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古墳作りに思いを馳せる

このnoteでやりたいことのひとつに、あまり知られていない、(私的に)面白い宮崎のスポットを紹介する、ということがあります。

ということで今日は、生目(いきめ)古墳群の5号墳をご紹介します^ ^

生目古墳群は、宮崎市跡江にある51基の古墳からなる古墳群で、隣接する生目の杜遊古館では、古墳や埋蔵文化財について学ぶことはもちろん、体験学習もできるという、知る人ぞ知る、非常に興味深い場所です。


宮崎の古墳群の代表格である西都原古墳群には、子どもの頃から度々遊びに行っていましたし(西都原も良いのでまた次の機会に!)、宮崎に住んでいると、ちょっと田舎道に入ると畑や田んぼに紛れて普通に古墳があったりと(変なところにいきなり小さな丘があったら、十中八九、古墳です。)、古墳はとても身近なのですが、

そんな、古墳耐性のある宮崎県民である私が、なぜ西都原でなく生目古墳群の、5号墳を推すのかというと、

それはズバリ、



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「石が葺いてあるから!」です。


生目5号墳は、約10年前に大規模な復元工事が手作業で行われ、作られた当時のように、石が葺きなおされているのです。


ところで皆さんは、なぜ古墳が作られたのかご存知でしょうか?

暗記が苦手で、学生時代は歴史から逃げ回っていた私ですが、頭の片隅に、権力を誇示するため?という浅〜い記憶が残っていました。

でもこの5号墳を見た瞬間、


いやいや、無理。そんな理由だけで人は動かんわ。


と心の中でつぶやいていました。こんな大変なこと、よほどの理由がないとできない、と。

全長57mの5号墳は、生目古墳群にある前方後円墳の中では比較的小さいものになるのですが、それでも、90,000箇の石が葺かれているそうです。

ひとつの石の大きさは、どれも大人の男性の拳くらいあります。

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石は、おそらく川から持って来られたものであろうとのことで、今のようにトラクターもない時代に、葺く以前にまず石を運んでくる労力は、いかほどのものだったでしょうか。


古墳が作られた理由は、実際のところ、私達は推測をすることしかできない訳ですが、

私が5号墳を見て率直に感じたのは、「不要な争いを避ける」という大義があったんじゃないか、ということです。

もちろん、コミュニティの中で力を誇示することで、内側の秩序を保つという目的もあったかもしれませんが、

大きな古墳をいくつも作ることで、対外的に、「この土地は既に、力ある豪族が何世代にもわたって治めていて、この巨大な建造物を作れるほどに、民もまとまっている」という無言のメッセージを発し、外部からの攻撃を予防したのではないか、と私は思います。


そのくらい、実際に石の葺かれた古墳からは、葺かれていない古墳にはない、「圧」を感じました。


それを裏付けているかは分かりませんが、5号墳が発掘された時、古墳に並べ立てられる埴輪(復元した5号墳には埴輪は置かれていません)が、なぜか東側にのみ置かれていた形跡があったのだそうです。

今よりも海進していた当時、5号墳の東は海にあたります。船などで海から見た時、ちょうど埴輪が置かれている側が見えるということです。

逆に、見えないところには置かなかったのですから、経済的な理由もあったかもしれませんが、ちょっとカッコわるいですよね^^; これでは、対内的な権力の誇示にはならないような気もします。


ところで、話は飛びますが、古墳時代より遥か遥か昔、ネアンデルタール人が滅び、私達の先祖であるホモ・サピエンスが生き残った理由、それは「想像力」なのだそうです。

ホモ・サピエンスは、想像力を使って、効率的な道具を作り、集団で生活をし、文化を作りました。


きっと古墳も、当時の人々の、争わずして平和に暮らす為の、想像力の賜物だったのではないでしょうか。

もちろん古墳が作られた理由には色々な説があり、宗教的な役割もあったでしょうし、調べてみると、水田を作った時に出た大量の土の副産物、という説もありました。面白いですよね^_^

諸説に触れるのも良い勉強ですし、同時に、実際に目で見て触れた時に感じる、自分だけの説が一人ひとりにあっても良いのかなと思ったりします。


最後に、5号墳が復元された際の報告書のリンクを貼ります。造園業者さんが委託を受けたようですが、古墳は文化財でもありますから、一筋縄ではいかなかったようです^^;

興味はあるけど読む時間ないな〜という方は、ぜひ51ページ目の「まとめ」だけ見るのをお勧めします。

史跡生目5号墳復元整備報告書

こういう資料を読んでいたら、子供の時に良い自由研究ができたんだろうな〜(  ̄ - ̄)


そして、油断したら夢に出てきそうだけどどこか憎めない生目古墳群のキャラクター、ハニィちゃんもよろしくね!

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