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米国経済本当は弱い?

米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ|損切丸 (note.com)
米国経済本当は強い?弱い?Ⅳ|損切丸 (note.com)
米国経済本当は強い?弱い?Ⅴ ー 「ドル円」と「ビットコイン」の相似性|損切丸 (note.com) シリーズの ”完結編” (?)

7月米雇用統計: 失業率 4.3% 予想 4.0% 前月 4.1%
非農業部門雇用者数(NFP、Non-farm Payrolls)+11.4万人 予想 +20万人  前月 +17.9万人 ← +20.6万人
平均時給(前年比)+3.6% 予想 +4.0% 前月 +3.9%
週平均労働時間 34.2時間 予想 34.3時間 前月 34.3時間

 このシリーズもようやく決定打失業率は上昇、NFPも平均受給も労働時間も減っており ”米国経済本当は弱い” 。FRBの「利下げ」路線は固まった

 2年米国債は一気に@4%を割り込み、9月FOMCでは▼0.5%、年内合計▼1.00%の「利下げ」を織込みターミナルレートは@3%も視野に。イールドカーブも本格的に「スティープニング」(長期>短期金利)が始まった

 マーケットは明らかにアメリカの ”リセッション” (景気後退)を意識し始めている。レーガン政権時の「高金利政策」がその後 "酷い不景気" をもたらした歴史的事実に鑑みれば、今回も3回連続の+0.75%を含む急激な「利上げ」の後だけにその影響は計り知れない。3年も続いた激しい「インフレ」も確実に米経済の体力を奪っている

 問題は「株安」「株本位制」のアメリカでは個人消費へのダメージはかなりストレートだ。**FRBは「利下げ」で株価下支えを図るが、対「インフレ」では初動が遅れ ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) を起こしただけに一抹の不安は残る。これで "トランプ大統領返り咲き" なんて事になったら...。 「インフレ」×「ポピュリズム」は "最悪の組み合わせ" |損切丸 (note.com) は大きなリスクとなる

 まるでこの動きを予見したような日経平均の暴落@8/1~2だったが、BoE(Bank of England、英国中銀)も先んじて▼0.25%「利下げ」保険的に「利下げ」したECBも賭けに勝った恰好。これでようやく世界的「インフレ」に歯止めがかかり、同時に長きに渡った「ドル高相場」も終焉を迎えた

 ドル円は@147円割れ日経平均先物も@35,000円割れなど週明けの東京市場も心配だが、筆者は異常な「円安」で嵩上げされた名目株価が適正値に調整する動きと理解している。元々日本の「インフレ」は抑制的であり、「円高」効果も含めCPIは日銀の目標=+2%にゆっくり収斂していくだろう

 一気に@160円を超える「円安」で 「通貨危機」の "芽” |損切丸 (note.com) が出かけた時は急いで@1.0%まで「利上げ」する必然性を感じていたが、まあタイミングがいいというか何というか。大統領選直前になって「利下げ」転換がはっきりしたFRBに救われた恰好の日銀。これも考えようによっては*「国際協調」の一部なのだろう

 *1つ不確定要素があるとすれば中国の不良債権問題。こちらは逆にモノも人も溢れており、バブル崩壊後の日本に似た状況。いくら「米中対立」が先鋭化しているとはいえ、あまりに景気が悪化すれば日米欧とも相当な "返り血" を浴びる。FRB、ECB、BoEによる「利下げ」転換には ”中国発の経済危機回避という "裏の狙い" も透けて見える

 ただこれで日銀の「利上げ」路線が修正されるとまでは考えない。この状況なら年内+0.25%あと1回、2025年前半に+0.25%×2回で極めてゆっくり政策金利を@1%程度まで「利上げ」する路線になるだろう。それでもCPIが+2%ならまだ「マイナス金利」。ただ日本の「潜在成長率」≓「自然利子率」が+1.0~+1.5%と想定すればまずまずの水準 ≓「中立金利」に近い「人手不足」から「賃上げ」も徐々に進むはずだ

 急激に▼15円も「円高」が進んだので株式市場を中心に "ショック症状" に陥っているが@146~147円はまだまだかなりの「円安」。これは日本が「普通の国」に戻るための "リハビリ" の痛みでもあり、ここで中途半端に止めてしまえばまた元の木阿弥。日経平均が@30,000円を割り込むような事態が無ければ "リハビリ" は続く。幸いアメリカと違って家計による株式の保有が少ない日本では「株安」による個人消費へのダメージは小さい

 **この流れだと@150~160円台で買った「オルカン」「S&P」が買値を回復するのは難しい「長期投資」の視点は確かに大事だが、それも「エントリーポイント」が合っていればこそ。日経平均やドル円が反発すると「@40,000円、@155円まで戻ってくれないかな...」と祈ってしまうものだがマーケットで "祈り" がかなう事はほどんどない相場の戻りでどれだけ傷を浅くするかも「損切り」のテクニックの1つ。下落相場なら尚更である

 2022年に パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) による「過剰流動性ショック」で大暴落した株式市場だが、今度は日銀「損切り」も「利食い」も冷静かつ勇気を持った決断を迫られるだろう。あなた自身がどういう人なのか、試される局面になる


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