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このままでは日本は「軽自動車」だらけになる。

 「日本で発売しても ”値段が高い” と文句が出るだけだから...」

 日本の新しい高級車がアメリカ、中国で先行発売される例が増えている。日本のユーザーの中には「何故日本で発売されないの?」という意見も散見されるが、メーカー側の真意は ↑ だろう。単純に売れないからだ

 筆者も個人ベースの「ESG」Ⅱ ↓ PHEV(プラグインハイブリッド車)を購入したが、確かに値段は高いガソリン車の+3割増しといったところか。ガソリン代は節約されるが、5年ぐらいで元は取れない。

 まず筆者の頭にあったのは今後の値上げリスク電気自動車はガソリン車よりも半導体を多く使うため、どう見ても値上げになる蓋然性が高い。8年目に突入した筆者の自家用車はどのみちあと2~3年で買換を予定していたので ”前倒し” した、という訳。実際半導体の値上げを予告しているメーカーもあり、 ”インフレリスク” も考慮した一種の「投資」だ。今回の下取りが高くなったように、ひょっとすると5年後に高く売れるかも(笑)。

 「リセール・バリューなんて考えてたの?」

 車を買う時に奥さんに言われたが、そもそも「価値の高い・低い」は見た目の「値段」で決まるものではない。当然「将来価値」(前稿.日本を決定的にダメにした「将来価値」の「軽視」。↓ ご参照)が深く関わってくる。白い車が売れるのは「みんなが乗ってるから」という日本的同調圧力もあるが、「投資」で考える人はリセール・バリューを考えているはず。

 この辺りの理屈は「損切丸」でさんざん説明してきた「名目金利」と「実質金利」の違いと同じだ。例えば10年国債の金利でブラジル@9.18%を日本の証券会社では「高金利債」とセールスしているが、正確には「高・名目金利債」であり、①インフレ(CPI)、②信用リスク(CDS)を考慮すると、実は@0.04%の日本国債(JGB)の方が「高利回り」だ。「実質金利」ではJGB@▼0.03% > ブラジル@▼0.47%になる。

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 今の30代までの世代は生まれてから20年以上もの間、 ”物” のリセール・バリューが下がり続けてきた。敢えて言えば「現金・預金」のリセール・バリューが上がり続けるデフレだった訳だ。だから1,000兆円もの「預金」を抱える結果になり、今もその ”恐怖” から抜け出せない。

 筆者は「2015年以降日本はインフレに転換」が自説だが、その事に早く気付いて投資に乗り出した人達が「苦境」を脱している。主役は株や不動産だが、未だに「預金過多」の状況を見ると、まだまだ少数派「損切丸」の読者の中には、その辺に "迷い" がある方が多いのかも知れない。

 「貧すれば鈍する」

 筆者が危惧するのは、車の例で言えば*見た目の「名目価格」にこだわる余り安易に「軽自動車」に傾斜しないか、という事。一度将来の値上がり(インフレ)やリセール・バリューを考慮して「実質価格」を計ってみる事をお勧めする。真の意味の「割高・割安」が見えてくるはず。

 不動産で最近よく目にするのは「リモートワークが普及するから "郊外" 物件がお勧め」という売り文句。大体こういう時は業者が売りたい時都心と違って "郊外" は土地も家も余り放題リセール・バリューで大切な ”希少性” は都心物件のそれに遠く及ばない

 日本で「高い」と思われる高級車がアメリカや中国で普通に売れるのはそれが「適正価格」だから。裏を返すと**日本人がどんどん貧しくなっている証でもある。はっきり言って日本の自動車メーカーは最早日本を「重要市場」とは位置づけていないだろう。「貧しい国」で自動車は儲からない

 **そんな状況だから「一発逆転」を狙う人ばかりが増える。「人気職業」の1位が「YouTuber」というのが典型的だし、激しい相場変動だけを理由に「ビットコイン売買に明け暮れるのもそうかもしれにない。サンフランシスコでは「年収1,400万円」ないと普通に暮らせないらしい。なぜこんなに "ずれて" しまったのか "彼我の差" を痛感させられてしまう。

 20~30代ではあまり考えないが人は皆例外なく老いる。筆者も45ぐらいから「死ぬまでの道筋」(寿命は80歳ぐらい?)をうっすら自覚するようになった。「YouTuber」「ビットコイン」も20~30年も続けられる代物ではなかろう。特に今の日本においては、自分の「将来価値」をじっくり考え直してみるのもあり。自省も込めて書くが、早く気付けるなら早い方が良い

 単純に「軽自動車」や「ブラジルレアル債」に飛びつくことのないよう。買ったはいいが行く行く「売る」のに苦労するかもしれない「安物買いの銭失い」とは、昔の人は上手い事を言うものである。

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