あこがれ。
毎晩、私は夢を見る。
みんながみんなそうじゃないって、知ったのは結婚後。夫は全く夢を見ないらしい。
夫の寝顔は、眉が垂れ下がり、口はゆるんで何とも力の抜けた可愛い顔をしている。
見ていると何だか、こちらが幸せな気持ちになる。
少し前、子供を寝かしつけながら寝てしまった自分を写真に撮られた。
見てびっくり。
眉間に皺寄せたまま、眠っている自分の寝顔を見て、これは毎晩夢を見るわけだと納得した。
可愛い寝顔に憧れる。
夢の内容は毎晩違うが、よく見る夢がある。
それは、自分が習った「習い事」の夢。
幼い時のピアノだったり、習字だったり、
自分はまだその習い事を習っている設定で、夢の中の世界は進んでいる。
何度もみるこの夢から覚めるとき、私は決まって複雑な心境になる。
起きてもしばらく心がザワつく。
夢を何度も見るうちに、どうしてこんなにこの夢が繰り返されるのか、考えるようになった。
一つ、心当たりがあるとするならば…
終わり方。
あの頃、習い事に全然前向きじゃなくて、体調わるいとか忙しいとか何やかんや理由を付けて、行かない日がちらほらあって、
そうしているうちに、母が見かねてきっとそれぞれの先生に話をつけてくれていたのだと思う。いつの間にか、行かなくてもよくなっていた気がする。
それが、どこか引っかかっているんじゃないだろうか。
終わり方は難しい。
「やめたいです。」
言うことが重く苦しい言葉だ。言う方も言われる方も。
だけどそれが本心なのだとしたら、小さな声でもきちんと、言えていたらよかったのかな。
「今までお世話になりました。」を添えて。
自分が逃げるように辞めたことへの後ろめたさか。責任を自分で負わなかったことへの罪悪感か。
考えすぎかな。
とりあえず、
眉間に皺寄せなくても眠れるようになりたい。
可愛い寝顔に憧れる。