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在宅勤務に手当支給、定期通勤の廃止で通勤手当は?|ニューノーマル|OkaPicks

新型コロナの陽性者が増加する中で、東京転勤に向けた荷造りを進めています。当面は在宅勤務なんだろうと、東京の自宅で使うノートPCやら何やらを揃えていたら、結構な金額に。。。
在宅勤務で手当が支給される企業が羨ましいなと思ってきました。

在宅勤務の対象者には、手当として正社員・契約社員が2万円/月を支給する。出社時の交通費は、定期代ではなく経費精算で支給する。
20年7月をめどにコアタイムのないフレックス勤務制度を導入する他、通勤定期券を廃止し、代わりに月額5000円の手当を支給する。

でも、通勤手当が実費精算になる?
それって何が変わるんだろうかと疑問に思い、ちょっと調べてみました。

通勤手当?立替交通費?

まず思ったのは、「通勤手当が実費精算になったら、立替交通費と一緒じゃないか?」ということ。これについては調べてみました。

会社と自宅を往復するのに必要な費用は、法律上は「弁済の費用」にあたり、雇用契約上の債務者である社員が負担するものです。ですから会社は通勤費を支給しない、とすることもできます。


2014/03/20の衆議院国会において、以下のような答弁があります。

…通勤に要する費用を支弁するために支給される手当(以下「通勤手当」という。)については、実費弁償の形で事業主が負担するものとは異なるものであり、使用者が支給することは法律上義務付けられておらず、使用者が支給することは法律上義務付けられておらず、…

「立替交通費」は、会社の命で出張先まで移動した分を実費弁償の形で会社が負担している。
「通勤手当」は、従業員の自由で住んでいる家から会社まで移動した分を補助している。

通勤手当と立替交通費は、性質が違うものなのですね。

通勤手当の見直しは不利益変更ではないか?

「えー、でも実質給与が減るでしょ、それって納得できない」
そんなことを密かに思いながら、調べたのが以下の記事。

会社は、出社して働いてもらうために通勤手当を支給しています。
テレワークで会社に行かなかったとして、それでも通勤手当は支給してほしいというのは無理があります。
出社日数に応じた支給は少額になり、不満に感じるかもしれません。会社の担当者は、丁寧に説明しながら進めてください。
会社と自宅を往復するのに必要な費用は、法律上は「弁済の費用」にあたり、雇用契約上の債務者である社員が負担するものです。ですから会社は通勤費を支給しない、とすることもできます。
世間一般の状況として、このような変更は必要性が高いと言えるので、就業規則を変更する合理性が認められるでしょう
社員ごとの不利益の程度を把握しておきましょう。そのうえで社員が納得できるよう、しっかり説明することが大切です。
さまざまな角度から検討を重ね、いまの自社に適したルールを定めたいです

在宅勤務下でも通勤手当をもらいたいと思った、やましい気持ちに反省。
手当を貰えているだけ、ありがたいと思わないといけないですね。

(補足)標準報酬額への影響

通勤手当をもう少し掘り下げてみます。以下の記事に注目です。

「4月~ほぼ在宅勤務、定期券での通勤ではなく、通勤交通費は実費精算に切り替わるけど影響は?」

ポイント1

通勤交通費の支払い方法が変わる場合には、就業規則または賃金規程等を改定し、新たなルールを明示すること
ポイント2
実費で支給される交通費は、立替経費ではなく通勤交通費(賃金)として計算すること。社会保険だけでなく、労働保険料の計算の基礎にもなる
ポイント3
固定的賃金の変動があるのであれば、標準報酬の随時改定の可能性がある

今までの説明が簡潔に説明されていました。
ここで注目は、通勤手当は標準報酬月額の計算に含まれるということ。
先の国会答弁を読むと、ちゃんと書いてありました。

お尋ねの「交通費」の意味するところが必ずしも明らかではないが、健康保険及び厚生年金保険(以下「社会保険」という。)における報酬(以下「報酬」という。)とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいうところ、通勤に要する費用を支弁するために支給される手当(以下「通勤手当」という。)については、実費弁償の形で事業主が負担するものとは異なるものであり、使用者が支給することは法律上義務付けられておらず、また、現実にも通勤手当の支給がない事業所も存在することから、社会保険の保険料(以下「社会保険料」という。)の算定の基礎となる報酬に含まれるものと考えている。また、通勤手当の増額により報酬が増えることに伴い、社会保険料が増える場合があり得ることは承知しているが、これは、報酬が増えたことによる結果であると考えている。

標準報酬月額とは、3か月分の平均報酬の金額のことです。通常は、4、5、6月の平均報酬を標準報酬月額と定め(定時決定)、この金額により、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)の金額を決めています。
今まで、遠くから通っている人は、多く通勤手当をもらえていいなと思っていましたが、その分、社会保険料を多く納めていたのですね。

ポイント3の随時改定とは、4、5、6月の平均報酬と比べて、現在の平均報酬が大きく変動する場合に、社会保険料の金額を見直す措置です。

随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。
(1)昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

2等級以上の差は、標準報酬月額表を見ると2~4万円くらい。私の周りには、交通費だけで2~4万の変動がおきる人はいないように思ったのですが、新幹線通勤が認められている企業では、大きな影響がありそうですね。

おさらい

ニューノーマル時代。
「仕事とは、みんなが決められた時間に一箇所に集まってするもの」という常識が見直され、在宅勤務やサテライトオフィス、ワーケーション、地方移住など、さまざまな働き方を認めることで、「社員の幸せ」につなげようと考えはじめています。
そうなると、通勤手当に通勤定期代を支給するのではなく、自宅から各所のオフィスまでの交通費を実費精算する流れは、当然のように思えてきました。
実費精算への切り替えで削減できる経費を、在宅勤務手当などに再配分することで、より「社員の幸せ」につなげられるのではないかと思います。

一方では、経理部門からは、実費精算によって業務量が増えることへの懸念が出てくるでしょう。
また、在宅勤務ができない業務に携わる人にとって、在宅勤務手当は魅力がないと思いまし、制度変更によって給与が減る人にとっては不満も出てくると思います。

制度変更、通勤交通費精算システムの導入、サテライトオフィスの整備など、何もかも同時に進めることはできないですし、さまざまな角度から検討を重ねられず、不満を感じる人が増えることもあるかもしれませんが、
コロナエフェクトによる混乱期だからこそ、会社と従業員がしっかり対話して、アジャイル開発のように試行錯誤を繰り返しながら、より良い会社にアップデートをしていけたらよいですね。

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