環境主義が問いかける技術革新

 環境重視の進歩的論調はついに企業活動の変革を促している。欧州を中心とする21の投資家連合がベトナム石炭火力発電所計画に参加する企業などへ撤退を要求していること日経が報じた。

これは非常に珍しいケースではあるが、今後このような事例が時局に応じて増えてくるのではないかと考えると企業も悩みの種が増えるだろう。

 環境重視の声が問題だとはまったく思わない。きっといつか直面する問題なのだろう。だが、この問題をどのように解決するかによっては社会全体に大きな影響を与えるようになる。

国がCO2排出量を0にするというのは構わないがどのように実現しようとしているのか。これが国民への脅迫のような形(炭素税構想やプラ袋有料化など)での実現なら大きな問題だ。

また環境主義はいくつかの産業の破壊も意味する。中東などオイルマネーで成り立ってる国は大きな損害を被るだろう。環境主義に共感し社会が新しいイノベーションを起こすのであれば、これは有意義なことだ。

実際日本の石炭火力発電は着々と改良を重ね排出するCO2の量を減らしている。

このような技術革新が今後、環境主義によって世界中で起きるのであれば、これはいいことだろう。

しかし、グリーンニューディールのようなバラマキは新たな利権を生み出すことになる。だからこそ、環境主義を民間で危惧し声を上げる今回のような場合はいいが、国が主導でやるのはどうかと考える。

 また今回はベトナムが舞台だが、発展途上国に環境主義を掲げて先進国の投資家が文句をいうのは発展途上国側からしたら理不尽に見えるだろう。先進国は許されてきたにも関わらず、発展途上国は後の時代の時局の観点からできないというのは反発がでると予想される。

だからこそ技術革新の可能性も踏まえながら、過剰にではなく緩やかに時局を構成し理解を深めることが重要だ。

 環境主義の声は世界全体として取り組むような問題でありながら、各国の立場や産業構造を考えると全体で連携するのは大変難しい問題だ。だからこそ一部のポピュリストに牽引されて活発化するのではなく、そういう考えもあるという認知活動を重点的に行い徐々に政策実現を目指していくべきだ。

欧州の地方議会を中心に環境主義政党の躍進が目立ち始めている。意識高い系なのは構わないがそれが誰かの生活を弾圧し破壊するようなものであってはならない。理解なき政策は国家存亡の危機を招くことになるからだ。


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