不確定日記(したくない故の熱)
そういえば換気扇は直っていない。途中は端折るがどうも直る気がしない(人的な)事態が続いており、もういっそのこと引っ越してしまいたい気持ちになった。近所の食品スーパーが軒並み閉店し、大きくて綺麗な店ができてしまったことや、一度も行ったことも交流したこともない古いスナックが取り壊されたことで町への愛着が薄れてもいる。
こういう時、私は少し嬉しい。物件を検討できるからだ。私は間取り図が好きなほうで、物件サイトなら何時間でもみていられる。東京中に住んでみたい場所がいくつかあり、とにかくたくさん見る。電車の中や食事中や風呂に浸かりながらもスマホをジッパーケースに入れて見る。好もしいのを見つけると地図アプリで場所を特定してそのあたりをストリートビューでウロウロしたり、Illustratorに図面をコピーして家具の配置を考えたりもする。引越しの可能性が出てくると、ちょっと生活に支障をきたすほど熱中してしまう。
新品は照れくさいので古い建物が良く、仕事もするので広さがあるのが望ましい、などの条件はずっと変わらないので、以前物件を探していたときにも見た建物を見かけることもよくあり、住んだこともないのに懐かしさが湧く。
そうして見つけたのが現在住んでいた部屋だから、ものすごく検討して探し当てたはずなのに、ここはまあまあ住みづらい。
遠近法で奥の部屋が小さく見えるのかと思っていたら畳自体がとても小さかったり、漏れる蛇口や劣化したトイレのタンク内ホースは自分で替えたし、風呂場の排水は洗濯ホースなので猛烈にカビる。そして換気扇。古いのが好きだから仕方ないとはいえ。
つまり妄想が好きなだけで実際に見る目はない。そして、引っ越しそのもの(荷造りや事務作業やお金の管理や移動)がまったく好きではない。なるべくなら先延ばしにしたい。引越しから逃避したいが故の物件探しなのだから成功しようもない。今私のスマートフォンには三つの物件アプリが入っている。
そんな奇特な