『ブラッド・シンプル』徹底解剖5「アダムとリリス」
さて、前回はバー「ネオン・ブーツ」のオーナー「ジュリアン・マーティ」について深掘りしたね。
今回は、その妻アビーと従業員レイについて深掘りしてみよう。
問題の二人だね。
問題なのはアビーや。
旦那の店の従業員モーリスと浮気して、それを旦那に勘付かれ、探偵に尾行されとることを知っとったにもかかわらず今度は別の従業員レイと浮気した。
その通り。浮気問題に関して言えば、アビーは確信犯だ。
夫の店の従業員と立て続けに肉体関係をもち、夫に自分を諦めさせようとした。「もう好きにしろ」と言わせようとしたんだね。
だけどマーティは「諦める」どころか激怒して「報復行動」に動いてしまう…
すべての発端はアビーだったんだね…
まさに「脆きものよ、汝の名は女なり」や。
せやけど一番肝っ玉が据わっとったのもアビーやな。最後は『エイリアン』のシガニー・ウィーバーばりにサバイバルしよった。
レイはモーリスと違って生真面目で、会話も面白くないし、何かにつけて要領が悪い。正直に言って、女性にモテるタイプではないよね。
だからまんまとアビーの離婚計画に利用されてしまったんだ。
ええ奴やけど、かなりのボンクラやったな。
マーティの死体を発見した時も、床の血痕をシャツで拭いて、さらに広げておったし…
見つからへんように死体を埋めたと思ったら、実は民家のすぐ目の前やったし。
実は「モデルとなった人物」がいるんだよ。
ええ!?誰?
レイのモデルは「アダム」なんだ。
あ、アダムが!?
これを見て。笑えるでしょ?
最初のベッドシーンに、こんな仕掛けがしてあったんだ…
オーマイガー!
伸ばす手が逆だけど、全く同じポーズ!
レイは腕を伸ばし、電話の受話器を取った…
その電話の相手は、ボスのジュリアン・マーティやった…
つまり、こういうこと。
ミケランジェロの『アダムの創造』に「キャラ誕生の秘密」が隠されていたんだね。
ああ!そうか!
だから二人は「あんなこと」をしたんだ!
マーティが「右手」の「人差し指」を怪我して、これ見よがしに大袈裟な「ギブス」をしていたのは、そのためだったんだね。
コーエン兄弟からの「右人差し指に注目!」というメッセージだったんだ…
確かにアダムもちょっとボンクラ要素があったさかいな…
神に「知恵の実は食うたらアカン」て釘さされとったくせに、嫁に「あんたビビりやな。ほれ、食うてみ。めっちゃうまいし」って言われて、「せ、せやな。神様も見とらんし…」と流されてもうた…
そしてレイがマーティの死体を隠そうとしたのは、アダムの息子カインのパロディだね。
しかもこのパロディからは、こんなストーリーが読み取れる…
アベルの死体を発見したアダムは、それを息子カインの仕業だと思いこみ、死体を隠して不祥事を隠蔽しようとする。だけどアベルは完全には死んでなくて、焦ったアダムが最後の引導を渡す。そして野蛮人の土地へ放逐されたカインには、罰として「誰にも殺されない」という呪いがかけられる…
何気に映画のストーリーと合致しとるやんけ。
”誰にも殺されない”アビーが引っ越した先は、メキシコ系住民の多い地区やった…
面白いよね。
さて、「キャラ誕生の秘密」に戻るよ。
ミケランジェロの『アダムの創造』には、まだ『ブラッド・シンプル』の登場人物が隠されている…
わかった!
アダムといえばイブでしょ!
『アダムの創造』にイブおったか?
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