巨人
おれが巨人だった頃の記憶。
言葉は色とかたちに分かれていて、おれの友達は色とかたちを聞いていた。
シコーというおれの友達は、おれの話が好きで、よく水色と黄色の丸いかたちを聞かせてくれた。
ときどき眠れない夜は、ピンクとうすい紫が混ざったような色を、話すでもなく、聞くでもなく、見るでもない、なんとも言葉にしずらい行為でやりすごした。
例えるなら、走りながら疲れず、過去の景色の中にいるような。
そうだ、「いる」という言葉が似ていると思う。
昔巨人だった、おれの話。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?