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復活・「意地の悪い相場」。

 ここ数日、筆者もそうだがビットコインに釘付けになった方も多いのではないか? 休日でも取引されるのでこの土・日(5/22・23)に@$40,000.-から@$32,000.-まで急落したと思ったら今日(5/25)はオープンと同時に@$39,000.-台。ポジションもないのについつい画面を見てしまう。実際に投資している方はさぞ大変だろうし、先週の急落場面で@$33,000.-近辺で ”上手く” 拾った方も肝を冷やしたかもしれない。

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 「意地の悪い相場」

 まさに今回のビットコインが典型だが、まるで素人を引込んで最後には巻き上げるカジノのような相場である。何年かに一度こういうのが現れるが、大抵は* "業界" が潤っていない時。筆者も現役時に何回か遭遇したが、 "巻き込まれ事故" を避けるのに苦労をした。

 まるで「予算消化」のために決まった場所でする交通取締の様でもある。今年などは車、特にマイカーの交通量が激減しているので「予算消化」はさぞ大変だろう。あちこちで自転車まで取締をする場面を見かける。

 思えば2019~2020年に株を買った人達は「過剰流動性」のおかげで8割方儲かった。だがこれは一種の ”偏り” であって "修正" が必ず来る。考えて見れば明解なことだが、ヘッジだろうが投機だろうが純粋に取引だけを見ればどのマーケットでも100%売り手と買い手が同数、同量いるので、収支を合わせると必ずゼロになる。 "Zero-Sum Game" の所以でもある。

 仮に2019~2020年の2年間80:20で儲ける人が多かったとすれば、その後2年×20:80で損する人が多い相場がどこかで現出する。マグマが大きければ大きいほど "逆流" も大きくなるはずで、極端な例が世界恐慌やリーマンショック等の「クラッシュ」だ。ほぼ全員が損をする。

 この点、マーケットビジネスは原材料から物を創って利鞘を乗せて売る製造業とは根本的に違うゲーム感覚で知的刺激があり面白いのも事実だが、その反作用として最終的に「叩き合い」になることは肝に銘じておくべき。筆者のように20年以上「お金(儲け)」に集中すると最後に知的好奇心を失ってしまう。早く辞める人が多いのは「収入」以外にそういう部分もある。

 前稿.金利は語るⅢ ↓ でも書いたが、2009年以降NYダウで年率@+40%もの驚異的儲けを得てきた「富裕層」にしてみれば、もうお腹一杯なのではないか。インフレヘッジと考えても12年間×@+40%は十分すぎる成果。気の早い人は昨年辺りからもう相場を降りているかもしれない。

 そうすると利息が付かない「現金」を「期間リスク」を考慮して5年米国債@0.80%辺りに回す「お金持ち」が出るのは十分に考えられる。2年債を使って先々3~5年(3年)の金利を計算すると@1.23%になり、まあまあの収入。5年の金利上昇を止められると10~30年の長期金利も一定程度歯止めがかかる。今の「上がらない米国債金利」の原因はここにあると推察する。

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 最近株や為替相場のボラティリティー(変動率)が失われているのも「お金持ち」が一旦様子見になっている影響が大きそうだ。すると残るのは「平民」=投資銀行業界やヘッジファンドのトレーダーや "一般庶民" だ。残り少ないパイを巡り争奪戦が過熱する → 「意地の悪い相場」

 かつてそういう場所にいた立場でいうと、こういう時はひたすら我慢。一発を狙うよりも、とにかくマーケットから細かく「お金」を拾っていくこと。ヤバくなったらさっさと逃げる。サッカーに例えればひたすら失点を防いでカウンターで1-0の勝利を狙うイタリア型 ”カテナチオ”(「鍵をかける」の意味)フランスのような攻撃的 ”シャンパンサッカー” では大敗を喫する可能性が高くなってしまう。

 一旦降りた「お金持ち」5年米国債辺りを持ったまま「高みの見物」。後はインフレになろうがクラッシュしようが、再び出て行く機会をうかがっていることだろう。日々「お金」を稼ぐ必要がある「平民」と違って彼らは無理をする必要が無いFRBが利上げに踏み切れば金利の上がった金利商品に乗り換えればいいし、株価が十分投資価値がある水準に下落すれば買い出動すればい。土日までビットコインを追いかけるなんてことはまずない

 筆者も相場は嫌いではないので今のビットコインの動きもついつい追ってしまうが、かつてはこれが過ぎて嫌気がさしトレーダーを辞める事にもなった。刺激的でややもすれば儲かるように見えるのも「意地の悪い相場」のワナ10年米国債も@1.60%を割り込み「過剰流動性」とは違った意味で「理屈」を離れた相場になりつつある。少し ”距離” を取った方がいいのかもしれない。家族が呆れる前に(苦笑)。

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