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どうした?「マグニフィセント7」

 参考: 米国「株」本当に強い? - ”マグニフィセント7” その影響力は?|損切丸 (note.com)

 最近ナスダックの調子が悪い。元々NYダウも上値が重かったがこれで双方とも年初来の上げをほとんど消してしまった。いかに(税還付の影響による) " Sell in May" (5月に売れ)だとしてもちょっと異様。主因は:

 どうした?「マグニフィセント7」

 何れも時価総額1兆ドルを超えるアメリカのモンスター企業だが、直近の売られ方が激しい。EV(電気自動車)の不調で急落し時価総額が5,000億ドル以下に落ち込んでしまったテスラ ↓ 、や売上不振のアップル ↓ がその代表格

 半導体の見通し悪化など色々理屈はつけているが、他の5銘柄(エヌビディア、メタ、アマゾン、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトも後追いしている感は否めない。レパトリ(損失穴埋め)もあるだろう

 実はこの動き、現代の「AIマーケット」と密接に絡んできている

 アップルとテスラを除いた5銘柄は今年1月に入って急激に上がっているのが見て取れる。これ、「新NISA」の影響ではないかと筆者は推定している

 HFT( High Frequency Trades=高頻度取引、1秒間に数万回売買を繰り返すシステム)について "買いバイアス" がかかっている事は以前お伝えした。基本的には「実需の買い」注文を先回りして超高速で売買を繰り返し細かく「鞘」を取る仕組み。悪く言えば投資家の懐から注文の「お金」の一部頂くシステムであり、まあこんなことを良く考えたものだ(苦笑)

 AIプログラムを創成する証券会社にとって相場が上がるのは何の問題も無い、いやむしろ歓迎だ。だから月々2,000億円もの「お金」が入ってくる「新NISA」は絶好の "獲物" 「積立」とか「株価」に関心がない、いわば "Newcomer" =新参者、素人が中心なのだからどんどん相場を増幅して儲ければいい。だから*3ヶ月で「日経平均」が+6,000円以上上げたりする

 *「マグニフィセント7」同様、「日経平均」も価格に影響の大きい ”値がさ株” を除くと@33,000円→@41,000円→@36,500円なんて振れ幅にはならないらしい。全体の動きを掴むには多くの銘柄を含むTOPIXの方が適当で、NT倍率 ↓ が1つの指標になろう

 このHFT下げ相場になると性格が一変する。例えれば「道に迷った時のナビゲーションシステム」。都合が悪くなると動かなくなる。理由は簡単、証券会社は「売り」相場が嫌いだから。確かに「売り」相場の時はキーになる「実需の買い」が入りにくくマーケットはスカスカになる。だからリスク管理上機械の動作を制限するのは有り。だが売り相場が嫌いなのは一緒でも、実際に「損切り」しなければいけない投資家は大変。まるで買う時だけ調子のいいセールスマンのようなシステムでもあり迷惑極まりない。まあ証券会社が最後まで責任を取らないのは今も昔も変わっていない

 ミサイルだ何だと大騒ぎした昨日(4/19)の東京市場だが蓋を開けてみれば原油価格もFXも米国債も元通り。 ”落ちてくるナイフ” ≓「戦争」などではなく結局「マグニフィセント7」等 "値がさ株" が落ち続けているだけ。本筋は税還付に伴う現金化や「新NISA」筋の「損切り」であり、終わるまでもう少し辛抱が必要かもしれない

 筆者の現役時代にもHFTは存在したが、今のマーケットは明らかに変わってきている。というよりAIの進歩で "進化" している。ただそれを使うのは人間であり、証券会社等の "都合" も色濃く反映している。そういう "人間臭い" 要素はこれまでも、そして今後も変わらない。 "高速マシーン" についていくのは並大抵ではないが、我々市場参加者はその "進化" に適応していくしかない。ジャングル同様、マーケットも「適者生存の原則」が働く

 考えようによっては年初のプライスまで戻してくれたわけで、高値で手が出なかった投資家には絶好の「エントリーポイント」にもなり得る。HFTの特性を考えれば増幅される「買い」相場は大きく速い米国債やJGBなど「金利」には気を配りつつ各々の「決断」が試される相場が続くだろう

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