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おばさんの役回り・1

それは突然やってくる


先日、自宅から少し離れたお店に行った時の事。

そのお店は、歩道に面していて、お店の建物と歩道の間の敷地に会議テーブル状の長い陳列台がいくつも置かれ、大量の商品を置いている。

わたしが、歩道を背にして物色していると、後ろで、だだっと音がした。

なんだろうと振り向くと、ポシェット(→昭和っぽ)を下げた小学3.4年生ぐらいの女の子が二人いて、その一人が転んで膝をついていた。

その場から、「あらら、ころんじゃった? 大丈夫?」と声をかけると、2人はこちらを見た。
2人は何も言わなかったが、女の子は泣いてはいないし、そこまで酷いケガに見えなかった。
ちょっとの間、見つめ合ったが、知らないおばさんに声を掛けられて、恥ずかしいのかもしれない、すぐにその場を離れるかな?と、一旦、私は背を向けた。

しかし、その後も二人が動き出す気配がないので、どうした?と思いつつ、振り向いた。

女の子は立ち上がっており、ミニスカートの下に履いたレギンスをめくり、膝をじっと見ている。

そして、お友達が心配そうに「大丈夫? 大丈夫?」と声をかけていたが、返事は、なし。
お友達も不安げになっている。
わたしも再度、その場から「大丈夫かな?」と声をかけると、再び二人がわたしを見た。
やはり何も言わないが、これは行くべきところだろう(「お母さん」スイッチが入る)。

「血が出ちゃったかな?」と言いながら近寄り、膝を見る。
と、左膝に2cm×2cmくらいの擦り傷。
そして、見ている間に、血が滲んできた。

アスファルトで擦切ると結構痛いのは、経験済み。

「ちょっと血が出てきちゃったね。痛かったね。おばさん、絆創膏持ってるから、消毒して貼ろうか?」
と、一応、聞いてみる。
が、無言。
でも、何かされるのが嫌な様子ではないし、目が、わたしを頼っているように見えなくもない。


続く




#おばさんの役回り #エッセイ #子供 #お母さんスイッチ #小さな親切

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