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遡ること十数年前の電話

行く先の見えない会話のなかで


短期集中型で固定電話を鳴らし続けた携帯電話の相手は、十数年は音信不通だった中学時代の同級生Aだった。

前回、その驚きと関係性なども含めた経緯↓


ということで、話は10年以上前に遡る。


娘がまだ、1、2歳の頃だろうか。
平日昼間に、家の電話が鳴った。
出てみると、Aだった。
驚いたが、声を聴いたとたんに彼女の顔がすぐに浮かび、中学時代から変わらない癖のある笑い声に懐かしさがこみ上げた。

が、それは最初だけ。

Aと連絡が取れなくなったことからの疎遠(形としては向うから切られた)からの、突然の電話である。
Aだってそれなりのエネルギーを使って今、電話口にいるはずだ。
何か要件があると思うのが普通だと思うが、そこに進まない。

正直ブランクがありすぎて、なにをどこから聞くべきなのか、言わざるべきなのかもわからない。
が、わたしは結婚して子供が生まれたことを話し、Aは結婚しておらず、今は関東の別の県に家族と住んでいるとのことだった。

しかし、それ以上のことを話さないので、事情や状況がわからない。

何かつらいことでもあって、わたしにまで遡って電話をかけたくなるような事態なのかとも思わなくなかったが、現実的ではないし、本人は明るく「久しぶりに話したいなと思って」とか「おからの声が聞きたくて~」などと繰り返す。
しかし、その言葉にも、説得力はなかった。
わたしはわたしで、幼子を抱えて、家でやるべきことをしたかったので、いい加減電話を切りたくなってきた。
目的が見えないまま、ダラダラと一時間くらいは喋っていただろうか。

最終的には、その調子のままで、私の方から、用事があるとか適当なことを言って切り上げたと思う。
よく覚えていないが、その後、年賀状を一回やりとりしたかな?

電話の謎が解けぬまま、再び音信不通となった。

(が、実は、5.6年前か?一度だけ新年早々電話が来たことがあったが、来客中だったこともあり夫が応答し、その後もかかってくることはなかったと思う)


そして、話はこの春に戻る。

Aと押し問答のようなやりとりを繰り返していた夫は、なんとか電話を終えた。
なんでも、「おからは、いるのか?」としつこく聞き、いないと言うと、「どうしてですか? 実家に帰ったんですか?」とまで言われたらしい。
夫も不信感をあらわに「なんだか様子が変だった」と。

と言っても普段のAを夫は知らないし、要件を頑なに隠したままで主張し続けること自体「おかしい」のだが、夫の鈍感力を踏まえた上でも感じるものがあるなら、結構な「おかしさ」だろうと思われた。

そこで少し考えた私。
頭の中で巡らせた過去から、あることが浮かび上がり、そこから、ああ、と直感的に見えた言葉、それが答えだと思われた。

続き↓

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