混迷する与党総裁戦と「円安」
前稿. 続・「インフレ」は死んではいない ー 「国債市場の逆襲」が始まる|損切丸 (note.com) で ”与党総裁選の1有力候補が「今利上げするのは ”アホ” 」なんて発言をすればトレーダーが「円買い」に慎重になるの致し方ない” と書いたが何だかそういう雰囲気になって来た。クロス円を見ても今の流れは「ドル買い戻し」ではなく「新たな円売り」
長短金利差を狙った「キャリートレード」も含めJGBも同じ流れ
続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達" |損切丸 (note.com) のヘッジファンド(HF)にしてみれば "円キャリートレードの夢よもう一度" という事なのかもしれない。いずれにしろ明日(9/27)の総裁戦待ち
「政治」は筆者の苦手分野なので、あくまでマーケットへの影響という視点で読んで欲しいが、仮にT候補→「XXノミクス」復活となった場合:
増税は拒否、財政拡張路線を主張しているようだから株価の名目値は上がるかもしれない。不動産価格然り。ただ「円安」の勢いが上回る可能性が高いので「ドル建日経平均」価格も頭打ちになり実質価値は失われるだろう。日本人にとっては単純に円建ての資産価値が上がってしまい「とても買えない」状況が継続、ないし悪化する
では日銀はどうか
マーケットは「円安」を通じてJGB売り(金利上昇)で「利上げ」催促相場になるが、今の体制ではとても首相の意向には逆らえそうにない。「イールドカーブ」はどんどん「スティープニング」(長期>短期の傾斜化)が進むが「利上げ」出来ずに「円売り」→「JGB売り」→「円売り」…の無限ループ ≓「日本売り」に陥る
他のK候補、I候補の場合は「金融政策正常化」路線が踏襲されるためHFにとっては "つまらない相場" になってしまう。そういう意味で "待望論" が強いのだろうが、コストを払わされるのは日本人。最悪 “このままでは日本人は滅びる” ー 「円安」とも関係する難しい問題|損切丸 (note.com)
だが ”政治の一寸先は闇”
仮にドル円が再度@160円目指しに転換した場合、「円安」「インフレ」に対する民衆の不満が爆発、首相は日銀に対する態度を変えざるを得なくなるかもしれない。逆に「円安」路線に固執して@170円、180円にマーケットが走った場合、冗談抜きに「政権交代」の芽が出て来る。パターンとしては大型財政支出を掲げてポンドが急落し、英国憲政史上最短のたった50日で首相の座を降りたトラス首相と似通ってくる
ただでさえ「スティープニング」が進む米国債に、国債市場のもう一つの ”巨頭” JGBの暴落が加われば怖ろしい事になるのは必定。財務省が再度「ドル売り介入」に乗り出す事態になれば米長期債の売り(金利は上昇)に拍車がかかる。中長期で財務省が安定保有している1兆ドルもの米国債が市場に放たれる影響はかなり大きい。他の長期投資家を巻き込む懸念があるからだ
一旦マーケットが突っ走ってしまうと後追いで修正するのは難しい。急激な「円安」を止めようとしてFRBの真似をして+0.75%「利上げ」×3回連続をしても後の祭り。パウエル議長と同じ過ちを犯すことになる。1ドル=@200円なんて事態になれば、これはもう アルゼンチンが示唆する「日本の未来」|損切丸 (note.com) トルコに起きた事の繰り返しになる
やや大袈裟に聞こえるかもしれないが、実際「損切丸」は何度も煮え湯を飲まされてきた。株価が上がっている内は静観できても、急激な「金利上昇」に見舞われれば全てがひっくり返る。「金利上昇」≓「景気回復」ではなく ≓「資金繰り難」「デフォルトリスク」に転じるからだ
もっとも ”クライシス” はウォール街やHFにとっては "垂涎の草刈場" 。舌なめずりして「政治」の混乱を狙っている。日本人が「大損」すれば彼らの「大儲け」に繋がる。「ゼロサム」のマーケットというのは構造上そういう風に出来ており、住宅ローンの変動金利が云々なんてちっちゃな事に拘っている場合ではなくなるだろう
「通貨安」は本当に怖い
誰の応援をするつもりもないが、今の総裁候補の議論やネット上の異常な応援・言説を見聞きしていると、そういう "危機感" が欠けていてゾッとする。日本は今 "徳俵一枚" 残って少し押し戻しただけ。「減税」「金融緩和」等々ポピュリズムに流されれば一気に寄り切られる。筆者は日本が好きなので考えたくないが、最悪国外移住まで必要になるかもしれない。 "危機" が一旦去るとすぐ緩んでしまうのがこの国の一番悪い所。 "徳俵一枚" 残ることを期待したいところだが…
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