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1年間の成果(出版物) ―印税でがっぽり儲かったのか!?

2018年12月~2019年12月に書かせていただいた書籍をご紹介します。単著、編著、分担執筆などで計8冊です。

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一つ一つの本を簡単に紹介しながら、本の出版の仕組みや、気になる印税についても説明したいと思います。以下、『本の名前』(出版社名)です。

①『巡礼ビジネス』(KADOKAWA)

こちらは、前の記事でもご紹介した本です。アニメ聖地巡礼やコンテンツツーリズムを中心に、ゆるキャラ、『艦隊これくしょん』や『刀剣乱舞』、ツチノコ観光、『Pokémon GO』など、様々な事例を分析しています。

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②『コンテンツツーリズム研究[増補改訂版] ―アニメ・マンガ・ゲームと観光・文化・社会』(福村出版)

コンテンツツーリズムについて実践、研究するための教科書です。概念の説明、研究方法、事例分析、今後の研究展開など、全76章で内容は多岐にわたっています。執筆陣は総勢30名!!以前に出した『コンテンツツーリズム研究 ―情報社会の観光行動と地域振興』の増補改訂版です。

これは「編著」と呼ばれるもので、私は「編者」としての仕事と「執筆者」としての仕事をしています。「編者」は本の企画をたてて執筆者を選んで記事の依頼をしたり、全体をまとめる章を書いたりする役割のことです。

編者を複数人でやることもあります。その場合は「共編著」となります。

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③『アニメーション文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)

③以降は、私は「分担執筆者」として、1章から数章だけ担当しています。このように、自分が編者をつとめる本に分担執筆を依頼することもあれば、逆に、分担執筆を依頼される場合もあるのです。

『アニメーション文化55のキーワード』は、須川亜紀子先生と米村みゆき先生が編者をつとめられた書籍です。

私は、この中で「22 ホラー文化」「50 町おこし、村おこし」「53 アニメ聖地巡礼、コンテンツツーリズム」の3章を担当させていただきました。

④『多元化するゲーム文化と社会』(ニューゲームズオーダー)

2019年はゲーム研究の本がたくさん出ました。②でもサブタイトルに「ゲーム」と入れていますが、e-sports、スマホゲーム、位置情報ゲーム、ブラウザゲームなど、2020年もゲームの盛り上がりは続きそうです。

そんな2019年に出された『多元化するゲーム文化と社会』は、松井広志先生、井口貴紀先生、大石真澄先生、秦美香子先生が編者を務められた御本です。

基本をしっかりおさえつつも幅広い内容の論考が載っている、ゲームについて考える第一歩を踏み出させてくれる本です。「ゲームについて研究したい」という大学生は必読!!

私はこの中で「ゲームと観光のかかわり」という文章を書かせていただいています。

⑤『幽霊の歴史文化学』(思文閣出版)

唐突に幽霊が出てきました。

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こちらは、小山聡子先生と松本健太郎先生が編者を勤められた本です。なんと私はこちらにゾンビで参戦させていただきました!

私は「幽霊とゾンビ、この相反するもの ―肉体と霊魂の関係性と価値観の伝播について」という章を担当しています。

こちらは二松學舍大学で開かれた伝説的なシンポジウムが元になってできた本です(^_^)出版後のシンポジウムにもたくさんの人が来てくださって、その中でお話させていただき、大変刺激を受けました。

⑥『巨大ロボットの社会学 ―戦後日本が生んだ想像力のゆくえ』(法律文化社)

こちらも、「巨大ロボットとはこれいかに?」という感じですが、編者である池田太臣先生、木村至聖先生、小島伸之先生からお声掛けいただきまして、執筆者として参加させていただきました。

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私は最終章の「巨大ロボットと観光 ―現実・情報・虚構空間をめぐる想像力と創造力」を書かせていただきました。

幽霊も巨大ロボットもそうなのですが、こうして、これまで自分が本腰入れて扱ってこなかった対象についてのお仕事をいただくと、考えの幅が広がってとても有難いです。おかげで、自分の研究の視野がより広くなりました(^_^)

⑦『観光の事典』(朝倉書店)

⑦、⑧は事典の項目を執筆しました。『観光の事典』では、「コンテンツツーリズム」という項目をお任せいただきました。

⑧『メディア用語基本事典[第2版]』(世界思想社)

『メディア用語基本事典[第2版]』では、「アイドル」「アニメーション」「キャラクタービジネス」「コミックマーケット(コミケ)」「同人誌」という項目をお任せいただきました。

事典の記事は字数がかなり少ない中で説明せねばならないので、難儀しましたが、色々勉強できてよかったです。特に「同人誌」は書く上で色々新しいことを知ることができて面白かった!

本を書いたら印税でがっぽり儲かるのか?

最後に、気になる印税はどの程度なのかというお話です。

特に大学生はこう思うのではないですか?「あの先生、自分の授業で教科書として自分の本買わせて、印税がっぽり儲けてるんじゃないのか!?」と。私も学生時代は思ってました(笑)

では実際どうなのか。スパッと最初に申し上げておくと、印税は大体、本の値段の1割(10%)程度です。ただし、電子書籍ですと、この割合は上がります。

また、契約の段階で、印税分の現物(出来上がった書籍)が支給されるという形にする場合や、何らかの補助金などが入る場合はそもそも印税が入らなかったりする場合もあります。

単著の場合は、印税はすべて著者に入ります。編著の場合は、印税分を執筆者で等分にしたり、編者は少しだけ多めにもらったり、そんな感じです。執筆者があまりに多くなった場合や、定価があまりに高い場合は現物支給すらなく、「著者割引にするから買ってね」というケースもあります。様々なケースがありますね。

そもそもなんで学術書ってこんなに高いの?

大学で購入する教科書、なんでどれも高いのか!と憤ったことがある方も多いはず。私も苦労しました。

大学は北海道大学という札幌の大学に通っていたのですが、周辺の古本屋や札幌中のブックオフをチャリンコで回って、できるだけ安く購入していました(その時間でバイトして買えよという話もありますが…)。

本の値段ってどうやって決まるのでしょうか。なぜ、『鬼滅の刃』は440円で読めるのに、『ゾンビ学』は3000円もするんだ!!高いじゃないか!

これも結論を申し上げますと、「1回目に印刷する時に一気に何冊刷るか」が値段を決めます。学術書の1刷目は1000部強から、多くて2000部くらいです。場合によっては700部とか、500部とかの場合もあります、そうなると、値段は5000円とか7000円とかになるのです。

一方のコミックスや新書は6000部、10000部など、桁が違います。そして、売れゆきが良くて、「まだ売れそうだぞ!」となれば「重版」がかかります。売れ筋の本は2刷、3刷、4刷と刷られていくのです。

たまに、「発売前重版!」とオビに書かれていたりしますが、これは、反響が大きくて予約もたくさん入っているため、発売日より前に重版が決定されたことを示します。書店や読者に待ち望まれている本というわけですね(^_^)

じゃあ、学術書もたくさん刷れば安くなるよね

そうですよね。私もそう思います。

ただ、皆さんも予想はつくと思いますが、学術書はコミックスや新書ほど売れません。それでもこう思われますよね。

「別にいいじゃん。腐るもんじゃなし。たくさん刷って何年もかけて売れればよくない?」

確かにその通りなのですが、次のような問題が控えています。書籍って一冊手元にあるだけだと実感がわきにくいのですが、同じものが数千単位となると、ものすごい体積と重量になるのです。

出版社は倉庫を持っていますが、そこに置いておける冊数も限界があります。毎年たくさん本を出しますので、置いておく場所が無くなっていきます。

値段が高い→売れない→値段が高くなる、の負の連鎖です。

私は、これを何とかしたいと思っています。魅力的で売れる学術書を作っていく。それによって学術書の値段を下げる。そうして、学問の面白さを多くの人に知ってもらえるようになったらいいなと思っています。

2020年も、そんな活動をやっていければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!!

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