしまうかもしれません!


母乳を出すコツ


それじゃあ、母乳を出すコツっていったい何…?

母乳を出すコツを知るには、まず母乳がどのようにつくられるのか、しくみについて知っておきましょう。


母乳をつくるしくみ

STEP1…赤ちゃんが母乳を吸う
    乳首に刺激がくわわる→その刺激が脳へ

STEP2…脳が母乳を作るホルモンを出す  
    脳が「母乳が必要なんだな」と判断して「プロラクチン」という   
    母乳をつくるホルモンを出す

STEP3…母乳がつくられる  
    つくられた母乳は「オキシトシン」というホルモンの働きで乳管    
   (母乳が通る道)を通って出てきます


つまり、母乳は受注生産
注文が入る(赤ちゃんが吸う)ことでつくられるのです。

でも生まれてすぐに母乳って出るの?

実は「母乳は生まれてすぐには出ません」。
(妊娠中からにじんでいて出る人もいます)


母乳育児成功のためのコツ

  • 母乳は最初は出ないと知っておく

  • 母乳が出るようになるためには、何回も吸わせる

  • つまり、出なくても吸わせることが大切


WHO(世界保健機関)の提唱する、「母乳育児成功のための10か条」でもこのように言われています。

出生直後から、途切れることのない早期母子接触をすすめ、
出生後できるだけ早く母乳が飲ませられるように支援する

WHO母乳育児成功のための10か条 一部抜粋


出産の後って、ママはものすごく疲れて消耗していますが、母乳を出すコツとしては、できるだけ早く、何度も飲ませたほうがいいのです。

休まないといけないけど、授乳も何回もしないといけない…

ここが産後の過ごし方で本当にバランスが難しいところです。


母乳は後戻りできない


そしてもう一つ知っておいていただきたい、大切な母乳のポイント。
それは後戻りできないということ。

出生後すぐの赤ちゃんは眠っている時間も長いです。

「まだあんまり出ないし、寝てるから吸わせないでおこうかな~」と回数を減らしてしまった場合、

乳首への刺激が減る
   ↓
ホルモンの分泌が減る
   ↓
母乳の量が減る

ということが起きます。


そうなってしまうと、もう一度増やすのは大変!


基本的に母乳の分泌を増やすためには、一日8回以上の授乳をすることが勧められています。
(月齢によって変わってきます)


何度も授乳を繰り返して回数を増やしたり、おっぱいを搾ったり(搾乳『さくにゅう』と言います)刺激を与えるために頑張らないといけません。

もし、何度も授乳しているのに赤ちゃんがなかなか泣き止まず、出ている量に不安がある時、ママ一人で対処するのはなかなか難しいです。

出産した病院で「母乳外来」があれば行ってみましょう。

母乳外来では、母乳を飲んだ前後で赤ちゃんの体重がどれくらい変化しているのか計って、分泌量を確認します。

ミルクを追加したほうがいいのか、母乳のスケジュールをどのようにしたらよいのか、といったことが相談できますよ。


母乳育児で気を付けたい3つのコト


繰り返しますが、産後すぐのママはものすごく疲れていて、授乳する体力なんてないという場合がほとんどです。

それでも、母乳の量を増やしていくためには、一日8回以上の授乳もしないといけない…

そこで気を付けてほしい3つのポイントをまとめました。

はじめから全力を出さない

ママになったからには、育児のことなんでもやらなきゃ!と頑張りすぎるママ、ちょっと待って!

出産後の一番大切な仕事は休むこと

母乳を推進している病院では、何度も授乳をするよう言われる場合もあるかもしれませんが、しんどい時には素直にスタッフに赤ちゃんを預かってほしいと言いましょう。

入院中はしっかりと休むことも仕事です。

そして、母乳育児が軌道に乗るまでは少し時間がかかるものです。
赤ちゃんもママも初めての共同作業。
少しうまくいかない時があっても、ゆっくりとやっていきましょう。

姿勢に気を付ける

実は、授乳がうまくできるかどうかは、姿勢にかかっているといっても過言ではありません。

ママはなるべく背すじを伸ばして赤ちゃんを抱きます。
そして、赤ちゃんは乳首を正しい位置で吸わなければ、効果的な授乳にならないんです。

正しい吸い方ができていれば、乳首に痛みを感じることなく、リラックスして授乳ができるのですが、もし間違っていると、ママは乳首が痛くて授乳を続けられません。

毎回の授乳が苦痛になってしまうと、母乳をあげたくても嫌になってきてしまいますよね。

赤ちゃんの正しい吸い方や詳しい姿勢については、今回の記事では触れませんが、入院中にスタッフにチェックしてもらいましょう。

環境をととのえておく

母乳育児に欠かせないのが、ママがしっかりと食べてリラックスしていること。

母乳の原料はママの血液です。

ママの血流をよくするためにも、しっかりと栄養のある食事をとって、できれば湯舟に浸かってゆっくりとリラックスすることで母乳はさらにつくられていきます。

そのためにも、産後の環境をととのえておくことが大切になります。

  • 自治体の産後サービスを調べておく

  • 家族で頼れる人を事前に見つけておく

  • 民間の家事代行サービスを探しておく

  • 宅食や配達サービスを登録しておく

使えるものはなんでも使って、ママが体を休めることと、授乳することに専念できる環境をつくっておきましょう!


まとめ


  • 出れば母乳ではキケン!

  • 母乳は吸わせることでつくられる

  • 一度減ってしまうともう一度増やすのは大変

  • 無理しない環境づくりを!

以上のことを頭の片隅においていただき、母乳育児スタートのお役にたてれば嬉しいです。


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