見出し画像

やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。

 やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) の続編として

 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) 前稿.「お金」の価値 - "一度一方方向に走り出すと止まらない日本人" |損切丸 (note.com) で金利急騰のリスクを指摘した途端に厳しい数字が出た:

 1月米CPI(年率)+3.1% 予想 +2.9% 前月+3.4%
 コアCPI +3.9% 予想 +3.7% 前月 +3.9%

 米CPIは実は驚くような数字ではない。直近の様々な指標から「人件費」の再上昇は示唆されており、それがコア指数を押し上げた。ただ銀行の ”都合” だけで無理矢理作っていた「逆イールド」をぶち壊すには十分つい最近まで3月といっていた「利下げ」開始時期は7月まで後退している

 金利投資家目線で見ても5年超なら@4.5%は確保したい。それ以外なら2年以内で@4~5%を確保していけばよく、慌てて長期債を買う必要も無い

 ドル円もドル金利に素直に反応、値を飛ばし@151円に接近「新NISA」の弾もまだ残っているだろう。これでまた「円買い介入」騒ぎが再燃政府・日銀にも再び「円安」プレッシャーがかかる。せっかくYCCをいじってもこれでは単なる無駄弾。一体何をしてるんだか…まさに "戦力の逐次投入"

 さすがに高値圏にあった米株は利食いで急落となったが、それでも 日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?|損切丸 (note.com) 観点から見ると「円安」効果もあって、ほとんどの「投資」は年初来はプラス ↓ 「円」のまま何もせず持っているよりはマシ。まあリスクを取った「勇気」の代償といったところか

 ちなみに「損切丸」のリスティング ↑ で1位はBTC(ビットコイン)だが、これはトップから最下位までジェットコースターのように動くし、2位のWTI(MY原油先物)も不安定。安定感からも実質日経平均がトップだが、これだけ上がっても「円安」で「価値」は台無しでもある

 「米国債急落」「円安」のツケは当然JGB(日本国債)にも波及

 元・円短期金利の専門家として気になっているのがTONAR(無担保コールON金利、日銀の政策ターゲット)の動向。この数日@▼0.005%に張り付いたままで「ゼロ」は目前株やドルの買いで需給が悪いのだろう。特に「預金」を抜かれる「銀行」は資金余剰の減少(あるいは資金不足)で「お金」が足りない所が増える。結果、資金調達需要が高まれば金利は上昇する

 一時「国債買い現先オペ」で資金供給をして金利の沈静化を図ったが、バランスシートがパンパンの日銀にはもう打つ手がほとんどない。だが ”ウルトラC” が1つ存在する。「円買い介入」である

 ご存知の方もいると思うが、財務省の「外貨準備」約1兆ドルは巨大な「円キャリートレード」円市場からFB(Finacial Bill、政府短期証券)を発行して調達した「円」をFXで売ってドルを調達、これを米国債で運用している。「円買い介入」はこの取引を閉じる行為なので、仮に▼1兆ドル米国債を売却すれば+150兆円が戻ってくる。つまり「お金」が供給される

 単純にTONARなど円金利の抑制だけなら非常に有効な手段。だがこれには大きな障壁がある。そう、チャートを見て貰えば判るが▼1兆ドルもの米国債の売りはドル金利の上昇をもたらす昨日の米国債急落の裏にはそういう思惑も多分に絡んでいるFXトレーダーにしてみれば「ドル買い要因」にもなるわけで、これでは介入効果はないに等しい

 つまり本当に「円安」を止めたければ、日銀は「あるべき金利」に戻す必要がある欧米各国が 10年国債は「実質金利 "0"」を目指す?- 「理論」「合理性」に基づく政策運営を|損切丸 (note.com) 中、JGBの▼2.34%は異様。これでは正常化は望めない

 本来 "Forward Looking" (先見的)に動くことで効果を発揮する金融政策だが、これほどのんびりしていては市場がしびれを切らすのは当然。だから忘れていた頃に突然「円売り」が加速するのは ”投機” などではない市場からの重要なメッセージと捉えないと政策を誤ることになる。そこに政治的 "忖度" などは存在しないのだから

 いずれにしろこれでまた日銀・財務省周りがザワザワしてくるのは間違いない。国内政治もいいが「国富」にもっと着目すべき。これではそうでなくても「インフレ税」でヒイヒイ言っている国民から取れる税金も取れなくなる。日銀も財務省も上級官僚はこんな事は百も承知。ここまで20年以上もウダウダと問題を先送りしてきたがいよいよ待ったなし「円安」はそのことを日本人に告げている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?