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"スイス・ショック" ? ー  ♪ 相場はジェットコースター ♪ 。

 「あれっ、ドル円@132円台? 何だ、どうした」

 FOMC前後の米国債も酷かったが、その翌日(6/16)も凄かった。まさに「ジェットコースター」ツイッター「トレンド」を見てやっと気が付いたが、どうもSNB(Swiss National Bank、スイス中銀)が犯人らしい。突然の+0.5%「利上げ」でマーケットはフイをつかれた。スイス・フランドイツ・マルクと共に担当していた時期もあり懐かしくもあるが、世界を揺るがしたのを初めて見た。差し詰め "スイス・ショック" である。

 それをきっかけにドル円は@134円台から@132円台に急落日経平均先物も▼800円以上下げた。おまけにBoE(Bank of England、イギリス中銀)も+0.25%「利上げ」を決定し、買い戻しが入っていた欧州国債米国債も急落。10年米国債は昨日の@3.28%から一時@3.38%まで売られた

 「ジェットコースター」はこれで止まらなかった。軒並み売られた欧州株の流れのままにNYダウも急落。遂に@30,000ドルを割り込み、ナスダックも昨日の上げを帳消しにして下落。またもや ”Dead Cat Bound" になってしまった。これを受けて今度は米国債が急騰。結局10年は@3.20%割れまで買い戻された。7月+0.75% → 到達点@4.0%にになっていたFRBの「利上げ」予報も7月+0.50% → @3.50%に急速に萎んでいる


 もう一つ、激しいアップ・ダウンを繰り返したのが原油相場株価の急落世界的 "リセッション" を意識したWTIは一時@112ドル台に急落株等の損失穴埋めのための ”レパトリ” (Repatriation)も連想させたが、その後欧米国債金利が低下するのに伴って@117ドル台に反騰「インフレ」の執拗さを証明した。火事に例えるなら、燃え広がりすぎて放水や消化剤では鎮火困難になり、延焼を防ぐために「利上げ」という強制手段で建物を壊さざるを得なくなった状態。非常手段だがもう他に手がない。

 株の ”逆資産効果” で、 "リセッション" の議論はようやくここから始まる。1つ注目しているのがアメリカの住宅ローンの動向だ。一部では金利が@6%を超えてさすがに住宅需要は落ちてきている3年前は@2%台だったので、例えば複利で考えると:

 @2%複利(1ヶ月利払い) 20年 @49.1328%
 @6%複利(1ヶ月利払い) 20年 @231.0204%(!!)

 こう書くと驚かれるかもしれないが、仮に3,000万円借りると、利払い総額が@2%▼1,473万円<<@6%▼6,930万円と負担が桁違い。これではいかに「前向き」なアメリカ人でも躊躇する。逆に言えば、ここまでやらないと「インフレ」を止めることが出来ないため、その後の "リセッション" は不可避でもある。やはり火事は ”ボヤ” で止めるべきなのだ。

 「 ”デフレ” の日本で日銀が利上げできるわけない!」

 未だにこういう書き込みをする人がいて半ば驚く。 ”デフレ” とは継続的に物価が下がる現象。20年以上晒されて体に染みついてしまったのだろう。相変わらず給料が上がらなくて苦しい状態を ”デフレ” と表現しているようだが、それは ”スタグフレーション” である。冷静に状況を見回して欲しい。モノの値段は上がる一方で、日本では本番はこれから金融政策の対処方は「緩和」ではなく「引締」いたずらに「緩和」を続けるのは燃えさかる火に油をくべる行為であり、生活がもっと苦しくなる。トルコの間違いを犯すべきではない。

 スイス・フランというとCPIが@2%台「マイナス金利政策」「安定通貨」と、とかく「円」と同じくくりで評される事が多い。故に「ひょっとすると日銀も...」と海外では連想するのだろう。10年JGB気配値は@0.34%まで売られているが、さて本日(6/17)どうなるか。スイスまで「利上げ」に動くと日本の "孤立感" が際立つが、 ”あの方” だけは読み切れない。これまでの頑なさを鑑みると「円ショック」とはいかない気がする。政治的に「XXXノミクス」の否定を絶対許さない勢力があるらしいし、この状況で「クラッシュ」の引金も引きたくはないだろう。

 金利が+1%上昇すると日銀保有国債の含み損が▼30兆円程度に膨らむ、という試算があるようだが、平均利回り@0.214%、平均年数8.1年 ↓ (2021.12.30)の評価値が合っているなら、まあそんなものだろう。実際の「キャリー損失」も時価評価程度にはなる

 これも覚悟の上の「バズーカ」だろうから、まさかそんな勝手な理屈で国策を策定してはいまい(と信じるしかない)。ちなみにFRBも「利上げ」で保有米国債による損失計上を表明しており、日銀と状況は同じ違いは米財務省がサポートしている点日本に同じ事ができない道理はない

 さて今日は鬼が出るか蛇が出るか。あまり期待せずに(苦笑)結果を待とう。2021年に ”ボヤ” を消しそびれたFRB、ECBの轍は踏んで欲しくないが、どうも状況は怪しい。バブル崩壊時の不良債権処理もそうだったが、目先の損得に拘りすぎると最終的な損失が大きくなる。そしてそのツケはいつも国民に回ってくる。だからこそ "気楽に"「損切り」すべきなのである。


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