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やっぱり世界はつながってるじゃないですか

パンデミック真っ只中の2020年4月、仕事とプノンペン生活と、それからもう1個別の世界(よくいうthe 3rd place ってやつ)がほしくて、オンラインの学園であるエリー学園の門を叩きました。大宮エリーさんが学長をしている学校です。ここから、わたしの世界が、ちょっとだけ変わりました。

「あんた、私書箱を更新するのかい?」

西暦2023年、世界とつながる方法はいくらでもあります。メールでもSNSでも、通信機器がわんさかある世の中。そんな中、わたしがわざわざ好んでいるのが肉筆のお便りなのです。その理由については、「わたしが手紙を愛する理由」にべっとりと書いているので割愛しますが、書簡が行ったり来たりすることがとても好きなのです。そのために、プノンペン中央郵便局にもう5年私書箱を借りています。わたしと世界をつなぐ箱。
昨日の朝、めったに電話がかかってこないわたしの携帯に着信があり、出てみるとホニャホニャとクメール語で何やら言われました。かろうじて「郵便局」という単語が拾えたのですが、カンボジア人スタッフにSOSを出して電話を代わってもらいました。ら、「私書箱を更新するのかどうか聞かれてますよ」と。あっ、いっけね〜! 2月の10日くらいで有効期限が過ぎているんだった! 慌てて今朝、バイクをすっ飛ばして郵便局に駆け込みました。

鍵穴の封印を解くと

まず私書箱を見に行ってみると、鍵穴にシールが貼ってあって「一時的に使用停止」的なことが書かれていました。なんとも・・・。早速窓口に行くと、昨日電話をくれた人らしきおばちゃんがいたので、私書箱を更新したい旨と番号を伝えると、アナログの分厚い帳簿を開いて、「はいはい、あなたね。ええっと、所属はプノンペン大学ね」。「あ、もう仕事をしているんですが」と答えたけれど書き換えるのが面倒だったのか「これでいいわよね?」ということで、引き続き書類上ばババア学生です。1年分60000リエル(15ドル)を支払って、無事に手続き完了! 「いつから使えますか?」と聞くと、「今からOKよ」と言うのです。「シールが貼ってありました」と切り返すと、「そんな剥いじゃえばいい」とのこと。窓口業務を放り出し、おばちゃんがなぜかわたしにくっついてきて、ベリっとシールを剥いで鍵穴に鍵を刺すところまで見守ってくれました。
開けてみると、複数の書簡が出てきました。「こんなにお手紙が来てたー」と声を上げるとおばちゃん、「ほらね。電話をする前にちゃんと払いに来ないとダメよ」と叱られました。

世界はつながっているということ

長い長い導入はここまでで、ここからが短い本題。届いた書簡のほとんどが、エリー学園で知り合った仲間からのものでした。すごいよね、オンラインでつながっていた人たちが、肉筆のお便りをくれるんだから。ちなみに、エリー学園は2022年の4月で卒業しているのでその後もこうして、カンボジアくんだりにいる人間を忘れずに仲間とみなしてくれていることに感動しかありません。その中に、熊本から届いたものと、ロサンゼルスから届いたものがあり、差出人のふたりとも学園で同期でした。熊本からもロサンゼルスからも年賀状だったのだけど、熊本の友だちはイラストを描く才能があって、彼女が作ったポストカードがロサンゼルスで売られたのです。その1枚をロサンゼルスの友だちが買って、プノンペンのわたしのもとに送ってきてくれました。プノンペンに届いたロサンゼルスからのお便りに熊本が入っていたのです。ね、世界はつながっているでしょ?

だから、私書箱を手放すことができないのです。あ、カンボジアでは家の住所にお手紙が届くシステムがないから、個人的に郵便を受け取りたいときはこの箱を借りるのがいちばんいいんです。
最後に、私書箱のくだりでおばちゃん呼ばわりさせていただいた女性は、年齢的には、きっとわたしと同じくらい。おばちゃん呼んでごめんなさい。

おあとがよろしいようで。


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