NYダウは「フェニックス(不死鳥)」なのか、それとも「イカロスの翼」か。
毎度毎度恐れ入るのがNYダウ。7/19に▼700ドル余り下げて調整局面入りかと思ったら、たったの4日間で取り戻すどころかまたまた最高値更新。まさに「フェニックス(不死鳥)」である。
こうなると特にファンド等で顧客に「運用」を任せられていて、今「ゼロ」から始めるとしたら... ↓ (7/21稿)、やはり株を買うしかないのかもしれない。*1981年以降40年間のNYダウ運用利回りは何と@3,600%強、年利に直すと@90%、特にリーマンショック以降、株価はほぼ5倍(年@400%)と驚異的だ。
*ナスダックはもっと凄い。40年間の利回りは@7,000%越え、年@170%を超えている。覚悟を決めて米株に投資した人達は一財産築いていただろう。現代の「アメリカン・ドリーム」である。
筆者が "現役" の間も波風が立たなかった訳ではない。1981年以降なら①ブラックマンデー(1987.10.19)②メキシコ危機(1995)③アジア危機(1997)④LTCM破綻(1998)⑤ITバブル崩壊(2000)⑥リーマンショック(2008)そして今回の⑦コロナ危機(2020)と「大波」が何度も襲った。
こういう時、よく引き合いに出されるのがギリシャ神話に出てくる「イカロスの翼」。ミノス王から見放され、塔に閉じ込められてしまった細工職人ダイダロスが息子イカロスと塔を抜け出すために、鳥の羽を集めて蝋(ろう)でとめ、大きな翼を二人で背中につけて飛んだ:
「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛べ。あまり低く飛ぶと霧が邪魔をするし、あまり高く飛ぶと太陽の熱で溶けてしまうから。」
株価が急落する度「もう飛べない」と思ったものだが、特に銀行の「資金繰り」問題に直接関わった④LTCM破綻(1998)⑤リーマンショック(2008)の時は、もう蝋は完全に溶けて墜落、「終わった」と感じた。
だがここでFRBを中心とした「中央銀行騎士団」が顕れる。**「過剰流動性」という" 魔法の絨毯" で墜落を回避し飛行を継続。これにより「イカロスの翼」は「フェニックス」に変貌を遂げ現在に至っている。
**そう言う意味では日銀ナイト(Knight)は低空飛行し過ぎて霧に邪魔され、いつの間にか海中深く潜ってしまったと言えよう。その後日本が20年以上海面に浮上出来なかったのを見て、他の騎士団は「墜落リスクを冒しても海に沈むよりマシ」と考えるようになった。
だが今回の⑦コロナ危機(2020)はどうだろうか。蝋を溶かすというよりイカロスに直接ダメージを与えており、今までのどの危機とも "異質" 。「過剰流動性絨毯」も使い過ぎて "浮力" が失われ、「インフレ」熱も蝋を溶かしつつある。本当に「不死」なのか、疑問も湧く。
「温度を下げるため水をかける(=利上げ)必要があるのではないか」
現在の金利市場が揺れているのがこの点。だが一方で「海に沈む方が嫌」と主張する向きも未だに多く、***非常に複雑な相場付になっている。
***①水をかけた方がいいのか(利上げ)、②高度を下げた方がいいのか(増税)、はたまた③一度地上に降りて休んだ方がいいのか(SDG`s= Sustainable Development Goals、ESG=Environment Social Goal)。
「フェニックス」と思って飛んでいたのでいつの間にか抱えている荷物(債務)が重くなっていることに気付かない点も気掛かり。兎に角現在のマーケットは「過去に例を見ない壮大な社会実験」の様相を呈している。
筆者は過去の経験をベースにこの note. を書いているが、マーケットで売買いしているトレーダー達も同様。だがこの局面、経験を "参考" にはしつつもあまり過去の成功・失敗体験に固執するのは危険。ここは初心に返って ”キャッシュフロー” を丹念に追い、もっと「想像力」を働かせていきたい。
「お金」だけは嘘をつかないのだから。
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