米CPIの ”反転リスク” 。ー 令和版 ”ゴルディロックス” 経済の落とし穴。
2/1のFOMCを控えて神経質な動きを見せる米国債市場。金利水準で言えば10年@3.50%を挟んである程度「固定収入」=Fixed Income を確保する動きと金利反転を見込むショート筋(売り)の間で揉み合いとなっている。
いわゆる ”ゴルディロックス” =「適温相場」となっており:
金利市場関係者は当然認識しているが、考え得る限り「最高の金融環境」を前提として現在の相場が成り立っている。昨年悲惨だったナスダックや中韓株は年初来軒並み+8~10%反発しまさに「適温」。もっと悲惨だったビットコイン(BTC)に至ってはもう+40%越え(但し、2021年終値比では未だ▼15~26%、BTCは半値戻しに過ぎない)。
2022年に酷い目に遭った投資銀行やヘッジファンドの意気込みは判る。スタートダッシュの1月ぐらい良い気分でいたいだろう。
だが2023年相場は始まったばかりだ。
大事なのはやはりFRBの意向。2/1の+0.25%「利上げ」は「既定事項」として、今後本当に迅速な「利下げ」に転換するのか?
筆者も想像に難くないのは米CPIの ”反転リスク” ( ↑ 標題添付)。2022年6月の+9.1%から12月+6.5%まで下げてきたが、TIPS(米物価連動債)↓ が指し示しているのは+2.3%程度。これがちょっとでも上向いたらどうなるのか? 想像するとちょっと怖い。
この点についてはFRBメンバーが度々警鐘を鳴らしているが、今回のFOMC後にどういう声明、記者会見が出て来るか、大いに注目される。
やはり最大の障壁は 「雇用の壁」- 蘇る ”1994年の悪夢” 。|損切丸|note。今の「逆イールド」は米経済の ”リセッション” 入りを前提としているが、どうも現場から聞こえてくる声はそこまで悲観的ではない。特に雇用については引き続き強い需要が見られ、ベビーブーマー▼4,000万人の ”穴” は伊達ではない。2/3発表予定の雇用統計である程度状況がわかるだろう。
「金利」から離れ始めた「ドル」「米株式市場」。|損切丸|note でも少し触れたが、米国債と米株式市場の「シーソーゲーム」は終わりを迎えつつある。今や「金利低下」は「景気悪化」→「株売り」の材料ともなり得るし、逆に「株価下落」→「景気悪化」→「米国債買い」ともなり得る。既に*「金利相場」の中味は2021~2022年とは大きく異なる。
さて、このアメリカを1年遅れで追いかける日本。
特に変化が顕著なのは企業経営の転換 ↓
最近業績が良くなっている企業は総じて「人材投資」が上手くいっている。3年以上前に「インフレ」「スタグフレーション」をトップの柳井氏が予見していたファーストリテイリングなどは既に ”準備” が出来ており、最高+40%の「人件費引上げ」はいわば "想定通り"。他のファミレスに先んじて「値上げ」路線に舵を切っていたロイヤル同様、他社を引き離している。
今国内で続々と起きている「値上げ」は「人材確保」のための原資を得るため。「円安」等による ”コストプッシュ” は副次的なものに過ぎず、この流れはアメリカ同様そう簡単には潰えない。本丸は「人」。「値段」で勝負しようとする企業は苦しくなる。
こういう社会背景を知れば、グローバル投資家にとって本当に ”ゴルディロックス” なのは日本ではないのか。日銀総裁が替わるとはいえ、将来予想される「利上げ」もせいぜい+1.5~2.0%程度。彼らにしてみれば脅威にすらならないし、株価も不動産価格も世界的にはまだまだ割安だ。
唯一 "ブラックスワン" があるとすれば「JGBの暴落」。ドル円の動きと合わせ注意深く見守っている。何せ「不思議の国・日本」。過去に何度も "煮え湯" を飲まされているだけに、慎重になるのもまあ当然だろう。
まさか ”卯年は跳ねる” なんて相場格言も知らないだろうし、12年周期で4番目の運用成績、なんてデータも信用しないかもしれない。だがアメリカの ”ゴルディロックス” が崩れた時、強力なオルタナティブ(代替投資先)になるのは間違いない。そういう視点で日米の国債市場を注視していきたい。
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