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たかが保定。されど保定。

動物看護師の仕事の1つに保定という仕事があります。
飼い主さんには馴染みのない言葉かもしれませんが、動物看護師の世界ではお馴染みの言葉。

保定

動物を治療する際に体を動かないよう安全に保持すること

言葉にすると簡単じゃないか。と思われるかもしれませんが、簡単にみえて実は死ぬほど難しい。

採血する為の保定
注射する為の保定
投薬や目薬など薬を与える為の保定
レントゲンやエコー検査をする為の保定
耳掃除や爪切りなど日常ケアの為の保定

保定にもいろいろな種類がある。

ただ力任せに保定しても上手くいかない。
相手は動物。
人間よりも身体能力や力も強い。鋭い牙や爪や柔軟な体をもつ動物に私達人間が勝てるはずもない。

それに力任せにすることで動物に苦痛を与える事になる。老犬や痛みのある子なんかは力で抑えることで症状が悪化する。
動物は嫌なことは忘れない。1度怖いと覚えてしまうと、次の時にはもう体を触ることさえも出来くなってしまう。

それじゃなくても動物からしたら注射や採血や検査は恐怖でしかない。
知らないおばさんにいきなり抱きつかれたり体触られたり、いきなり注射されたら私だって怖い。
そりゃ噛んだり引っ掻いたりしたくなる気持ちよくわかる。

それにその子その子に合わせた保定がある。

しっかり持つことで大人しくなる子
軽くもつ方が大人しい子
飼い主さんがいないと不安で暴れる子
逆に飼い主さんがいない方が大人しい子
声をかけることで他に注意を逸らした方がいい子
声をかけると怒る子
サッと保定して恐怖覚える前に終わらせるスピード重視の子
ゆっくり声をかけながら保定にもっていく方がいい子

それに獣医師によって保定のやり方を変えないといけなかったりする。

たかが保定。されど保定。奥が深い〜。

新人の頃はそれがわからず先輩と同じことしているのにうまく出来ず何度も泣いて、それでも沢山練習してたくさん実践して、それでもうまく出来ない時もあって。
仕事の帰り道に、うまく出来なくて悔しい雄叫びをあげたくなることもしばしば。

もっともっと保定が上手くなりたい。
動物看護師さんならみんな思うこと。

だから新人さんに教えるのが難しい。
だって自分でもまだまだって思うことあるから。

やり方や持ち方は教えるから、とりあえず今は数をこなして慣れなさいとしかいえない。
説明下手な先輩でごめんなさい。

あ〜いつか完璧な保定マスターになりたい!
まだまだ修行が足りん。

最後まで読んで頂きありがとうございました! 動物看護師として、これからもペットと飼い主さんの絆が深まる記事を書いていくつもりです。 どうぞ宜しくお願いします