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詩集

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#ベース

息子を想う短歌

息子を想う短歌

口数は 少なくなれど吾子の弾く テンポ早きベースに我も和みぬ

厨房の 仕事を語る吾子は今 少年期を過ぎ 青年の面差し

幾あまたの 豪華な花を踏みにじれば 失意の吾子の 希望とならぬか

忘れられたベース

忘れられたベース

人待ち顔のベースが窓際で夕日をあびている

高校生だった息子が毎日弾いていたベース

今 彼は油まみれになって働いている

疲れるのか もうベースを弾かない

そっと弾いてみると低くピーンと鳴った

初めて声変わりした時の息子の声のような音で

いつの間にか紫色に黄昏かけている