『七十歳死亡法案、可決』を読んで。

 まず最初に、題名と関係のないことを。
 他の人が書いたnoteもチラ見程度で読んでいるが、みんなの文章は読みやすい。何より見栄えがいい。段落分けとか、文字の表示の仕方とか、目次をつけていらっしゃる方もいる。当たり前のことだが、そういった所に気付けることもまた勉強になる。自分自身そもそも操作の仕方が分かっていないと言うのもあるのだが…。そういえば写真みたいなのを挿入してらっしゃる方もいて惹きつけられた。まぁ僕としては、文章で表現したい惹きつける文を書きたいという思いもあるから、文章能力をもっと磨きたいというのが結局のオチになってしまうのだが、とても参考になった。

 閑話休題。今日、10日ほど前より読んでいた小説『七十歳死亡法案、可決』という本を読み終わった。感想を簡単に述べるとすると、最後にかけて物足りなさを感じたものだった。しかし、とても読みやすく話の内容がスラスラと頭に入ってくる小説だった。もちろん、題名にある通りの時勢を捉えた話で、そう言った高齢化社会に向けて考えさせられるものであった。高齢化社会といった問題以外にもブラック企業や引きこもり、夫婦における男女の捉え方の問題といった問題も描かれており、高齢化社会といった問題はまさに社会問題なのだということが改めて感じさせらた。
 問題といった側面で、僕個人が感じたのは「コミュニケーションの難しさ」と言った問題だ。コミュニケーションとはただでさえとることが難しいのに、全員がその難しさを理解しておらず、真剣にコミュニケーションを取ろうとしない。「分かってくれるだろうという怠慢さ」と、「どうせ分からないのだという諦め」、そして「鼻っからコミュニケーションなど取ろうとしない」と言ったこれらの感情がことの事態をどんどん悪い方向へと持っていく。その対照として、ちょっとやそっとのことではめげずに諦めずコミュニケーションを取ろうとしていた場面も描かれていた様に感じた。ネタバレになってしまうと良くないと思うため、深くは述べないが2場面はそう言った場面があった様に感じた。僕個人としては、現実世界でコミュニケーションを諦めずにとっても、伝えようとしているものが100%通じるということはなかなか難しいものだとは思う。それでもコミュニケーションに対して真摯に向き合うことが必要だということが、この本を読んでいて大事だなと感じた。まぁそうこう言っている今現在の自分も、伝えたいことが伝えられているのか不安になってきているし、実際何を書いているのか分からなくなってきてもいる…。笑 結局は、コミュニケーションとはとることが難しいと理解し、それに対して真摯に向き合うことが大事ということが、僕が今言いたかったことだ。

 『コミュニケーションの難しさ』というのは僕の人生における大きな主題の1つでもある。昔から何か本や映画を見ているとそう言った場面が目に付くし、考えさせられる。平田オリザさんの『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』という本を読んだ時、ミヒャエル・ハネケの『コードアンノウン』を観た時は特にそう感じた。『コードアンノウン』なんて本当に名作だと思う。ハネケを知らない人、映画をあまり観たこと無い人からすると、「何だこれ?」で終わってしまう様な内容だが「何だこれ?」で終わるんじゃなくて、それを乗り越え色々調べ、自分で考えるとドンドン味の出てくる映画だと思う。ソフトいか燻製を食べているみたいな映画かな?笑 まぁ彼の作る映画はどれもそんな映画だから、立て続けに観ていると疲れるんだけどね。でもその映画を観ると本当にコミュニケーションは難しいんだなとヒシヒシと感じられる。今回の小説を読んでも歯痒くなる程感じられたけどね。
 あー。本当はあの出来事も本気でコミュニケーションと対峙したから出た結果なのかなって思っていることもあるんだけど、書きづらい…。ネタバレじゃ無いかもやけど、ネタバレかもしれんしなー。まぁ無理して書かなくてもいいと思うからパスします。
 最後に駆け込み的な感覚で終わってしまった小説って印象があるけれども、序盤は面白いと特に感じた話でした。いま並行して、『コンビニ人間』を読んでいるけど、個人的にはそっちの方が現時点の途中段階では面白い様に感じている。
 久しぶりに小説を読めて楽しかったな。

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