「キンリが来る」。ー ”2度ある事は3度ある” 「金利@3%運動」再び失敗。
FRBが重視している4月PCE(個人消費支出)価格指数が発表されたが、またも ”ウォール街の都合” に冷や水。「インフレ」は落ち着くどころか再加速。まさに とてもじゃないが「利下げ」を言い出せる状況には無い。|損切丸 (note.com) 。米国債は2年までの短期ゾーンを中心に "総投げ" 状態で、年内の「利下げ希望」はほぼ消滅。「損切り」の嵐が吹き荒れた。
ずっと警鐘を鳴らしてきた「損切丸」的には起るべくして起きたわけだが、あとはきっかけとタイミングだけだった。 続・燻る「インフレ」の ”種火” 。ー "薪" (=金利低下)をくべたらまた燃え始めた「インフレ」。|損切丸 (note.com) は再点火となり、さすがに「利下げ」を声高に主張する向きはなくなった。「逆イールド」で2年ゾーンの金利を抑え付けてきた「金利@3%運動」は年初に続いてまたも失敗。厳しい状況が続く。
まあそれでもNYダウ、ナスダックが反発したからとりあえず 「利下げ」しないと株価は上がらない?|損切丸 (note.com) を回避できたのは救いだが、果たして持続性があるのかどうか...。
イギリスやヨーロッパの金利はドルに追随しており、こちらも「キンリが来る」(✖麒麟、✖ダーウィン)、「(名目)金利@4~5%時代」が到来。それでも「実質金利」はまだまだマイナス圏に留まっており ”薪” をくべている状態で、「インフレ」の炎を消すにはいささか心許ない。
そんな中異彩を放つのは「円」。10年国債金利の「名目」@0.42%も「実質」▼4.31%も圧倒的に低く、ドル円はいとも簡単に@140円を突破したが、それも宜なるかな。日経平均は年初来+17%上げているが、そのうち通貨価値で▼7%強失っている。*日本が1,100兆円もの「預金大国」であることを考慮すると、日本全体としてマイナスの影響が大き過ぎる。
さあ、これで政府・日銀の風向きが少し変わってくるはず。せっかくG7の成功で回復した支持率がまた「インフレ」で落ちるのは望んでいまい。「選挙風」が吹き始めた中、首相周辺の ”観測気球” に注意したい。パウエル議長同様 ”柳に風” タイプの植田総裁自身の発言よりそちらの方が余程重要。
「金利は中央銀行が決める」
繰り返し主張してきた「損切丸」だが、日本はちょっと違う。その事が法律に明記されているからだ ↓
長年「インフレ」に苦しめられてきた欧米では中央銀行の独立性が尊重されており、政治の介入は厳に戒められている。これだけあからさまに政治が介入できるのは、独裁国家を除けば日本だけ。だから元首相の「子会社」発言が出て来るし、国債も株もバンバン買わせることができた。この点日本は非常に特殊で筆者の「円嫌い」の原因なのだが(苦笑)、とにかく*「円金利」を計るには政治家、特に時の首相の意向が重要になる。
だからここからの「円安」「円高」の判断は難しくなる。私見だが、仮に日銀が年内に+2%「利上げ」に動いたとしても、巨額の貿易・財政赤字等を考えるとそれだけで「円高」に流れが反転するとは思えない。ドル円で@120円を突破するには、FRBのよる「利下げ」の確証が必要になる。
逆に@150円を突破する「円安」になるかというと、そちらも微妙だ。前回介入等で防御されたラインでもあり、現状のように海外の観光客が殺到する状況を鑑みると、これ以上の「安い日本」もちょっと考えにくい。
唯一リスクがあるとすれば、財務省寄りとされる岸田首相が「もう利上げしなくても大丈夫だろう」と高を括ること。ズルズル「超低金利」を続ければ介入も効かなくなり、@160円、@170円と更に「円安」が進んでしまう。そうなれば1970~80年代にアメリカで起きた事と同様、「円安・日経安・JGB安」のトリプル安が訪れるだろう。
「安い日本」はアルゼンチンやかつて「観光立国」を目指したスペインのような国になっていくのか、それとも同じ島国として ”英国病” と言われた大不況を "金融ビッグバン" の痛みに耐えて克服したロンドン/イギリスのように変貌を遂げるのか。日本人としては ” Rising Sun” 再び? ー 「当座預金」と「日本国債」の奇妙な均衡。|損切丸 (note.com) を期待して止まないが、さて...。今後の「円安」「円高」の行方が鍵を握る。
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