タイタニック

「機械的買い相場」 vs 「人間的売り相場」Ⅳ - まるで「タイタニック」船内での揉め事。

 恐れていた通り、マーケットは「人間的売り相場」が支配しているようだ。おそらくAIアルゴはダンマリ(あるいは売り指示を出しても売れない)。日経平均は@20,000円を、ドル円は@104円をあっさり割り込んだ。(@11:50 東京時間:今見たらドル円は@102円割れ。ひえ~)

 おそらく今日(3/9)アジア・東京市場の動きのきっかけは「入国制限」だろう。これで*経済活動の停滞は決定的になる。人の往来が途絶えれば、当然企業活動に大きな悪影響が出る。

 *特に日韓は影響が大きそう。なんだかんだ政府間が揉めていてもそこは隣国同士。経済的つながりはかなりのものだったはずだ。2019年は政治的に揉めていたが、皮肉にも今回のパンデミックが「制裁合戦」の実現を後押ししてしまった格好だ。お互いに政治的意図があったのかもしれないが、WHOに言われるまでもなく有益ではなかった、ということだろう。

 今の国家、あるいは国際機関の間の「罵り合い」を見ていると、「タイタニック」(レオナルド・ディカプリオ主演の映画)の船内で揉めている乗客を思い起こしてしまう。船が沈んでしまうと言うのに:

「お前が悪い!」「このネックレスは私のもの!」「この扉を開けろ!」

 浸水してくればまず最初に犠牲になるのが船底で働いている船員や二等船室の客。上の階に避難しようと思っても、一等船室の顧客優先で隔壁を閉ざしたまま。避難用ボートも「上級顧客」優先だ。今回更に悪いのは「船長」が「船は沈まないから大丈夫」と言い続けて避難が遅れたことだろう。

 さて市場の反応だが、10年JGB(Japanese Government Bonds、日本国債)が@-0.20%まで買い進まれ、米国同様「利下げ催促相場」になっている。ドル円の急落を見れば「マイナス金利の深掘り」もあるかもしれないが、これも諸刃の刃「損切丸」ではずっと指摘してきたが、これは銀行の業績にはマイナスでしかなく、コストを預金者に転嫁する動きが強まれば「預金課税増税」となる。当然消費は冷え込んでしまう

 この後に開いてくる欧米市場の反応は未知数だが、東京時間の米債券市場は既に凄まじいことになっている▼0.50%どころか今日にでも▼0.75%の緊急利下げをしなければ説明できない水準まで金利が低下している:

画像1

$  FF- 2- 5- 10yr  09 Mar 2020(グラフ)

 イタリアなどで感染が拡がっているヨーロッパも只ではすまないだろう。レバノンのことがあったので、CDSなど「デフォルト」要因の動きも気になるところだ。

 本邦勢の動きで筆者が最も懸念しているのが為替リスク=円高リスクを負った米債投資。この1~2月に買い越した4兆円については、仮にも「プロ」である金融機関が買い手なので30%ぐらいは円高ヘッジをかけているはず(希望的観測。含.ドル円プットの買い、通貨スワップ)。

 1番心配なのがおじいちゃん、おばあちゃんが2018年を中心に契約してしまった「外貨建保険」3.6兆円。想定されるのは新聞やメデイアが騒ぎ出してからやっと気付き、@100円を切ってようやく動き出すパターン。ゴールドマン辺りが「@95円」などと言い出しているのは同じ感覚だろう。おそらくこの「一般人」の保険の損切りが相場の底になりそうだ。

 現時点で「損切丸」が勝手に描いているドル円のイメージは:

 「一旦@95~96円に突っ込んで、その後急速に円安方向@120円に戻す」

 4兆円+3.6兆円=7.6兆円の「損切り」さえ終われば、円を買う理由はどこにもない。ある意味、そこからが相場の本流かもしれない。本当の勝負はまだ先だと個人的には考えているが、さてどうだろうか。もちろん予断を持たずにマーケットは注視していく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?