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「法定通貨」VS「暗号資産」再び。 ー 米国債金利上昇の「裏事情」。

 米株価が再度下落し、年初来の利益が風前の灯火に。投資家やファンドの "溜息" が聞こえてきそう。何でも原因は「金利上昇」だそうで(苦笑)。

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 2019年には6%近くにまで上昇していたS&Pの配当と10年米国債の ”利回り格差”(いわゆるイールドスプレッド)が2%近辺まで縮小している  ↓  。考えようによっては株価の ”割高感” が解消されたとも読めるが、悪い見方をすれば今後も金利上昇に引きずられる懸念も残る。

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 2/13 「リアル」が顕れる”材料無し”の相場。↓ でも解説したが、特段の材料がない中で動く相場には要注意昨日の米国債売りが典型だが、需給を含めたマーケットの「リアル」が顕れるが可能性が高い。やはり「金利上昇」はまだまだマーケットの "本流" と考えるべきだろう。

 実は現在の「米国債売り」には「裏事情」が存在すると筆者は見ている。「法定通貨」VS「暗号資産」の構図だ。2019.10.29.リブラ反対!の大合唱と金利上昇の相関 ↓ もご参照頂きたいが、2019年に「仮想通貨」(当時の呼称)「リブラ」が登場した時にも同じような経緯があった。

 つまり「暗号資産」は「法定通貨」に対する "挑戦" であり、 ”既得権者” である銀行にとってはまさに「死活問題」なのである。今回の相手は「テスラ」のバックアップを受けて "復活" してきたビットコイン(BTC)。実際昨日(3/3)「金利上昇」をあざ笑うかのように再度$50,000.-を超えた

 「金利」がない故に金融政策や「金利上昇」の影響を受けにくいのが「暗号資産」の強みでもあるのだが、逆に「金利水準」が魅力的な水準まで上昇すれば一転 ”弱み” にもなる。つまり「金利上昇」は「暗号資産」潰しの即効薬になり得るわけだ。BTCが上昇しているということは「金利」がまだまだ低いことの "証" でもある。

 事実、2019年末にかけて10年米国債が@1.80%に達すると「リブラ」の議論は "自然消滅" 「金利」を使った "脅し" とでも言おうか。ただ政策金利が@1.5%もあった2019年と違い、今回は@0.0%が ”出発点” となるため、短期間にスッとは金利が上昇しない。結果としてもの凄いイールドカーブのスティープニング(急傾斜化)↓ が起きている。

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 「どうして "金利上昇" でNYダウではなくてナスダックが売られるの?」

 この「裏事情」に気付けば答えは簡単。「テスラ」を含むナスダック指数は新興のIT企業等、いわば ”既得権益” に挑戦する企業群であり、NYダウは銀行を含む ”既得権者” が中心だ。米国債金利上昇をこの "構図" で捉えると、少し相場の見え方が違ってくるかもしれない。実際昨日はBTCの上昇にも関わらず「テスラ」@$653.20は前日比▼4.8%も下落している。

 FRB理事等のコメントや経済指標発表の度に、金利相場についていろいろ解説も出るが、今の米国債金利上昇の「リアル」はこの「法定通貨」VS「暗号資産」だと筆者は確信している。これは日米欧の銀行界、更には中央銀行をはじめとする金融当局の共通認識(コンセンサス)のはずで、乱暴に言えば「BTCを潰すまで金利上昇はやむを得ない」と言うことになる。

 「損切丸」 ”既得権益” とは全く関係ないフリーの立場なのでこんなことを自由に書いているが、既存のメデイアやエコノミストは(仮に知っていても) ”立場的" にこういうことを表立っては書けない。だが、この ”対決の構図" を念頭に米国債市場を筆頭とする金利相場や、あるいは中央銀行関係者からのビットコインに対する警告などを改めて読んでみて欲しい。見え方が大分違ってくると思う。

 ただ今回 "銀行サイド" が難しいのは、株価の下落がせっかく回復しかけた経済の腰を折ってしまうリスクがある点だ。対応を誤れば「暗号資産」サイドではなく自分達が世界から "集中砲火" を浴び、下手をすれば ”下克上” を喰らって ”既得権益” を丸ごともぎ取られてしまう「裏側」でかなりヒリヒリとしたやり取りが起こっている事は想像に難くない。

 こういう "事情" を勘案すると、まだまだボラティリティー(変動率)の高い激しいマーケットが「金利」「株価」「BTC」等に続くだろう。表に出ている言説だけに惑わされず「リアル」を追うようにしたい。価格に妥当性が薄い他に資産市場よりも「金利」が最も紛れが少ないはずだ。

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