見出し画像

最後は「自分との対話」。ー 何度も ”生き直す” 相場の中で。

 日本はゴールデンウィークというのに、世界のトップ2米・中のマーケットは荒れ模様。いよいよ 続・さあ、"本番" はこれからだ。 ー  "QE"(量的緩和)→ テーパリング → "QT"(量的引締)で「お金」はどう動くのか。|損切丸|note 続・「人民元」がおかしい。 ー  ”クラッシュ” の足音。「元安・株安・国債安」は起きるか。|損切丸|note 

 「暴落」時はとかく Excuse (言い訳)を探しがち。今回はA社の赤字決算が槍玉に挙がっている。 "何かのせいにしなければやってられない" 気持ちは十分理解できるが(苦笑)。

 今回の事態は十分予想できた。大元はQT(Quantitative Tightening、量的引締)による「お金」=流動性の減少。筆者が株のアービトラージ(金利裁定取引)で実際経験したことがベース ↓ になっているが、「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉Ⅲ。 ー 日本人が考えるべき「時間価値」。|損切丸|noteを改めて想起させる。

 (参照)「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ13 株式編③|損切丸|note

 ~2021.11月までは毎月FRBから+1,200億ドル(=米国債 800億ドル+MBS 400億ドル ≓ 14兆円)「お金」が供給されていたのが、2022.5月以降▼950億ドル吸収(=米国債 ▼600億ドル+MBS ▼350億ドル ≓ ▼12兆円)に転じる  。差引月▼26兆円、年間▼300兆円超も「お金」が逆流するインパクトは凄まじい

 ここまでは過去の説明の繰り返しだが、今回はもっと個人的、人間的に「危機」に直面した時にどう向き合うか、が焦点。

 「こんなに売ったり買ったりしても、世の中に何の貢献もしていない!」

 筆者も銀行で相場を始めた頃、 ”若気の至り” の時期があった。正直トレードが上手くいって儲かっている時は、こんなに良い仕事はない。給料は高いし、時間の制約も残業もない。「何て割の良い仕事なんだ」

 ところが上手くいかなくなってドツボにはまると、”虚しさ” に耐えきれず ”社会貢献”とか、訳の分らない「言い訳」 ↑ をし始める(苦笑)。本当に人間というのは自分勝手な生き物だ。

 何十回と「損切り」して悟ったのは、最後は「自分との対話」に行き着くということ。どんなに「言い訳」しても相場の「結果」からは逃れられない。ある意味、とても純粋な仕事だ。良く言えば「結果」さえ出せば「言い訳」も「根回し」も「忖度」も不要。(筆者はそこが気に入っていた)。

 例えばある株を@1,000円で買ったとしよう

 当然@1,200円とか@1,500円とかに値上がりを期待して買うが、思い通りに動く時はいい。問題は逆に動いた時

 これはPERとか業績とか、株価を真剣に分析、調査した人ほどそうなのだが、例えば株価が@800円に下がると「@1,000円でも買いなのだから@800円は買い」という思考に陥りがち@600円に下がれば更に買い増ししなければいけなくなる。これは ”ナンピン買い” と呼ばれ、特に相場初心者に「してはならない取引方法」の1つとして挙げられることが多い。

 なぜ ”ナンピン” はいけないのか?

 これは「心理面」が一番重要「@1,000円で買った」→「株価が上がって欲しい」という主観=気持ちが強過ぎて、@800円、@600円に下落した事実を "客観視" 出来なくなるのが問題。

 実は ”ナンピン” は絶対悪ではない。筆者も ”ナンピン” で勝った事が何度もある。相場は「売り」と「買い」の2沢なのだから、 ”心” を「中立」に保って客観的に「売買」判断ができていれば ”ナンピン” でも構わない

 *株価と10年国債を比較した「イールドスプレッド」が ”心” を「中立」に保つための "道具" の1つヒストリカルに▼2.0~▼4.0%で推移するS&Pの「イールドスプレッド」が▼2.44%(4/29)。まだ割高領域にある。

 こういう時は「@1,000円の買いポジション」は一度無いものとして、本当に@800円、@600円が買いなのかまっさらな状態で見つめ直すのがお薦め。**「売買」の判断に「損切り」か「利食い」かは関係ない

 **何度も ”煮え湯” を飲まされた人なら、「損切り」より「利食い」の方が何倍も難しいことが身に染みている。「利食い」が早すぎると "大儲け" を逃がしてしまう。例えば@1,000円で買って@1,200円で「利食い」→ その後株価が@2,000円になると、▼800円儲け損なった上もう手が出なくなる。この局面、本当に "大儲け" するトレーダーは@1,000円で買って@1,200円で「買い乗せ」する。既に+200円儲かっているのに、目の前にある「利」を捨ててリスクを増やすのはかなり ”勇気” がいる

 人間というのは基本的に「自分に甘い動物」なので、どうしても「利食い」では気が緩み「損切り」は嫌がる。この "心の偏り" を修正しながらマーケットに臨むのが1つのコツ「損切り」も「利食い」も「買い乗せ」も関係なく、常に ”純粋な売買” を判断できるのが理想だが、これがなかなか難しい。訳が分らなくなって感情的になったり祈るようになったら、一度綺麗さっぱり「損切り」した方がいい

 かつての投稿で「落石にあった3人家族」の例えを紹介したことがある。①恐怖の余り立ち尽くし目をつぶったり②後ろを向いて逃げたり、かといって③ムキになって落石に向かっていくのでは「危機」は回避できない

 (正解)落石と正対し、父が母と息子を自分の前に立たせ「右!」「左!」と指示を出して落石をかわす

 今のような急落局面(=落石)ではこう言う対処方が必要。つまり ”FACT” から目をそらさないこと。厳しい事を言うようだが、単純な ”お任せ積立” や "ガチホ戦略” は  ↑ ① ”FACT” に目をつぶっているだけだ。

 とはいえ、今は50年、100年に一度の大変動期”心” を保つのが難しければ「休むも相場」もアリ相場投資何度も "生き直し" するようなもので、 "向こう" は「危機」の度に「お前はどうするんだ!」と問い詰めてくる純粋に相場に向き合う事の1つの "効用" でもあるが、そこで自分も気付かなかった "自分自身" の一面を垣間見ることもあるだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?