見出し画像

道具滞在記 Vol.03【岐阜県 多治見市/ 陶芸作家 3RD CERAMICS の器】

【道具滞在記とは】
「作家物の生活道具たちの短期滞在をきっかけにして「くらしを豊かにできるか」の実験をしようと思う。」という個人的な企画です。


今回は、岐阜県多治見市にてチームで作陶をしている3RD CERAMICS
 (サードセラミックス)を取材しました。
3RD CERAMICSは、代表であり、マネージメント・営業・経理を担当している
花山 和也(はなやま かずや)さん、製造を担当する長屋 有(ながや ゆう)さん、
土井 武史(どい たけし)さんという同世代の 3 人で構成されています。

工房 1 階の製作風景(写真左 長屋さん、写真右 土井さん)

工房 2 階は、デスクスペース、製品が並ぶスペースもある。(写真 花山さん)

工房の 2 階には完成した製品が並び、手に取って見ることもできます(要予約)

3RD CERAMICS は、「“第 3 の陶芸”のあり方を模索する。」というコンセプトの元、活動しています。
第 3 の陶芸とは、「量産の陶器メーカーと陶芸作家の器の良い部分を取り込み、
新しい製品を作り出すことを目指す。」という想いが込められています。
製作の土井さんは、メーカー勤務の経験があり、量産のためのノウハウを長屋さんは、陶芸作家として魅力的な形を生み出す経験など、それぞれのよさを生かしながら取り組んでいます。
以前は、鋳込み(型に液状の粘土を流しこむ)で作陶をしていたそうですが、現在は、ロクロ中心で作陶しているそうです。

多治見の窯屋さんに特注でオーダーした電気窯。空間の寸法に合わせて作ってくれ、好きな色に塗装してくれるそう。3RD CERAMICS は、黒色に塗装。(写真)

「土に日々向き合っている人がつくる器」を目指す。
「最近では、デザイナーが器をプロデュースすることもありますが、日々、土と向き合っていないと分からない(土の)表情があると思っていて、図面だけでは分からないことを表現できたらと思います。」(長屋さん)
長屋さん製作のフラワーベースは、素焼きの「さらっ」とした表情の中に「ツルツル」とした質感が混在しています。
金属のコテを当てた部分は、ツルツルした質感が出るのだとか。
花器の内側は、釉薬(ゆうやく)がかけてあり、水漏れを防いでいます。

2 種類の質感が混在するフラワーベース(写真)

土井さん製作の黒泥のプレートは、リム内側のエッジを必ず手で処理しているそ
う。シャキッとした印象を与えるのに欠かせない工程だそうです。

土井さんが製作した黒泥のプレートとマグカップ。
釉垂(ゆうだ)れが、余白の美しさを引き立てます。プレートのサイズは、飲食店で使いやすいサイズから普段使いまで、幅広く揃います。(写真)

【3RD CERAMICS の器滞在記】
今回は、3RD CERAMICS の花器と黒泥の皿が滞在してくれることとなりました。


【3RD CERAMICS の花器】
花を飾る生活に憧れる。
花人の川瀬 敏郎(かわせ としろう)さんの侘び寂びの世界が好きで、 365 日花を生けた本「一日一花」を読んで感動していました。
そんな私ですが、小学生時代、生け花の会があって、 できた作品に点数をつけるみたいな時間の中、かなりの低得点。 「花を飾る」ことに劣等感みたいなものが生まれた瞬間。
「一輪挿しなら間違いはない。」 今回、生花として楽しんだ後、ドライフラワーとしても楽しめる 「ユーカリの実」を飾って見みました。
3RD CERAMICS の花器は、口が「きゅっ」とすぼまっていて一輪挿しや少ない本数の花を飾るのにとても適しているなと思う。
口が広い花器は、うまく花を自立させるのに難しいので、
「花飾るビギナー」にうってつけの花器。

「ユーカリの実」は、逆さに飾らなくてもきれいにドライフラワーになるそう。


【3RD CERAMICS の黒泥のプレート】
 黒が効いているのでシンプルな料理を引き立たせる。
特別な料理が作りたくなる器。
 初めて聞く名前の料理を作ってみようと思う。
そう思って取り組んだ「テリーヌ」 (出汁の入ったジュレの中に彩りが良い野菜が美しい冷菜。) 断面の美しさが美味しさを誘う料理。
ジュレの硬さが原因か、半壊。 ただの野菜とジュレになって美味しく頂きました。
心折れながら取り組んだ「パブロバ」 ニュージーランド発祥のお菓子だそうです。 メレンゲの上に生クリームをのせて頂くそう。
「パブロバ」は、何とか完成。 プレートに助けられ美味しく見えます。

なんとか完成した「パブロバ」。黒の締まったプレートの色に料理が映える。

【3RD CERAMICS の器に出会うには】
通常は、ウェブサイトで製品の販売を行っています。
製品を手にとってみたい方は、要予約で工房を訪れる事もできるそうです。
代表でありマネージメントを担当している花山さん中心に各イベントに出店予定。

3RD CERAMICS ウェブサイト
URL:http://3rd-ceramics.com


取材・文/岡松愛子
1986 年生まれ、愛知県出身。2018年より写真家として活動URL:http://okamatsuaiko.com
(※ランプシェードの写真は、3RD CERAMICS の WEB サイトより許可を得て使用。)