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背中を押されたらそこは ”崖” だった。- ほんのちょっとした ”気付き” が明暗を分ける事もある。

 まさかCPIが▼0.5%改善されただけでドル円が▼7円も落ちるとは...。まさに ”崖” 。いくら FRBの変化 、日銀の変化 。|損切丸|note があったとはいえ、ちょっと極端。ドルの頭が重くなっていて「どうしようかな...」と迷っていた所で背中を強く押された感じだ。11月は米銀、ファンドの決算が集中しているため、ボーナスの目算が狂ったFXトレーダーも多かろう。

 結果的に 意外と効果的? "利食い" の「ドル売り円買い介入」。- 財務省・為替市場課は世界最大の "官制ヘッジファンド" 。|損切丸|note となり、まさに「利食い千人力」。10兆円だけで無く、あと50兆円ぐらい売っておきたかった(笑)。逆説的だが、このドル円急落10兆円単位の介入なんかではFXの動きを変えられないことも示唆している。黒田総裁が大声で「金融緩和!」と叫ぶのを止めた事の方が余程効果的だった。

 「ドル建投資」の帰趨。- 「金利差相場」の真偽。|損切丸|note で迷っていた米国外の投資家は痛し痒し。日本の個人投資家にとっては、せっかくNYダウが+1,200ドルも上がったのに「円高」で台無し「円建て」で+10%以上戻したユーロ建の独DAX指数の方がまだ良かった。

 「ドル円の急落」で強烈に想い出すのは1998年のLTCM破綻時。あの時は今侵略戦争を仕掛けている専制国家の「デフォルト」がきっかけ保有する国債が無価値に転落。損失穴埋めの「レパトリ」( Repatriation )でドル円売却を迫られた。彼らには「損切丸」自身がJGBレポの形態で貸していた10兆円も含め、投資銀行から100兆円は貸し込まれていたはずで、これを5倍レバレッジで「円売り」を仕掛けていたとすれば想定ポジションは500兆円。これを一気に売った結果、3日間で▼25円という大暴落が起きた。

 LTCMリーマンショックもそうなのだが、世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸|note で ”薬” が止められない。大手の銀行やファンドに集中しなくなっただけで、小口に分散して「過剰流動性レバレッジ」は続いている。ただ ”アルケゴス・ショック” でクレディスイスが経営難に陥ったのは何とも皮肉だ。

 「暴落」に共通したきっかけは「デフォルト」暗号資産業者FTXの破綻投資元金が "消えた" 投資家やファンドによる「レパトリ」が関係しているのは間違いない。ドル円が▼7円ということは100兆円ぐらいのポジション解消が出た計算になる。小口分散されていた分被害が少なかったのが唯一の "学習効果" だが、業界はいつになったらこんな「原始的なファンディング・レバレッジ」を止めるのかバブル時の ”仕手戦” から全然変ってない。

 「NYでラーメン、餃子を食べて5,000円」
 e.g., ラーメン$20+餃子$10+チップ18% ≓ 5,000円 @145.00

  某著名コメンテーターが番組で紹介していたが、ハワイロンドンでもこんなもの。アメリカで厄介のはチップで、これも従来の@10~15%から@18~25%に「値上がり」している。東京だとせいぜい2,000円というところなので、およそ2.5倍にもなる。日本食が海外で高くなるのはいつものことだが、これはさすがに行き過ぎ。100兆円単位の「黒田トレード」=「円売り」でかなり膨れていたと見ていい。

 CPIが多少鈍化したとは言え、今後もアメリカの物価が下がる可能性は殆ど無いので、この「ラーメン指数」が正常化するには:

 東京:ラーメン@1,100円→1,300円、餃子@800円→1,000円、
 NY$30+チップ18%=4,600円 @130.00

 日本の「賃上げ」はこれからで、それに伴って物価が上がりドル円が下方修正されれば、「ラーメン指数」NY ≓ 東京の2倍。やっとギリギリ許容範囲で、2023年に向けて1つの指標にはなる。ただ@130円でも十分「円安」であり、多少緩和されるが「貿易赤字」が続く可能性が高い。

 今回も 忘れた頃にやって来た「ビットコイン」- 全てをひっくり返す「デフォルト」|損切丸|note で喰らった投資家、ファンドも多かったはず e.g., ソフトバンクが保有していたFTX債権額は1億ドル(139億円)。NYダウを+1,200ドルもぶち上げたのも決算対策の「お化粧」の可能性もあり、安心するのはまだ早い。 "砂上の楼閣" かもしれない。

 「原始的なファンディング・レバレッジ」の天敵は常に「デフォルト」。マーケットの歴史が証明してきたが、「お金」をいくら突っ込んでも「破綻」は回避できない。それは筆者も何度も直面してきた。今回のFTXは ”余震” に過ぎず ”本震” が潜んでいる気がする。ましてマーケットの主要テーマは「利上げ」から「リセッション」に移行当然「デフォルト」は増える

 本丸は中国の「不良債権」と筆者は見ているが、どんな形で現れるか。欧米の「デフォルト」「破産」の概念とは違うようなので要注意だが、とにかくこういう時は自分の「お金」を守ることに専念すべき投資元金そのものが消し飛ぶ破壊力は、金利とか価格が下がるとかとは別次元*「ルナ・ショック」に続くFTX破綻はその警鐘でもある。

 *暗号資産はマイニングに電力がかかり過ぎて「脱炭素」「SGD's」に反するという声も上がっている。ましてこのエネルギー価格高騰。本丸の ”ビットコイン”(BTC)に影響が及べば被害は甚大。大分減ったとは言え、まだ時価総額は100兆円余りで、中堅国の「デフォルト」に匹敵するマグニチュードだ。実際BTCを法定通貨にしたエルサルバドルは国債償還に窮しており、中国が手を差し伸べようとしている(そんな余裕があるのか?)。

 「デフォルト」は連鎖する。国家レベルではこれを事前に防ぐ対策が重要になるが、個人レベルではまず巻き込まれないこと「投資」はまず「潰れないこと」が大前提。「割安だから」「そろそろ売りが止まる」などと中途半端なレベル感で買い向かうのは2023年にかけて危険になるだろう。ジャンク債や高金利通貨には細心の注意を払うべきほんのちょっとした ”気付き” が明暗を分ける事もある。くれぐれも「後悔」のないように。

 

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