「金利」のパラダイムシフトⅡ。ー 「逆イールド」"エセ" から "リアル" へ。
「金利」のパラダイムシフト。ー "エセ" 「逆イールド」崩壊の序曲。|損切丸|note の続編。
しかし米経済の底力には毎度の事ながら恐れ入る。昨日(3/3)発表の2月米非製造業ISM総合景況指数 ↑ をみても受注や雇用などが非常に強い。これがNYダウやナスダック続伸の原動力になっている。
一時@7%を超えて需要の急減が心配された住宅ローン市場だが、ここへきて30年物が再び@7%へ接近、借り入れ需要がぶり返している。やはり「借金大好き」=「インフレ」体質のアメリカ人は凄い。
2年債を中心に一時売り込まれた米国債市場だが、実は面白い現象が起き始めている。一応元・専門家「損切丸」の見立てでは「逆イールド」は "エセ" から "リアル" へ変化の準備が始まっている。
お気付きの方はなかなかの "金利マニア" だが、筆者が注目しているのが10~30年の「逆イールド」の深化。どういうことだろう。
FRBの「利上げ」の着地点=ターミナルレートが@5.5%なのはFRB、マーケット共にコンセンサスになりつつある。@5%を境に「引締効果」が急激に高まることはFRBも経験上熟知しており、双方ともそれが@6%に向かうような展開は想定していない。あとはその「高金利」状態がいつまで続くか。
「利下げ」転換のタイミングが延びれば延びる程2年以下の短期金利ゾーンは売り圧力(金利上昇)を浴びる。従ってこちらの売買いはそれなりのボラティリティー(変動率)が続く。
だが長期金利は別。ターミナルレートの着地点が見えている以上、FRBによる「利上げ」の影響を受け難くなり売り一辺倒にはならない。5年は中立、10年超は@4%を目処に買い場を探る投資家が増えていくだろう。
これが10~30年の「逆イールド」の深化を生んでいる。これで政策金利が@5.5%に達するとO/N(今日明日の1日物、FRBの政策ターゲット)から30年まで綺麗な "リアル" 「逆イールド」が形成される。これまでのような不安定な金利相場は解消し、一方的な金利、特に長期金利の上昇に苦しんできた米株式市場には朗報といっていい。
逆に難しくなるのがFX(為替市場)。単純に金利が上がった、下がったで売買できる機会は少なくなる。金利相場の安定化はFXにとってボラティリティーの低下を意味し、収益機会が減る。*昨年までのような一方的な「ドル高」相場ではなくなるだろう。
これが現在「損切丸」が想定している世界のターミナルレート。 ”寝た切りデフレからのリハビリ” が続く日本がしんがりになりそうだ。「賃上げ」に伴う「インフレ」、あるいは「円安」などの要素をこなしながら進んでいく事になる。そのタイミングについては、新総裁の下、日銀にはプロフェッショナルな判断が求められる。
日経平均やドル円、米国債市場などが「YCC金利引上げ」ないし「廃止」、あるいは「利上げ」のタイミングを左右することになる。今後FXではドル金利よりも円金利の動向に注目が集まりそう。
余談になるが、先日我が家にも「電気料金値上げ」のお知らせが届いた。4月、6月と2段階で上がるようだが「まだこんなに上がるのか!」。さすがに経済産業省がストップをかけそうな情勢だが、マーケットで「円安」「ガス・原油高」が相当修正されている中、これは説得力を持ち得ない。
政治問題化しそうなので口が裂けても言えないだろうが、おそらくこの「値上げ」のバックボーンは「人件費の上昇」。そうでなくても「高給取り」批判の強い電力会社。かつて公的資金の投入で批判を浴びた日本の銀行界と同じ展開になるだろう。
心配になるのがこの「インフレ」スパイラルがどこまで続くのか。日本ではまだ始まったばかり。 いつも "横" ばかり見ている日本人。ー 「値上げ」も「賃金」も「金利」も...?|損切丸|note だけに「みんな飛び込んでますよ!」相場になるのが怖い。海外のJGBトレーダーも怖れていた円の ”一方通行相場” 。何しろ一度走り出したら止まらない暴走列車だ。当然日銀もその点は熟知している。
500兆円というパンパンに膨れた "JGB風船" を抱えた状態の日銀。元副総裁の山口さんも中曾さんも新総裁を固辞するのも当然。 "風船" を膨らまし続けた当事者の雨宮副総裁でさえ受けないのだから。筆者なら年収2億円でも受けない(依頼が来るわけ無いか。苦笑)。怖すぎて眠れない夜が続きそうだから。今年は "何か" が見られるかもしれない。
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