桜は散っていた


最初から、僕の桜は散っていた。

働きたくない
楽しいことがしたい

と、漠然と思っていた時に、人を喜ばしたい、笑わしたいと言いながら、本音を突き詰めれば怒られたくない、働きたくないのだ、と書かれた芸人のコラムを読んだ。

そうか、芸人ならば面白そうな毎日が送れそうだ、と単純に思い立つが、僕には芸がないのだ。

昔から、人から嘲笑われることはあっても、笑わせたことなどなく、すべてにおいてなんとなく劣等生だけど、普通のレールに無理やり乗ってきて今がある。

一度外れたレールは元には戻らないことを知っている。

働きたくない、楽しくない、刺激もない、夢もない。
こんな人生、生きてて意味なんてあるのか。

普通ならここで奮起して何かしら行動を起こし、とするのであろうが、初めから負ける試合には挑まないのが常。

面白い人が好きだと、職場で気になるあの子が言っていた。推している人がいると言うからどんな人かと見てみたら、顔までいいのかと素直に思った。
努力だのなんだの言うが、天は二物を普通に与えている。

僕には一つも寄越さないくせして。

勝機のないことができるように、正気じゃなくなりたい。


僕の夢は、おもしろくなることだ。