アメリカからメキシコへ カンクンで迎えた「死者の日」

アメリカのグランドキャニオン、アンテロープキャニオン、ホースシューベンドを巡り、広大な自然に心を打たれた私は、次の目的地としてメキシコのカンクンに向かいました。
アメリカ滞在は約10日間。自然の美しさは圧倒的でしたが、物価が高く、長期滞在が難しいと感じていました。
そのため、新たな文化と経験を求め、メキシコに足を運ぶことにしたのです。

カンクンに到着した日がちょうど「死者の日(Día de los Muertos)」の祭りと重なっていたことは、私にとって幸運でした。
メキシコでこの伝統的な行事に触れる機会を得たことは、旅を続ける上で大切な体験となりました。

華やかな「死者の日」の祭壇と仮装

「死者の日」は、メキシコの人々が亡くなった家族や友人を迎え入れ、再会を祝う特別な日です。
11月1日と2日に行われるこの祭りでは、家族が祭壇(オフレンダ)を準備し、故人が生前に好んだ食べ物や飲み物を捧げます。
鮮やかなマリーゴールドの花やキャンドルが祭壇を彩り、故人の写真がその中心に飾られていました。

公園には、骸骨のペイントを施し、伝統的な衣装をまとった人々が多く見られました。
この仮装には、死を恐れるのではなく、自然なものとして受け入れるメキシコ独自の文化が反映されています。
人々はそれぞれのやり方で故人を思い、笑顔で祝っている様子が印象的でした。

公園に響く歌声とステージのパフォーマンス

公園の中央に設けられたステージでは、伝統的な歌やダンスのパフォーマンスが行われていました。
力強い歌声が公園全体に響き渡り、観客は手拍子を打ちながら一体となって楽しんでいました。
この光景は、家族や友人たちが集まり、故人と共に過ごす特別な時間を祝福しているかのようでした。

ステージ周辺には、タコスやその他のメキシコ料理の屋台も並び、多くの家族連れがその味を楽しんでいました。
私もタコスを味わいながら、その賑やかな雰囲気に浸り、日常とは違う、しかしどこか親しみを感じる時間を過ごしました。

メキシコの「死者の日」と日本のお盆の共通点

この「死者の日」の文化に触れる中で、私は日本の「お盆」との共通点を強く感じました。
どちらも、亡くなった家族や友人の魂が遠く離れた場所にいるのではなく、近くにいて、特別な日にはこの世に戻ってくると信じられています。
日本のお盆では、お供え物で故人を迎え、家族が再び一緒に過ごす時間を大切にします。
この考え方は、メキシコの「死者の日」にも通じるものがありました。

メキシコの人々が祭壇に捧げる食べ物や花、そして仮装やパフォーマンスは、ただの儀式ではなく、家族やコミュニティとのつながりを再確認する時間です。
死者がこの世に帰ってくるという考え方は、彼らが今もなお私たちの一部であることを示しており、日本のお盆と同様、亡くなった人々を身近に感じる機会として大切にされています。

「死者の日」で感じた特別な時間

メキシコの「死者の日」は、悲しみではなく、感謝と喜びに満ちた時間です。
家族や友人たちが再び集まり、故人とのつながりを祝い、人生の輪を共に感じる。
これは日本の「お盆」にも通じる、深い意味を持つ行事だと感じました。

祭壇に捧げられた花や食べ物、仮装をした人々、そしてステージでの歌や踊りが一体となり、この特別な日を彩っていました。
カンクンの公園で見た光景は、ただの観光体験ではなく、メキシコの人々の文化や生き方に触れた深い体験となりました。
アメリカで感じた壮大な自然とは異なる形で、メキシコでは人々とのつながりと歴史の重みを感じることができたのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?