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30代女性なのに痛風かもしれないと宣告された話。

成人男性、肥満気味、プリン体過多、
アルコールが好きでよく飲む。

痛風になる人間を思い浮かべた時に浮かぶのはこの辺ではないだろうか。
私もそう思っていた。昨日の朝までは。


そもそも始まりは去年の10月まで遡る。

私の顔面はロシア人男性と称される程度に凛々しく、オーストラリアで様々な人種相手にマッサージをしていた同居人に
「おまえの肩と背中の造りはアジア人女性ではなく白人男性」
と評されたことがある。にも関わらず、身長は150㎝ジャスト

「え…?見た目の割に背が...…」

並んで立った人間から、何度そう言われたか解らない。
どうやら上半身だけ見た人からはデカい人間に見えているらしい。
何かラオウ的なオーラでも出ているのか?そう疑ってしまうくらい、圧倒的身長不足に喘いでいる。


そんなわけでとあるイベントにて身長欲しさにとあるブツに手を出した。
某ブランドの厚底レースアップブーーツ。

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これさえ履いて身長誤魔化しておけば!見た目ギャップも少しはマシになるものよ!


今までこのタイプのシークレットしていないブーツを履き続けてきて確かもう7代目。
馴染みのあるこの形だし、今回のは見た目が可愛い。しかも足が長く見える。難点と言えばめっちゃくちゃに底が硬くて笑えるくらい重たくて指先が正気かと言いたくなるくらい怠いくらいだろうか。



まあそのうち慣れるだろう。いつだってそうだったし。
石の上にも三年。靴を履いても三日の精神だ。



そう信じてその靴で銀座、新橋、原宿、有明、品川を歩き回るうちに右足が、親指の付け根が段々と痛くなってきた。

この痛みを解りやすく例えるならば、LOVE PHANTOM
長い長いイントロが荘厳に始まり、メロディが奏でられ始めたのは二日目の原宿。


痛みの気配を感じつつもジョジョの奇妙な冒険5部のコラボカフェの為に若者の街・原宿に特攻(ぶっこ)んだテンションで全力で気が付かない振りをし続けた。

次の日。三日目の品川でズキンズキンと熱を持つ足。
LOVE PHANTOMで言えば、はっきりとは聞き取れない外国人男性の語りが始まっている段階だ。
それでもまあ、そのうち治まるだろう。慣れだ慣れ。そう思っていた。


が、しかし関西に帰宅した次の朝。いきなりサビが始まった。

\い ら な い ! な に も ! 捨 て て し ま お う !/


口からCD音源と言われる、稲葉浩志のあの声と勢いのある曲。
だいたいあんな感じであの疾走感で足が爆発した。

「いったあああああああああい!!!!」

アホみたいに痛い。なんだこれ。骨逝っちゃってないか!?


歩けるには歩けるけど歩くたび痛い。
これ骨ヤっちゃってないか?ちょっと異常な痛みに恐怖を感じすぐさま整形外科に駆け込みレントゲンを撮るも異常なし。


恐らく合わない靴のせいで足が腫れただけだろうとのこと。
骨がなんともないならいいや〜とホッとして、貰った痛み止めの塗り薬をぬりぬりして大人しくすること一週間。次第に痛みは引いていった。一安心だ。


因みに。

件の靴は私の足に合わなかっただけかも知れない。
そう思い、呪いのブーツ改め見た目は可愛く中身は岩みたいな靴を足のサイズが一緒の同居人に譲った。
が、履いたらその日のうちに足裏が爆発して庇って歩いているうちに膝をやったと怒られた。シンデレラが義姉たちに履かせた靴ってこれなんじゃないの?

そんな呪いの靴は二人分のお気持ちを表明して、お焚き上げだと言わんばかりに物理的に燃やした。

時々ぶり返すあのポリリズム。
足にちょっとでも負荷を与える度「あの衝動はまるで悪夢ね」と言った気配に怯えてはやり過ごすこともあった。
なんだよあのブーツ。ダメージの残り方が凄い。

それでもなんとか足の痛みと手を繋いで明日を迎えてきたこと半年と少し。


事件は6月9日rockの日。午前5時に起きた。
思えば前日、前々日と足に違和感はあった。違和感は。でも時々あるレベルだったし取り立てて騒ぐことではないと思っていた。が、しかし。

B'zの、最初からサビをカマシテくる、ド派手なメロディと共に私は飛び起きた。

『 せ ー の で D I V E ! ! ! 』


っ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛た゛あ゛あ゛あ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!

なにこれなにこれなにこれ。
足に鉄の杭刺されてる??え?刺さってない??
じゃあひょっとして人類の原罪を背負わされてない???
もしくは焼けた鉄の靴履かされてない?踊らされてない???

立てば激痛 歩けば悲鳴 例え寝てても仮死状態。

あ、これ駄目なやつだ。死んだ。死んだわマジで。だって何しても痛いもん。呼吸の合間に痛いもん。
無理だこれ。世界があまりにもドブ色に見える。目に映るもの、耳に入るもの全てが呪われている。

足がわかりやすく腫れている。

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痛さにもんどり打ちつつ、得意のネット検索を駆使して家から最小限の動きで行ける整形外科を探す。スマホ弄っても痛い。
足なんて一個も使ってないのに!

咳をしても一人どころか息をしても痛い。

世界を呪いながらグーグルマップで検索し、結局前回と同じところが一番歩かなくて済むことが判明。
そう言えば前もそんな感じで選んだんだった。


気を失いたいけど失えない。痛い。
この痛みは小二の秋、バカみたいな理由で腕の骨を折った時と同じ痛みだ。骨折レベルってなんだ?昨日の晩は平和に京都の町屋の検索とかしてたのに。

7時を過ぎた頃合いを見計らい、上司にLINEで足が爆発したから会社を休む旨を伝え、とにかく時間が早く経つことを祈って白目を剥いて3時間。

やっと病院に行ける!!と近くのバス停を目指す。
足が痛すぎてまともに歩けねえ。杖が欲しい。タクシーに乗ることも考えたが乗るには距離が近い。
バスに乗るのも座るのも経つのも、とびきりのストップモーション。

どこに出しても恥ずかしくない老婆っぷり。こりゃあ横断歩道を渡るのも一苦労だ。日傘はもはや日傘ではない。杖だ。

よぼよぼ状態の死に体は病院に辿り着き、触診を受けると「ゔぺぁ!」とひしゃげたブーブークッションみたいな声が出た。 

だから!!めちゃくちゃ!!!痛いって言ったじゃないですか!!!なんで揉んだ?

前回と同じくレントゲンを撮り、血を採られた。前は血を採られなかったのに。まあなんでもいい。とにかく痛み止めでもなんでもくれ。
どうせ前と同じ理由のあれがパワーアップした痛みだろう。
この灼熱へのSHOW TIMEが止まるならなんでもいい。

二日前に献血したところだったので今腕に三つ穴が空いている。未だに耳に穴が空いてないのに先にボディなんて。どうでもいいことを考え口が半開きになる。だって震えるほど痛い。

やっと血を取り終わり、診察室によたよたと戻ったら医者が開口一番。

「骨に異常は無いですね。痛風の可能性が


WHY??Do you tsumori ?

症状からして痛風の可能性が高いです
「うそやん」

思わずタメ口になってしまった。だって中年男性じゃないしお酒飲まないし割と質素な食生活ですよ?

あと自分史上最大に痩せてるのに?ちょっと意味がわからない。

水分が足らないとか過度なストレスとか思い当たりません?

当たる!ここ最近めっちゃ思い当たる!!

「一応確定ではないですし、血液検査待ちですね。また二日後くらいに来てください」

お大事に、と言われなくても大事にせざるを得ない。
なんとか人型を保つのが精一杯。
痛み止めの頓服薬を貰い足を引き摺ってヨロヨロ帰宅。
痛み止めパワーでギリギリ成人のふりして歩けるくらいにはなってきた。
歩かなければどうと言うことは無い。

しかし歩いたら痛い。親指周辺に力が入るのを避けた結果、ゴリラみたいな歩き方になっている。
おかげで2日会社を休んだ。水はたくさん飲んで、と言われたのだ。
会社で1階の居室から3階のトイレまで何度も行くのが無理ゲー過ぎる。
人としての尊厳を失いかね無い。


しかし痛風…20年近く前の世にもブラックなバイト先(イニシャルGの記事参照)の店長が痛風だった。
中年男性で仕事中も酒飲んで食生活がガタガタだった…。
あれと同じなの?
やるせないしあの店は地盤沈下で沈めばいい。

しかし、これが痛風ならこのレベルで痛いのも納得出来る。でも痛風なんて嫌なんですけど!!!

人生とは…なんだろう。そんな無常を考えつつ、明日の宣告を待つのであった。


【6月11日追加】

血液検査の結果、逆転無罪。痛風じゃなかった!!!数日前に献血したばかりだったので尿酸値が正常で本当に良かった…。

しかし、じゃあ原因なんなんですか?と聞いたら不明とのこと。未だに足腫れてるけど原因不明って…逆に怖いな…と思いつつ、痛み止めを飲むのであった。

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