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ついつい自分を責めてしまう人へ。自分に優しくするための”書く”ワーク「ロールレタリング」のやり方

先日、友人が私を見て一言、こう言いました。

みきちゃんって、森羅万象なんでも自分のせいにするよね。

その友人曰く、私はなんでも「自分のせい」にして責めているように見えるのだとか。

例えば、チームで誰かがミスをしたときには「自分がもっと気をつけていれば…」と落ち込んだり。仕事で予想外の出来事が起きて対応が遅れたときは「私がもっとちゃんと先のことを考えていれば防げたはずなのに…」と気にやんでしまったり。

友人はどちらかというと「これは私にはどうしようもできなかったはずだから、しょうがない」と考えるタイプなので、森羅万象全ての出来事を「自分のせい」にしている私を見て、不思議に思ったようです。

でも、私のように考えてしまう人って少なくないのではないでしょうか。

自分を責めてしまう人のなかには「弁護人」がいない!?

と、そんな話をカウンセラーでイラストレーターの友人 くぼっちさんにしていたら、彼女がこんなことを教えてくれました。

みきさんのなかには、自分を責める「検察官」はいるのに、自分を擁護してくれる「弁護人」がいない状態なのかもしれませんね。

な、なるほど。たしかに……!!そしてわかりやすい!!

自分をついつい責めてしまう人の中には、くぼっちさんが言うように「検察官」しかいない状態なのかもしれません。

でも自分のなかに「まあ、でもしょうがない部分もあったよね」「いやあ、あなた頑張ってたよ」と擁護してくれる弁護人がいたら。

自分を責めずにすむのではないか。くぼっちさんの言葉でそう気づきました。

自分のなかに弁護人をつくる「ロールレタリング」の手法

とはいえ、どうしたら自分のなかに弁護人をつくることができるんだろう。

そう考えていたときに知ったのが、ある論文で紹介されていた「ロールレタリング」というライティングワークでした。

ロールレタリングは「特定の他者を演じながら自分にあてて手紙を書く」筆記療法のひとつだそう。

やり方は簡単です。まずは、あなたの身の回りにいる受容的で優しい人をひとり思い浮かべてみてください。

それは、幼い頃に優しくしてくれた近所のおばさんかもしれませんし、つらいときに優しく声をかけてくれた恩師かもしれません。

その人だったら、あなたがミスをしたり、自分を責めているときになんと声をかけてくれるでしょうか?

「でも、〜〜さんすごく頑張ってたじゃない」
「苦手なことなのに、チャレンジして偉かったね」

といった優しい声かけをしてくれるような気がしますよね。

このような受容的で優しい他者を「演じて」自分に手紙を書くことで、自分では絶対にかけてあげられなかったような優しい言葉を自分にかけてあげる。これがロールレタリングなのです(※)。

自分を責めるモードに入っているときって、自分へ思いやりのある言葉をかけてあげるのってなかなか難しいと思います。でも、ロールレタリングならば、優しい他者になりきるので、通常よりも自分に優しい言葉をかけてあげやすくなる。

これってつまり自分のなかに弁護人をたてるのと同じなのでは?そして、このライティングワークを続けていくうちに、もしかすると自分のなかに自分に優しい言葉をかけてあげられる「弁護人」が育っていくのでは?と、そんな希望を感じています。

日常生活への取り入れ方

ロールレタリングという手法を知ってから、私は自分のなかに弁護人を生み出すべく、日記を書く時にこの方法を取り入れるようにしています。

具体的には以下のような方法で書いています。

・まずはノートを左右2つのブロックにわけます。
・そして、左には感情をそのまま書きます
・右には「受容的な他者を演じて、自分に向けて優しいメッセージ」を書きます

こうすると左側では、自分が思っていることを素直に吐き出すことができ、右のパートでは素の自分であったら絶対にかけてあげられないような優しい言葉を自分にかけてあげられるわけです。

実際に、自分の気持ちを正直に開示したあとに、自分に対するあたたかな思いやりのある言葉を書くと、うつの低減(Johnson&Adams,Allen, Hancock,2007)に効果があるという研究結果もあるそうです。

私も実際にやってみたら、いつになく自分に優しい言葉をかけてあげられたので、少しびっくりしました。

自分をどうしても責めてしまう…
ネガティブになってしまって気分があがらない…
自分をほめてあげたいのに全くできない…

といった悩みをもっている方は、ぜひ試してみてもらえたらなと思います。

ロールレタリングの2つの方法

先程、説明を簡単にするために、ロールレタリングは「特定の他者を演じながら自分にあてて手紙を書く」筆記療法だと書きました。でも、厳密にいうと、ロールレタリングの方法には2つあるそうです。一つは、ここまで説明してきた「特定の他者を演じながら自分にあてて手紙を書く」方法。

そしてもう一つは「特定の他者を受け取り手として想定し、手紙を書く方法です。

例えば、友人や家族、仕事の同僚など特定の人に向けて手紙を書くように、自分の気持ちを書いていくのが後者にあたります(実際に手紙を渡すわけではありません)。

「はい、今から自分の気持ちを喋ってください」と言われても、なかなか言葉がでてこないことってありますよね。でも、誰かに話すように書こうとすると、自分でも気づいていなかった心の奥底にあった気持ちに気づきやすくなることってないでしょうか。

また、直接相手を目の前にすると言えないことも、出すことのない手紙ならば本音を書きやすくなりそうですよね。

この方法によって、相手との間にある葛藤などを言語化し、浮き彫りにしやすくしていくのがもう一つのロールレタリングの方法だそうです。

また、先程説明した「特定の他者を演じながら自分にあてて手紙を書く」場合に関しても、常に「優しい他者を演じる」必要はありません。関係性にわだかまりのある相手を演じながら自分に手紙を書くと、相手の気持ちを想像したり、自分が心の底では相手からどんな言葉をかけてもらいたいと思っているのかを浮き彫りにすることもできます。

さまざまな活用方法があるのが、ロールレタリングなんですね。

ぜひみなさんもいろいろな方法で生活に取り入れてみてください。

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書いて自分を癒す「#こころのケアライティング」について発信してます。興味がある方はぜひご覧ください。

ロールレタリングに関する本

最後にロールレタリングに関する本を紹介ます。まずは、先程も紹介したこちらの本に掲載されている論文です。

また、こちらはロールレタリングを用いて行われた心理療法の実践例がのっている本です。父親や母親との葛藤をロールレタリングで言語化した事例や、対人不安のある方にロールレタリングを用いて自分の気持ちを言語化してもらった事例などが掲載されています。

※おまけ(最近読んでいる本)

今週の土日にナラティブ・セラピーのワークショップを受ける予定なので、この本を読んで予習しています。

Leary,M.R.,Tate,E.B.,Adams,C.E., Allen,A.B.,& Hancock,J.(2007).Self-compassion and reactions to unpleasant self-relevant events:The implications of treating oneself kindly. Journal of Personality and Social Psychology,92(5),887-904



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