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続:エディトリアル演習 #004 【技】詰めイラレ vol.1

前回の記事で、ようやく3つの分類【心・技・体】が説明できました。今回は再び【技】に戻って、いよいよ「詰めイラレ」の登場です。

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作業スキルの向上として操作方法やショートカットキーの習得はもちろん必須ですが、もうひとつ重要なポイントがあります。それは「ゴールを見据えて、自分の作業工程を思い描ける」こと。

作業時間を短縮する上で、闇雲に手を動かすことほど無駄なことはありません(時には無駄な時間を過ごすことも大切ではありますが)。膨大な作業を的確にこなすために、どんな工程を進むべきかを瞬時に判断する。そうした判断力の向上も、作業スキルを養う上で欠かせない要素です。

その判断力を養うべく、授業では「詰めイラレ」というドリル形式の問いを毎週1つずつチャレンジしてもらっていました。最短の手順で王将を詰める「詰め将棋」になぞらえて、最短の手順で指定されたオブジェクトを完成させる「詰めイラレ」。早速ですがVol.1をご覧ください。

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正円が12個、円状に均等に並んでいます。円の大きさなどは特に指定はありません。さてこの詰めイラレ、皆さんはどんな手順で作業するでしょうか?

ちなみに今回の記事は、これまでの# 001# 002などの初歩的な話から少し飛んで中級編となっています。様々な方にこの「続:エディトリアル演習」を楽しんでいただくためにも、手順通りではなく順不同にお伝えできればと思い詰めイラレを先行して掲載します。まだまだ操作に不慣れな方にとっては「急にそんな形つくれって言われても・・・」という状況かと思いますが「いずれこんなこともサクサクできるようになるんだ」と期待を込めた上で記事を眺めてもらえたら幸いです。

さて、手順は思い描けたでしょうか。そして思い描けた手順は、最短ルートでしょうか。ちなみに、日々アプリケーションも進化していますし、作業も人それぞれの嗜好があります。あくまで最短ルートの一例として捉えていただけますと幸いです。この詰めイラレを授業で行っていた際にも、更なる最短ルートを学生から教えてもらうことが何度かありました。教える立場ながら、生徒からもたくさん学べせてもらいました。日々勉強ですね。

では最短ルートの一例、答え合せです。


① 正円を1つ描く <楕円形ツール(L)+ シフト(正円を描く)>

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② 正円を垂直にコピーする <選択ツール(オブジェクトを持つ) + シフト(垂直移動) + オプション(コピー)>

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③ 2つの正円を選択する <選択ツール(オブジェクトを持つ)>

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④ 30度回転しコピーする <回転ツール(R) + リターンキー(ダイアログボックス表示) + 数値入力(30°)+ コピーボタン(ダイアログボックス内)>

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⑤ 30度回転コピーを繰り返す <変形の繰り返し(コマンドD)を4回>

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⑥ 完成!

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以上です。いかがでしたでしょうか。ポイントとしては、ひとつひとつ丸を並べようと試みると時間がかかってしまうため、垂直コピーした2つの円を選択した上で、回転コピーすること。また30°という数値を瞬時に読み取り数値入力でコピーし、変形の繰り返しをうまく活用すること。

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言われてみれば「そんなことか」と思うことでも、日々の膨大な業務の中で瞬時に作業工程を判断し、実行に移せるかどうかが重要です。こうしたちょっとした判断力が積み重なり、ゴールを見据えた作業工程を思い描けるようになることで、結果的に作業時間が短くなっていくのではないかと考えています。

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そしてもうひとつ重要なのは、様々なパターンの作業手順を思い描けること。最短ではないにしろ、今回の形を描くだけでも沢山の作業手順が存在します。ゴールに向かっての様々なルートを模索することで、思考の幅や表現の幅も拡がっていくのではないでしょうか。答えがひとつでないのがデザインの面白いところ。最短ルートを敢えて辿らないことで、自分が想像もしていなかった表現が偶然生まれることもあるのです。

手慣れた方にとってはいささか簡単な問題だったかもしれませんが、この詰めイラレを続けることで作業スキルの幅が少しずつ拡充していくよう、日々悶々とお題を考えていました。詰めイラレのお題は沢山ありますので、また頻繁に記事化していければと思っています。

それでは今日はここまで。読んでいただきありがとうございました!

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