【活字で食べるごはん】山梨ぐるりとおいしい旅
ストレスと老化が猛威を奮っている。このままでは「苦悩」というタイトルの石像みたいな顔になっちゃうかもしれない…そんな悲壮感ある毎日の先に、待ちに待ったGWがやってきた。
書いている今は、もうGWも終わりかけなのでぶるぶる震えているけど。最近の苦しみはきっと、GWのための布石だったのだ。仕事はさておき、口福の神様だけはいつだって私の味方。
今回の旅程は、静岡経由で山梨へ。食べたもののうち、おいしかったものだけピックしながら、旅のメモを残しておく。
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とある夕方、下校した子ども達を車に乗せて、「さっきまで学校にいたのにー！」を連発しながら、きゃいきゃいと静岡へ向かった。晩ごはんに、アレを食べるため。
さわやかのハンバーグ
静岡県内にのみ存在する肉の塊。2時間待ちだが発券機があるため、街をぶらぶらしてお腹を空かした。どどん！と大きなげんこつ大のハンバーグを、お兄さんがナイフで半分に切り分けて鉄板にじゅうじゅうと押し付ける。音と匂いだけで酒が飲めそう。丸々とした塊の中は赤く、ハンバーグというよりユッケである。焼肉より肉肉しい。うまい！さいこう！と言いながら食べるハンバーグは、GWの開幕を知らせるファンファーレ。
翌朝、山梨へ向かう。快晴だった。
信玄餅ソフトクリーム
濃厚なソフトクリームに信玄餅と黒蜜。想像通りのおいしさ。ソフトクリームのミルク感が強く、山梨の格を感じる。その夜、ホテルのビュッフェにもソフトクリーム機と信玄餅が置いてあり、私が若者ならば無限信玄餅ソフトクリームから抜け出せないところだった。（冷え性なので1つが限界）
ついでに、ジビエ屋台でおじさんが手作りしているというフランクフルトもおいしかった。肉汁したたるソーセージと快晴、ビールを熱望しながら冷水をごくごくと飲む。アツアツを優先したので写真は無い。
八ヶ岳プリン
プリンは、満腹でも食べられるから好き。ホテル の側に中村農場という鶏料理屋があり、その隣でスイーツ店も営んでいる。外の席に座り、プリンを愛でた。卵の色が濃く、オレンジがかっている。甘さは控えめで、カラメルソースを絡めるとちょうど良い。卵の味がしっかりしているから、小さいのに満足感がある。息子とひと口交換しようとした娘が「そんなに深くすくわないで！！」と叫ぶ。うつくしい山、うつくしいプリン、いつも通りの家族。
宿泊先のホテルには謎解きMAPがあって、これがなかなか難しくておもしろい。夕方と朝、周りの森をぐるぐると巡った。
清泉寮のソフトクリーム
キャラメル色の牛たちがのんびりと牧草を食べている。その近くのショップでソフトクリームを買い、白い机に腰掛けた。眩しいほどの日差し、うつくしい山々、濃いソフトクリーム！細胞のすみずみまで蘇る。ふと見ると、夫が瞬殺でソフトクリームを平らげている。はやい。彼も蘇っているに違いない。
平打ちのお蕎麦
こんなにうつくしい場所なんだもの、さぞかしお蕎麦もおいしいだろう。そう期待して行ったのに、期待を何倍も上回るおいしさだった。
少し太い平打ちのお蕎麦は、冷たくキュッと締まっていて歯応えがある。擦りたての山葵をちょこんと乗せ、木の蕎麦猪口に入っているつゆにつけて、ずずずと吸いあげる。一気に蕎麦の香り・山葵の香りに包まれた。「なにこれ」「おいしすぎる」驚きを隠しきれない私たち家族に対し、店内はとても静か。もしかして、私たちだけ蕎麦を知らないのかな。今まで食べてたお蕎麦、輪ゴムだったんかな。不安になるくらいおいしい。大盛りにしたら良かった。きのこと野菜の天ぷらや、そば湯も完全に調和していて、うっとりした。いつもはうどん派の息子も、うまいうまいと平らげた。
ペンションのヒレステーキ
ペンションにも一泊。ちいさく家庭的な宿で、夕食にはコースが付いていた。前菜、スープ、きのこのうどん、ステーキ、デザートプレート。ヒレステーキが柔らかくおいしかった。
子ども達が大人と同じコースを食べ、夫婦で乾杯できる幸せ。きちんとシルバーでコースを食べるのも我が子達には初めてで、ひじを不思議な角度に曲げながら一緒懸命食べていてかわいかった。
森の中にある古い一軒家だから、朝はリスや小鳥が窓辺でごはんを食べていた。大急ぎで詰め込むいつもの朝食とは大違い、白雪姫みたいな朝。あたたかい珈琲が体に染みた。
noteも書き終えて、これで短い旅はおしまい。すごく寂しいけれど、書いたら読み返せるのが素晴らしい。また苦悶の日常に戻っても、ここに書いたおいしいものや満点の星空を見上げた娘の歓声、牧場のヨーグルトを飲んだ息子のグー！サインを心の中で反芻して生きていく。
旅はデトックス。
ごちそうさまでした。
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