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続・見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。

 見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸|note その後の続報。

 ようやくメディアも含め世間一般にも 「ルーブル」の ”リアル” 。|損切丸|note が伝わり始めた感もある。 ”リアル” に「ルーブル」が強いのなら、為替市場でドルにでもユーロにでも換えて、ユーロ債(ドル建)の償還でも何でも払えばいいはず。それが*4/4償還期日のユーロ債20億ドルの7割、14億ドルを国内投資家に「ルーブル」で償還するなど、さすがに「おかしい」。まさに偽りの「ルーブル高」なのである。

 しかし、こんなに高い「ルーブル」を押しつけられた国内の銀行、企業、投資家はどういう会計処理をしているのだろう。確かに国内基準で「ルーブル」建決算すれば見た目は繕えるが、 ”リアル” では損失が膨らむ。何しろ「ルーブル」で買える輸入品は限られているのだから。

 それがここに来て外為規制を一部解除したという。1万ドル相当以下の海外送金を認めるとのことだが、両替商や銀行は一体いくらで換えているのだろう? まさか偽りの「ルーブル高」レート、 e.g. 画面表示@79.06、を適用してはくれまい。おそらく ”闇レート” @1ドル=130ぐらいではないか。無理矢理「安値」で外貨を国にもぎ取られ「高いルーブル」を売りつけられた銀行、企業もいくらか「損失補填」できたということか。

 とにかくこんな無理を続ければ、国産で対応できる小麦やガスはまだしも、いずれ国内は「ルーブル」で溢れかえり輸入品は値が上がる一方まるで「インフレ」の実験場である。「お金持ち」=オルガルヒの反発も想像に難くなく、今回の規制緩和も国民の "ガス抜き" の意味合いが大きい。

 ただ大統領をはじめ、意外と「金融リテラシー」が高い国なので、ごちゃごちゃ言いながら、何とか「インフレ」「デフォルト」を防ごうと足掻くだろう。いずれ偽りの「ルーブル高」も ”リアル” に近付いていくはずだ。

 そしてもう一つ、偽りの「逆イールド」

 急速に「逆イールド」の解消が進んでいる”預言” した「損切丸」としては、元・金利専門家として面目が立った(苦笑)。

 一時▼15BPも逆転していた5ー10年米国債の "名目金利差" はついにゼロ5年、10年を下回っていた30年債金利もやっと "地上" に芽を出した。ただ複利で考えると@3%・5年で+0.22%乗るので  、まだ「実質逆イールド」は解消していない

 それでも、これまで莫大な利益を生んできた「フラットニング・トレード」、 e.g. 2年売り+10年買い5年売り+30年買い、のトレンドが折り返したのは事実。ここからは逆目の「損切り」の嵐が吹き荒れそう。

 「儲かってるから大丈夫」

 そう高をくくっていたトレーダーはあっという間に「利食い」が「損切り」に変わり、天国から地獄へ。これが相場であり、常に油断は禁物値動きの激しい原油価格やビットコインなど尚更だ。 

 背景としては、米銀勢の保有する2~5年債の処理(含.先物ヘッジ売りスワップ払い、いずれも金利上昇リスクを軽減する取引)に目処がついた事が大きい。加えて5月にもFRBによるQT(Quantitative Tightening、量的引締)開始があり、イールドカーブに修正が入った。

  「2~3年後に ”利下げ” 開始」

 やはりこの ”預言” には "無理" があった。まあ株価を下げたくないウォール街の、いわゆる ”為にする理屈” だが、みんな引っ掛かってはいけない

 「量の減少」は「過剰流動性」の恩恵を受けてきた米株価には明らかにネガティブ金利上昇を無視するように高値推移していたS&P「イールドスプレッド」が ”売りサイン” と見られる▼3%を大きく上回る▼2.2%まで上昇。これも「無理は通っても無理」の類いだ。「過剰流動性」下では無視できた "金利サイン" も "量" が減れば効果を発揮し始める

 この偽りの「ルーブル高」「逆イールド」2つは典型的な相場の "罠" 「お金」を賭けるなら、新聞やネットの記事を鵜呑みにするだけでは危険、という実に良い例。特に "識者" が流す「後講釈」には注意が必要だ。

 ポイントは画面表示のレートや記事を見聞きした時に、まず「違和感」を察知すること。そしてより大事なのは、その「違和感」の源を探ることだ。この1歩、2歩の「踏み込み」の違いが、最終的な結果に甚大な影響を及ぼす疑問をほったらかしにすると、後で「時限爆弾」のように炸裂してえらい目にあう経験者=「損切丸」からせめても "老婆心" である(苦笑)。

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