見出し画像

「聖地には蜘蛛が巣を張る」


 アリ・アッバシ監督「聖地には蜘蛛が巣を張る」を観たので感想を。前作「ボーダー 二つの世界」は人とは違う種の世界を描いたダークファンタジーでしたが、今作は実際にイランで起こった16人の娼婦が殺害された事件をベースにしたバリバリの社会派。
 冒頭からモスクを中心に蜘蛛の巣のように広がる聖地マシュハドの姿が映し出され不穏な空気に。連続殺人犯を追うジャーナリスト、ラヒミを中心に物語が進んでいきますが、冒頭から独身女性が一人でホテルに泊まることを怪しまれたり、情報提供を求めていた警察官にセクハラされたり、終始「女性であること」を理由に理不尽な目に遭う姿に胸が痛みます。冒頭で犯人が明かされるので二人が接近するたびにヒヤヒヤしたり、クライムミステリーとしても最後まで緊張感が途切れませんでした。
 犯行シーンはもちろんですが、本当にショックだったのは「汚れた娼婦を殺すことで街を浄化した」として犯人が英雄視され裁判での彼の発言に笑いが起こっていたこと。聖地に巣食う蜘蛛は犯人だけでなく、そんな彼を支持し問題の本質から目を逸らしている人々なのかもしれません。やっとラヒミの苦労が報われたかと思ったら、最後の最後に流れた映像でさらにとどめを刺されることに。親から子へ間違った考え方が受け継がれていく限り、イスラム社会だけでなく世界中で起こっている差別は無くならないのです。イスラム社会の女性蔑視はイスラム教に起因するイメージがありますが、実際は文化というか慣習に近いものだという印象も受けました。
 女性としては本当に胃が痛くなるような作品でしたが、ぜひ男女問わず観て考えて欲しいなと思います。

 さておかゆ嬢ですが先週エコー検査をしてもらった結果、リンパが少し腫れているとのことで投薬で様子を見ながらまた1ヶ月後くらいに再チェックすることに。吐き気もおさまり食欲も戻って本人は元気なんですけどね。それまでに腫れが治りますように。上は空になったご飯皿をガシガシして催促するおかゆ嬢です。犬なの?

 なぜか夫も私も体調不良気味でやっと回復してきたところです。皆様も急に暑くなって体調崩されませんように。相変わらずポイズンな世の中なので、日曜は投票に行って来ようと思います。見出し画像はosajiのネイルの新色ペガサス。ピンクとブルーの偏光パール入りベージュというのが珍しくて買ってみました。

この記事が参加している募集

猫のいるしあわせ