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【活字で食べるごはん】台湾ひとり旅編

台湾に行ってきた。

3年ぶり、10回目くらい。11回目かもしれない。17歳の時に留学をして、そこから友達を連れていったり、夫を連れていったり、子ども達を連れて行ったりと、折に触れて台湾には遊びには行っている。

ただ、ひとり旅はいつ以来だろう。
うーん、と考えても、最後がいつか思い出せない。おそらく、大学在学中が最後だろうか。でも当時は向こうで友人に会っていたから、厳密には全然ひとりじゃなかった。

台湾の人は、とにかくおもてなしが凄くて、ひっきりなしに世話をしてくれるのだ。今回は、本当にひとり。誰にも行くことすら伝えなかった。

なぜか。
「食べたいから」
これだけである。誰にも気を遣わずに、気ままに時間を使い、自分の食べたいものを食べる。そういうことがしたかった。

以下、36歳の自己中心的な食への欲求。
美味しかったものを箇条書きでお送りします。どうぞ、活字をもぐもぐご査収ください。 

・大腸包小腸
ちょっと字面におののく。一体だれがどんな気持ちでこのネーミングをつけたのだろう。あまりの字面に、私は実食が随分と遅れてしまった。

もち米を腸詰した「大腸」と台湾のソーセージ「小腸」を炭火でこんがりと焼き、大腸に切れ目を入れて、小腸を挟む。生のにんにくと酸菜、パクチーなどもトッピングし、好みにより辛いタレをかけてできあがり。

私はもともと、台湾ソーセージの甘くてジューシーな感じが大好物なのだが、これはもう、口にいれた瞬間に目をクワッと見開くほどドタイプの味だった。17歳のときに出会っていたらと、悔やまれる。

今思い出しても感極まって泣きそうである。次回は必ずビールと一緒に、ベストコンディションで頂きたい。

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正記大腸包小腸
MRT忠孝復興駅が最寄り、地図はこちら
(私はお昼に上のお店で買ったが、屋台グルメなので、だいたいどこの夜市にもある)

・鵝肉

鵝肉とは、ガチョウのお肉である。16時頃、店を探して歩いていると、異様なほど混みあっている場所があった。それが阿城鵝肉である。思っていたよりも数段、人気店のようだった。

かぐわしい香りと、賑やかな声。どの席も集団で大瓶のビールを飲んでいる。カウンターで、中で食べるか持ち帰りかを聞かれ、中でと言うと席を指さされた。小さな机。チェック式の伝票が置いてある。

隣のテーブルでは、カップルがしじみの醤油漬けをつまみにビールを飲んでいる。ぐぬぬ…おいしそう。しかしひとりではガチョウ1皿を食べるのがやっとだろう。大瓶も飲み切れる自信がなく(いや飲めるけれど、帰れなくなる恐れあり)泣きたい気持ちで冷蔵庫からミネラルウォーターを手に取った。飲み物は自分で持ってくるスタイルなのだ。

はーい、とテーブルに運ばれた、1~2人分のガチョウ。よくわからないけれど、タレコーナーで辛い醤を適当に作ってみる。まずはひとくち、そのままパクリと口に入れる。スモークされていて、油がじわっとジューシー。ああ、これは!これは皆食べに来る。16時で満席になるのも納得だ。それになんと、下に敷いてあるのはキャベツではなく、千切りの生姜ではないか。

ガチョウ肉の他にも、血を固めたものや、臭豆腐や、香腸(ソーセージ)もあった。絶対に最高でしょう?恨めしい気持ちで看板を見上げながら、私はガチョウ肉をじっくりと咀嚼した。

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阿城鵝肉
松江南京駅が最寄り 地図はこちら
(私は行天宮から歩いて行った、通りがけに石家割包という角煮バーガーのお店もあって、今思い出しても食べられなかったことが悔やまれる)

鹹酥雞

シエンスージー、と読む。屋台グルメで、鶏肉やお芋など、いろんな材料が並んでいる。好きなものをカゴに入れて店主に差し出すと、カラッと揚げて白胡椒をまぶしてくれるのだ。これがビールによく合う。

万人受けしないかもしれないが、私はもち米を豚の血で固めた猪血糕が大好き。(本当は、ピーナッツの粉をまぶして、香菜とか辛いのとかを付けた猪血糕が大好物なのだけど、ぱっと見当たらなかったので鹹酥雞で猪血糕をチョイスした。)あとはイカだんご、花枝丸。哀しいかな、お腹が全然空いていなくてちびちびと食べた。久しぶりに食べた猪血糕は、とても懐かしい味がした。

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(店名は不明)
私は寧夏夜市で買ったけど、だいたいどこにでもある。
夜でなければ、西門町とか。寧夏夜市は規模も小さくて使いやすい。
地図はこちら

鹹豆漿

こってりしたものばかりだから、一旦、朝ご飯を挟もう。私は台湾の朝ごはんも愛している。今回は日数が足りず割愛したが、なんの変哲もない朝ご飯屋のサンドイッチも好きだ。マヨネーズが甘いからだろうか、どんなものも少し甘じょっぱくて美味しい。

あと大根餅も好きだし、朝から麺という選択肢もある。屋台で購入する香港粥すら出汁が効いて美味しい。とにかく、台湾の朝ごはん屋さんは安くて色々あって、最高なのだ。

そんな好きなものだらけの朝ごはんの中で、2日連続いただいたのが鹹豆漿。要は、塩味の豆乳スープ。ほろほろと凝固して、ふんわり優しい味わい。油條という揚げパンが浮いていて、アクセントになっている。

1日目はこれに、蛋餅という卵クレープを、2日目は薄餅という焼きパンを合わせた。本当は甘くて冷たい豆乳も飲みたかったし、葱油餅も食べたかった。一体、何日滞在したら、私は満足できるのだろう。

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1つ目:世界豆漿大王(雙連駅から徒歩すぐ、朝市の中にある)地図はこちら
2つ目:阜杭豆漿(善導寺駅から徒歩すぐ)地図はこちら

・胡椒餅

言わずと知れた屋台グルメ。ナンを焼くみたいな石窯に、ペタンとはりつけて焼き上げる胡椒餅。名店はいくつかあるが、今回はホステルの下のお店で購入した。

購入する時から、店主がドヤ顔だった。「焼きあがるのは、20分後だよ。先にお金を払って後で取りに来てもいいよ。」なんて言う。冗談かと思ったが、本気のようだった。なんだその自信は、と半信半疑でお金を払う。だが、焼きあがる頃には、ひれ伏すほどの行列だった。

パリパリに焼かれた薄い皮、釜に貼りつけられていた側なんて、もうクッキーくらいにザクザクになっている。あっつあつをこわごわ頬張ると、じゅわっと肉汁が垂れてきて、たっぷりの牛肉餡に黒胡椒がピリリと辛い。あれ?あれ?あれ?胡椒餅って、こんなに美味しかったっけ?首をかしげながら、夢中で食べきってしまった。

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・黄ニラとイカの炒め物

宿泊先がドミトリータイプのホステルだったため、同じ一人旅で来ている女性とおしゃべりしているうちに仲良くなった。最後の夜、一人では食べられないものを食べに行こう、とミシュランも獲得している台湾料理屋へ。

ひとりだったら、お腹すいていないし晩ごはんはもういいかな…って思ってしまいがちだけど、せっかくだからと背中を押してくれる人がいて、嬉しかった。「吐くまで食べたことある」という彼女の食への欲求は笑えるほど潔くて、格好良かった。

色々食べたけれど、黄ニラとイカの炒めものが特に好きだった。しっとり柔らかいイカと、カリカリに揚げてあるイカの両方が入っていて、黄色のニラが優しくなじむ。食べきれなくて悔しかったから、持ち帰り(打包と書いてダーパオと言えば、どこの店も包んでくれる)して、宿でつまんだ。

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MY灶
松江南京駅から徒歩すぐ 地図はこちら
かなり混みあっていたので、予約したほうが良いかも

御飯
台湾のおにぎりは、ただのおにぎりではない。ばくだんおにぎりの頂点みたいな物体だ。私が頼んだ「招牌」という冠がついたおにぎりは、「看板」メニューという意味で、なんていうかもう、全部入り。

ツナ、肉鬆と呼ばれる肉でんぷ、卵焼き、油條、あとなんだっけ。とにかく、ものすごい量が入っている。一口かじると、ご飯自体は味がしないのだが、中からザクっとふわっと、いろんな食感が押し寄せてくる。これが私にはもう、おいっしい。甘じょっぱい。たまらない。

1合は軽く握られた、大きな大きなおにぎり。食べきれるわけないでしょ、と思ったのに冷たくて甘い豆乳と一緒にいただいていたら、全部食べ切ってしまった。もう!

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台北駅から徒歩圏内、地図はこちら
(いま地図を見返したら、揚げた臭豆腐のお店も7時からだった…!すぐ側に蛋餅の良さそうなお店もある。それから青島という名前の別のおにぎり屋さんもある。朝ごはんを想ってお腹が鳴る。)

旅の途中、お腹を壊していたこともあり、食べたものの達成率は当初予定の70%くらい。豚足も牛肉麺も食べられなかった。貢丸湯も小籠包も辛い鍋も。圧倒的に胃が足りなかったのだ。

おいしいものを食べると、私はいつまでも覚えていられる。何度も反芻して、もぐもぐ食べて、幸せが持続する。

いつかまたアレを食べよう、今度はアレを食べよう、そう思う日々が幸せでなくてなんなのだ。

自分を愛しているから、自分においしいものを食べさせる。家族や友達にも食べさせてあげたいなぁと、ほかほかした気持ちになる。

とにかく、台湾にはおいしいものがありすぎる。

台湾ご自愛旅、占いと言う名の説教編はこちら
※今週は、平日の瞬殺飯はおやすみです。来週からがんばります!

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