不確定日記(綿毛と銀座線)
夢。眠っているとふすまの向こうに見知らぬ女性がいる。あのーすいません!すいませーん!と声をかけるが怪訝な顔をされる。そういえば間借りの人がいるのだった。すいません寝ぼけて。よくやるんです。遺伝で。女性はボブパーマの細身でいくらか年上。お惣菜や寿司のパックを買い過ぎたというので食べる。厚揚げを味噌で炒め直す。刺身もあったはずだが生春巻しかない。
いつのまにか高いスツールに座っている。友人もいる。テレビで、警察官がラッパーになるバラエティ番組を撮りたいのだと持ちかけられる。警察官の知り合いはいるけど、あの人もうバンドやってるんじゃないっけ、と言うと渋い顔をされる。この街は鶏が名物らしく、籠に詰められた茶色い羽の鶏が売られている。味噌鍋の店は座敷で窓からラブホテルが見える。
風が強かった。
家を出て30秒で唇に何かの綿毛が張り付いたのでオイルリップを塗ってきたことを後悔する。
いつもこの辺りで間違いに気づく。雨が降りそうなときにファーのついた靴を履いて出てしまったり。
そしてちょうどこの辺りに銭湯の主人もしくはたぶんその母であるお婆さんがいる。難しい。
銀座線にはたましにか乗らないが、工事前最後の日だと知った。地下鉄が渋谷の古いデパートの二階通路に到着する秘密基地っぽさをいつまで覚えているだろうか。
先日、母に彼女は観ていない大河ドラマ「いだてん」の話をしたら、先の東京オリンピック当時の実在の登場人物や地名はすべてノーストレスで通じて(「えっ亀倉雄策が出てくんの?」)、ああ彼女の東京は20代だったあの時代がベースになっているのかも、という気がした。私が「上に道路通ってる日本橋しか知らない」と言うと「あら?そうか」というかんじ。
そうすると私の東京は2000年代初頭だろうか。
噂だけ聞いて行っていなかったリニューアル後の渋谷PARCOを見て帰ろうかと思ったが、風が強すぎてやめた。山手線に乗るあたりから鱈が食べたくなって、後はずっと鍋の具材を考えながら帰った。
そんな奇特な