”おかしな米国債イールドカーブ”。ー 5年債 ≓ 10年債 ≓ @2.0%?
「共感疲労」
何が本物の情報かも掴めない中、悲惨なシーンばかり見せられていれば誰でも精神的に疲れてしまう。おまけに「共感」したからと言って何かできるわけでもない。申し訳ないと思いながら、戦況は客観的情報に留め、今後はマーケット全体の動きの方に重きを置いていく。
さていよいよ3/16にFOMCを控え、「歴史的転換点」に立ち会う場面が迫ってきた。ここでおかしな米国債イールドカーブが出現しているのをお気付きだろうか。そう、5年債 ≓ 10年債 ≓ @2.0%( ↑ 標題グラフ)。
これは一体何を意味するのか。
単純に考えれば「FRBの利上げは+2.0%で終わり」ということになる。もちろんパウエル議長がそんな宣言をした訳ではない。マーケットが勝手に "そういうこと" にしているだけ。直近の2月米CPIが+7.9%(年率)で、エネルギー価格の上昇で更に悪化しそうな情勢なのに、随分断定的、かつ楽観的判断である。米10年国債の「実質金利」が未だ▼6%台の「超マイナス金利」で、本当に今の「真性インフレ」を止められるのか。
少し複雑に考察してみよう。*「複利」の概念を取り入れれば、5年~10年は既に「逆イールド化」している。実はもう数ヶ月前から進んでいる現象で、5年後にFRBは「利下げ」に転じると米国債市場は見ていることになる。
今度は「全体」で考えてみよう。FRB「利上げ」による金融パニックは過去メキシコ通貨危機(1994)、アジア通貨危機(1997)等、かなり多い。いずれも原因は「ドル建債務」。ドル金利が上がることで「金利負担」が重くなる。加えて「ドル高→自国通貨安」が負担を累乗的に増やし、通貨防衛のための「利上げ」で国内の「金利負担」も増えてしまう。
まさに ”悪魔のスパイラル” 。
米国債市場の「FRB利上げ@2%打ち止め説」は、まさに3京円相当にも膨らんだ世界の「大借金」が「利上げ」負担に耐えられない、という判断に基づいている。3京円×@2%=600兆円(e.g. 5年「複利」なら@2.1%=630兆円)もの負担増。国によっては支払えない=デフォルトも十分想定内だ。現在2桁金利になっている国々は有力な「デフォルト候補」になる。
では「低金利国」は安泰かというと実はそうでもない。代表は「日本」。ドル円は何の抵抗もなくスルッと@117円台に乗せ、この分だと@120円台まであまり時間がかからないかもしれない。30年前までは強力な輸出企業による「円買い」需要があったが、**工場が海外移転してしまった今となっては「円安」ストッパーはない。
ここからは単なる「コスト増加」と「資産価値の目減り」として日本国民にのしかかってくるのみ。2月の中古車平均落札価格は、@100.6万円(年率+20%強)とはじめて100万円を超えた。本当に日銀は現総裁が退任する2023年4月まで「利上げ」もせずにのんびり待つつもりなのか。
思い起こせば3年前の「パンデミック」発生から「戦争」まで、まさに「歴史は繰り返す」を地でいっている。こういう転換期には「インフレ」が付き物で、今の日本もそうだが、人間、追い込まれないとなかなか行動には移れない。まして数十年間「平和」を享受してきた国なら尚更だ。
逆に言えば原油価格の上昇がエネルギー革命を促進するように、「新しい世界」(「新しい資本主義」ではない。笑)への幕開けでもあり、チャンスも平等に広がるはず。ただし「核戦争」が起きなければだが...。おっとまた話が「戦争」に戻ってしまった。あまり没頭しないように。
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