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「付き合ってはいけない男」と結婚した②

前回の話

夫との同棲生活が始まった。

私は仕事を辞めて関東に来ていたので、仕事探しから始めることにした。しかし、その時はまだ双極性障害ということがわかっておらず体調が安定しなかったので、ゆっくり探すことにした。

同棲が始まって約1ヶ月後、私は都内の企業の障害者雇用枠で働くことになった。仕事自体はそんなに大変ではなかったけど、元々九州の田舎に住んでいた私にとって都会の通勤は厳しくて、乗車中に何度も気分が悪くなり駅で吐いたりした。1ヶ月間行ってそのあと休職してそのまま辞めてしまった。

夫は、生活費からデート代まで何から何まで全て出してくれていた。私は収入がないけど、元夫と暮らしていた時のインターネットの違約金や保険代など支払いはあったので、時々お金が足りなくなった。夫は20代の平均的な収入の会社員にも関わらず、そんな時夫は「はい、3万円渡しとくよ」とポンとお金をくれていた。

収入がほとんどない代わりにせめて家事をしようと、私は毎日、都内で勤務する夫にお弁当を作った。最初は毎朝早起きしてたけど、段々と面倒になったので、作り置きおかずを作った。
洗濯掃除炊事は私がやって、買い物は週末に近所のスーパーに一緒に行った。

部屋は7.5畳のワンルームだったけど、徹底的に断捨離して収納も工夫して、マットレスを畳めばリングフィットができるくらいの広さが確保できた。

毎日同じ家で過ごして、食べたい物を作って一緒に食べて「美味しいね」と言い合い、同じベッドで眠りにつく毎日はとても幸せだった。

週末には、夫は東京の色んな場所に連れて行ってくれて、たくさんの街をデートした。好きな場所がたくさんできた。中でも特にお気に入りなのは、二子玉川の河川敷で、公園にあるスタバを買って、川沿いで飲むのが好きだった。

時々は喧嘩というか、夫は怒らない人なので私が1人で怒ってるだけだけど、例えばなかなかゲームをやめてくれない夫にイラついたこともあった。
私が怒るといつも夫は「ごめんね。気をつけるね」と謝ってくれた。ぶつかった時はいつも、どちらかの不満を一方的に聞くのではなく、お互いが心地よく過ごすためにはどうするのが一番いいかよく話し合った。

これは血の繋がりなど関係なく誰と一緒に暮らしてもそうだけど、当たり前のことを当たり前と思わずに、どんなに些細なことでも「ありがとう」と「ごめんね」を伝えることはとても大切だと思う。

私は毎日「仕事頑張ってくれてありがとう。お疲れ様」と言ったし、夫は「いつも家のことありがとう。助かってるよ」と言ってくれる。

これは精神疾患を持つ人あるあるかもしれないけど、私はなんでもぐるぐると先のことまで考えすぎて落ち込む癖がある。だから、夫には今考えていることを何でもすぐ話して相談した。

夫の性格はどちらかといえば楽観的だ。
問題はある程度対策したらもうそれ以上考えず、その時になって対応する。出来ないものは仕方ない。といった感じだ。

私が夫にこういう話をしたことがある。
「周りの友達は、みんなフルタイム正社員でばりばり働いてる。私はやっとできてもせいぜいパートだし、収入も少ない。人より劣っている」

すると夫は「みんなって言っても、世の中には専業主婦やパート主婦の人もいる。その人たちのことを劣っているとか思わないでしょう?あなたは家事をちゃんとやっていて、それで俺は助かっている。脚を怪我してる人に走れって言う人おる?精神疾患がある人に頑張れとは言わないよ」と言った。

夫と生活するようになって初めて「人生って頑張らなくてもいいのか。手を抜いてもいいのか」と学んだ。
私の学生時代の話はまた別に書くけど、今までの人生、頑張ることが当たり前だったので、夫の価値観は私にとって衝撃だった。

同棲して3ヶ月くらいが経った頃、新しい精神科で双極性障害と診断されてからは、薬が変わり症状は改善していった。それでもとにかく無理をしない生活を心がけた。

新しい仕事は徒歩圏内にある調剤薬局で、無理せず1日数時間、週3回くらいから始めた。ここの調剤薬局では、後に丸1日働くこともあり、関西に引っ越すまで1年以上勤務できた。

私の収入が増えて家計も見直したことにより、元夫との間にあった借金も完済し、貯金も順調にできるようになっていた。

同棲し始めて半年くらい経った頃、夫からプロポーズされ、私たちは結婚することになった。
一緒に結婚指輪を見に行ったり、オシャレなスタジオでフォトウェディングを撮影したり。とても貴重で幸せな体験だった。

夫にとって私のなにが良かったのかはよくわからないけど、夫は一度の浮気どころか、自分のための散財はほとんどせず、毎日私に感謝と愛を伝えてくれて、私の喜ぶことを考えて積極的にやってくれた。

結婚して2年以上経ち、子どもが生まれて生活が変わった今も、この人と結婚して良かったと毎日思っている。

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