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スポーツがつくる街の仲間意識

足取りが早くなり、頬が緩む。
ユニフォームとメガホンをカバンに詰めて
私は完全に浮き足立っていた。

右から左から一つの方向に人が吸い寄せられるように集まっていく。
まるで磁石に集まる砂鉄のよう。

同じ色のユニフォームを着てる人たちを見ると、ふふっと微笑んで話しかけそうになる。
(話しかけないけど。笑。)

道すがらの店々からは応援歌が流れてきて、店先には、球場に持ってってねー!と言わんばかりにたくさんの食べ物や飲み物が並ぶ。
友人とのお酒のつまみを買い込んで待ち合わせゲートに急ぎ足で向かう。
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私のおそらく人生最初の推しは、プロ野球球団・広島東洋カープ。幼少期から私の周りに当たり前にあった市民球団です。

この推し活の種は、きっとDNAに刻み込まれている。自宅でも祖父母宅でも話題はいつも、最近のカープは強いだの、弱いだの。選手の調子はどうだか、こうだか。今は亡き祖父の口癖は「今日のカープはどうかいねぇ。」

そしてその種は、街にも育てられた。
終戦直前に原子爆弾が落とされた広島の街は、一面焼け野原になったそうだ。そこから這い上がるように創設された市民球団で、カープの活躍は市民の希望の星だったに違いない。お金のなかったチームの存続のために、市民が大きな樽に募金をした。という話は語り草。

スーパーに行けば応援歌が流れ、お店に行けばカープグッズコーナーが場所を占める。勝てば街の空気は明るくなり、負けるとどんより。学校の先生によってはカープが勝った翌日は宿題がない。なんていうのは、さすがにもうずいぶん昔の話かな。笑。
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街に根付くチームスポーツというのは本当に面白いと思う。

地元球場で試合の日は、そこかしこで「今日は勝つといいねぇ。」という会話が交わされて、ユニフォームを着た人たちが溢れ、なんだか街が浮き足立っている。

そんな市民の姿を見て、私まで浮き足立ってしまう。行ってらっしゃい!今日も勝つといいね!

全く知らない人と妙な仲間意識が育つチームスポーツ。
仲間が増えるとその街に暮らすのが楽しくなる!
だからファンはやめられない。

カープファンの皆様、仲良くしてください!







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