「米中対立緩和」? - 重大イベントを乗り超えた ”両親分” 。
ハンセン指数と人民元急落が告げる事。- マーケットからの ”メッセージ” 。 |損切丸|note なんて書いたので、続報を書く責任として(苦笑)
一時15,000 bps も下回った香港ハンセン指数だが、直近2週間で18,000 bps 超へ急反発。 ”ゼロコロナ政策見直し” なんていう怪しげな噂が出回っていたが、買い戻しのキッカケに使われただけのようだ。*中国株ショートで仕掛けて一時「大儲け!」とぬか喜びで「利確」しなかった手合いには気の毒だが、やはり相場はきちんと手仕舞うまで何が起るかわからない。
本丸は今回G20での米中 ”見せかけの手打ち” (握手している画像は裏社会風。苦笑)。アメリカは大統領中間選挙、中国は5年に一度の共産党大会という重大政治イベントを乗り越えた ”両親分” ともまずまずの結果を得られたので、もう不必要に突っ張る事もない。下院議長の訪台から対抗処置としての軍事演習まで1つの「政治ショー」だったということ。
肝は中国から米国への輸入品にかけられた高関税。選挙前は動きにくかったが、これを引下げる事は「インフレ」に苦しむアメリカにも「不良債権」でもがく中国にもメリットが大きい。マーケットへの影響は:
次の「重大イベント」までアメリカは2年、中国は5年あるため、マーケットはこのシナリオを織込みに行っている。ここで面白いのが日本。例え ”見せかけ” でも「米中対立」が緩和に向かうのは悪くない。11/11 ”独身の日” の売上も冴えなかったようだし、中国の消費回復を待ち望んでいるはず。
では本当に「米中対立緩和」に向かうのだろうか?
筆者は極めて懐疑的だ。アメリカという国は ”敵” には容赦が無い。「ココム事件」などで「日の丸半導体」をボロボロにされた日本がその怖さを一番よく知っている。中国は軍事力を背景にしている点が違うが、安全保障面も含め、半導体などの戦略物資の締付は徹底的にやってくるだろう。そう言う意味で今回の「米中対立緩和」は ”見せかけ” に過ぎない。その辺り、中国は十分承知の上だが、目先の「お金」には代えられない。
製造業も映画などの娯楽産業も、そしてウォール街も「巨大市場」中国には未練タラタラだが、インフラを構築してしまって容易に引けない製造業とは対照的に「共同富裕」による厳しい「ボーナス・キャップ」でやる気が削がれた金融界は中国関連の人員を急激に減らしている。儲けが限られるとなればソッポを向くのも早い。現体制が続く間はもう戻って来ないだろう。
政治イベントといえば、参院選が終わってしばらく選挙がない今の日本。ここぞとばかりに一気に動き出したのが財務省だ。年金の受給年齢引下げに高齢者の医療負担引き上げ、消費税の15%への引上げも政府税調に働きかけている。選挙が無い今のうちにやれるだけやってしまおうという魂胆だ。幸い現首相は財務省寄り。高校の同窓も多数在籍していることだろう。
ただここは順番を間違えてはいけない。1,200兆円の国債を減らすために「インフレ」を起し「増税」するのは「お金」的には間違ってないが、それも納税者あってこそ。税金、社会保障費で生活者を過度に追い詰めれば、せっかく育ちそうな ”芽” まで摘んでしまいかねない。
「借金」取り立てで出て来るシーンだが、財務省にもこのぐらいの懐の深さが欲しい。 ”豚は太らせてから狩る” というセリフもあったが、杓子定規に回収に走れば「縮小均衡」で状況はかえって悪くなる。
中央官僚も地頭はいいのだからもっと「投資」の概念を政策に取り入れてみてはどうか。そもそも「借金」は「儲け」で返すのが基本。小金を配るだけの今の ”無駄使い” が続けば行き着く先は「デフォルト」=破綻だ。
「米中対立緩和」は例え ”見せかけ” でも日本にはチャンス。だが心配なのは ”中国は大丈夫” と気が緩み「脱中国」や国内回帰に必要な「投資」を止めてしまう事。日本も "変化の姿勢" を見せないと「円安」は止まらないし「お金」も「人」も入ってこない。「円安が止まったのは、大変結構なこと」などと他人事のように語っている場合ではない。それが日銀総裁なら尚更。早くこんな不自然なJGBの金利体系 ↓ は解消して欲しいものである。
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