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映画感想文_シャイロックの子供たち

池井戸作品ほど映像映えする作品はないと思う。
そりゃそうだ。
小説で描かれる舞台は企業や銀行といったリアルな世界のものだし、登場人物ひとりひとりのキャラクターが際立っている。
そんな状況でストーリーが面白いのだから、そりゃ映画化ドラマ化するだろう。

そんなわけで。本作も当然鑑賞。
なんとなく、これまで映像化されてきた池井戸作品と異なる印象を受けたのは、
善と悪の境目が曖昧なところかなと。
誰しもがちょっとしたきっかけで悪になってしまうし、ほんの出来心で簡単に周囲の人を裏切ることになってしまう。
その場でのちょっとした判断がものすごい後悔を産むことに…。

この作品における「後悔」や「裏切り」は犯罪級のものであるが、
誰しも日常の中でそういったことがあるのではないだろうか。
私もそう。ちょっと楽しようと思ったがために後々周囲に迷惑をかけてしまったり、ちょっとした発言がきっかけで反感を買ってしまったり。
もう一歩だけ先を考えるだけで踏みとどまることができるはずなのに。
人間ってきっとそういうふうにできているんだろうな。
みんな池井戸作品の主人公のような正義のヒーローに憧れるけど、今の自分は正義とは程遠い…

池井戸作品らしいけどらしくないような、
面白い作品でした。
欲を言えばもっと長尺でいろんな心情や伏線や、そんなものを見たいと思うけど、一本の映画という限られた時間の中では、そこまで凝縮するのは難しいのかな…
この作品は原作を読んでいないので、ぜひ読んでみようと思いました。

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