見出し画像

グングニルとサラリーマン




グングニルそれは主神オーディンが持つと言われており、穂先を向けた軍勢に必ず勝利をもたらすとされる伝説の槍である。




課長「おはよう」
一同「おはようございます!」
課長「えー、では朝礼を始めていきたいと思いますけども、今日はお金の仕組みについて話そうと思います」

うちの会社の朝礼は、毎週月曜日は課長がスピーチし、火〜金曜日は我々一般社員が担当する制度だ。俺はスピーチが苦手で、以前天気の話をしたら、内容が薄いと課長に怒られてしまった、あんただって天気の話してただろ。

課長「えー、ということで、ちょっと時間過ぎてしまったんですけどもこれで朝礼を終わります、今日一日よろしくお願いします」

グングニル2

一同「よろしく願いします!」


皆それぞれ自分の持ち場につき、作業を始める。俺はまずパソコンの電源をつけ、立ち上がる間に業務日誌を書く。日付、天気、今日行う予定の業務内容などを記入する。

課長「おーい、田沼くん、ちょっときてー」
田沼「はい?」

グングニル3





ここでグングニル豆知識

決してマトを外さない、そして敵を貫けば自動的に持ち主の元へ戻ると言われる、最強の槍である。






業務日誌を書いている途中に、課長に呼ばれたので、戻ってきた時にどのページかすぐに分かるよう、簡易的な処置をして、課長の元へ向かった。

グングニル4

どうやら会議資料のコピーを15時までに仕上げてほしいとのことだ。
田沼「では、16時ごろには会議室に資料を並べておきます」
課長「お、助かるよ」


業務内容を全て終わらせ、定時で帰った。家まで歩いている間に、雨が降り始めた「洗濯物取り込まなきゃ」
家につくと真っ先に洗濯物を家の中に避難させた。
田沼「せっかく乾かしたのに、ビチョビチョだ。部屋干しするか。腹減ったな、カップラーメンでいいか」
お湯を沸かし始める
オーディン「おい、グングニルに選ばれし人間よ」
田沼「うーん、どうしよっかな」
オーディン「おい、グングニルに選ばれし人間よ」
田沼「こっちは、前食ったしな」
オーディン「おい、塩か味噌か選びし人間よ」
田沼「はい?え、誰ですか」
オーディン「私は神、オーディン」
田沼「神...」
田沼「そうだ、お前がグングニル所有者に相応しいか判断するため、天界からやってきた、ところでグングニルはどこだ」
田沼「グングニル?なんすかそれ」
オーディン「昔、私が神族と戦争した際に使っていた伝説の槍である。どこに保存してあるんだ?むむ」

グングニル5

オーディン「おい、グングニルを物干し竿の代りに使うな」
田沼「あ、これがグングニル?俺以外には見えない便利な棒だと思ってました」
オーディン「便利な棒ではない、世界樹の枝から作られた、神聖な槍だぞ」
槍を取り上げる
田沼「ちょっとやめてくださいよ、俺のですよ」
オーディン「おぉ、久しいなグングニルよ何千年ぶりだ、ん?お前もしかしてだけどさ」

グングニル6

オーディン「グングニルをメモ帳がわりに使ってる?やめろよ神聖な槍だぞ」
田沼「いいじゃないですか、返してくださいよ」
奪い返す
オーディン「お前さ、グングニルを100均で買える物だと思ってないか?」
田沼「あ、神様ちょっと、どいてもらっていいですか?足元にゴキブリいるんで」
オーディン「ん?あぁ、わかった」

グングニル8

ばしぃぃぃぃぃんんんんんんんんん


オーディン「!?おい、ゴキブリ駆除する時だけ正規の方法で使うな」
田沼「ゴキブリは確実に消しときたいんですよね、嫌いなんで」
オーディン「神聖な雷だぞ、ゴキジェットがわりに使うな」
田沼「あ、そうだ。神様が来るなんて縁起がいいから、この前買った宝くじ見よっと」
オーディン「ところで、人間よ。他の神に聞いたのだが、エクスカリバーも、持っているらしいな」
田沼「エクスカリバー?なんすかそれ」
オーディン「エクスカリバーは、アーサー王が所持していた、魔法の力が宿る伝説の剣だ」

田沼「ちょっと分かんないですね。神様、10円玉持ってます?」
オーディン「持ってねぇよ」
田沼「そっかぁ、じゃあこれでいいか」

グングニル7

オーディン「おい、スクラッチをエクスカリバーで削るな。お前さっきから伝説の武器を適当に扱いすぎだ。どうやら所有者として、相応しくないみたいだ」
田沼「そんな、ちくしょう!5等かよ」
オーディン「グングニルとエクスカリバーを渡せ」
田沼「嫌ですよ。これからは、ちゃんと使うから」
オーディン「ダメだ。神が一度決めたことは、変えられん」
田沼「そこをなんとか」
オーディン「しつこいぞ、早く渡せ」
田沼「あれ?こんなとこに、もう一匹、でっけぇゴキブリがいるなぁ」

オーディン「グングニルに選ばれし人間よ、これからも期待しているぞ、私は天界へ帰る、さらばだ。」
田辺「よーやく、いなくなったよ。あ!お湯沸かしたままだ、お、ちょうど沸騰してる。うーんどうしような、こっちは前食ったし、味噌でいいか、お湯を注いで、かやくを入れて、フタどうしようかな...はい?え、誰ですか..スサノオ..草薙の剣?なんすかそれ」



グングニル9


この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?