マインド飯ネス
はやく寝たほうがいいよ、明日木曜だよ?
と自分に問いかけながら、いま白ワインを飲んでいる。
なんならカマンベールチーズもつまんでいる。
この間、人に勧められて2分間のマインドフルネス瞑想をした。ただリラックスして、呼吸に集中して、何か思い浮かんでも評価せず呼吸に戻る。
日々、慌ただしく過ごしているせっかちな私にはとても新鮮で、よかった。
けれどふと、頭をよぎってしまったんだよね。
マインド飯ネス。
私は食べ物について考えているときが最もリラックスしているし、邪念も消える。
ありじゃないかな、マインド飯ネス。
というわけで、やってみますね。
・いま微妙に空腹な方
・日常にストレスを感じている方
・根が食いしん坊な方
そう、あなたのために書きます。
(マインドフルネス界隈の方が見たら苛立つと思うので、そっと閉じてください。ふざけてるけどふざけてないです。ごめんなさい。)
***
まず、大きく伸びをして、
口から息を吐きましょう。
鼻から吸って…吐いて、吸って…
ああ、良い匂いですね。
炭火で焼いた鶏の匂い。
焼き鳥屋さんのカウンターで、
キンキンに冷えた生ビールと、突き出しの鶏皮ポン酢。
隣の席のポテトサラダも、卵がごろごろ入っていておいしそう。あとで頼も。
お待ちどうさま!と大将から手渡された藍色の長皿には、
レバー(塩)
ハツ(塩)
つくね(タレ)
が乗っている。さいっこう。
はい、息を吸って…吐いて。
大将からもう一つ、小さな小皿。ああ、つくねに絡める黄身か。橙色につやつやと光って美しい。
3つの串を凝視したあと、よし、とレバーから手に取る。
ふわん
半生の食感と、岩塩の程よい加減、思わず目を閉じて噛み締める。
ん〜
余韻を噛み締めながら、鼻から息を吸い、
大きく吐き出す。と同時にビール!
冷たいビールが心地よく喉を潤す。
ふぅ。
私、この瞬間のために生きてた。
お次はハツ。つくねに行きたいけれど、深呼吸して、塩・塩・タレといきましょう。
パンっと張ったハツ。勢いよく口に入れると、ぎゅっと濃厚な旨味がやってくる。歯応えという幸せ。永遠にそのままで。
別れを惜しむようにそっとビール。ああ、すでにジョッキ半分しかない。そっと持ち上げて店員のお兄さんに目配せする。
はい!生いっちょ!
とすぐ分かってくれて嬉しい。
「あと!ポテトサラダと、アスパラ豚巻き、それからもっかいレバー。」
食欲が順調に増して行く。
怖いものなど何も無い。
溢れそうな愚痴は鼻歌にして、つくねで蓋をすればいい。
ツヤツヤと光るつくねを手に取り、黄身にしっかりと絡めたあとで、ゆっくりと大きな口を開けた。
***
さあ、味はいかがでしたか。
つくねに軟骨が入っていて良いアクセントだった?
いいですねぇ、最後はさっぱりキャベツでも食べて、現実に戻りましょう。
息を鼻から吸って、ゆっくり吐いて。
焼き鳥屋から、自宅に帰ってきました。
さあ、明日もがんばりましょ。
マインド飯ネス、なにこれ。
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